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「…あつい」
部屋の中でそう呟くこと約39回目。
私はぐだっとしながらひんやりシートを一面に敷いた布団の上にころんと横になった。
現在、夏の真っ盛り。
ちなみに外の気温は37℃だ。
…頭おかしいんじゃない??
さらにいうとクーラーは故障中。
シャワーはなぜか冷たい水が蛇口をひねってもひねってもでない。
…ほんとに頭おかしいんじゃない??
「…だめだ、あつい」
暑さのせいで語彙力が溶けてきた(元々無いとか言わないで)。
天井を見つめる。
うーん…水がほしい。
生きた死体みたいな声で水を探すが生憎と手元にない。
ついてない。
ため息をついて起きる。
仕方ない、自分で調達しにいこう。
かたん。
天井から物音。
「んあ?」
呆けた声が出た。
上を見上げても真っ白い天井があるだけ。
「…なるほど」
一人なにかを納得して押し入れを開ける。
上の段に登って天井裏をこんこんと意味もなく叩いた。
…なんで屋根裏か?ただの直感だよ。
がたっと天井板をずらしてひょっこりと覗く。
薄暗い中に何か四角いモノがあった。
「うん、しょ…っと」
手を伸ばしてずるずると見えるところに持ってくる。
「っけほけほ、なにこれ、本?」
それは本だった。
黒い表紙の両手サイズの本。
結構デザインが良い。
ぱんぱん払うとホコリが舞った。
「うぇぇ…」
題名が見える。
“ゆるりと怪異譚”
なんじゃこれ。
怪異譚?
じゃあ怖い話集かなんか?
考えながら押し入れから出る。
相変わらず暑い部屋を見回して一人呟いた。
「…まぁ、暇つぶしにはいいよね」
私は水を取りに行ってからまた布団に横になった。
本を手に取る。
怖い話ならこのくそ暑い部屋もいくらかは涼しくなるだろう。
私はそう頷いて、本を開いた。
連載初投稿の怖い話です。
題名通り、ゆるりとしていきます。
どうかお付き合いください。
…新しいの書くより他の話更新しろとか言わないで((殴