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フリータイムでも何時に入ったかつい確認してしまう12

 カフェもさっきのお店と同じように、正面が大通りに面しているお店だった。さっきよりも広く、壁の塗装もパステルカラーで明るい印象を受ける。

 裏口から入ったけれど、通されたのは一階の部屋だった。個室として提供されている部屋のひとつらしく、壁紙も可愛いし花瓶も置いてある部屋だった。


「わー可愛い!!」


 一口で飲み干せそうな茶器が出てきたときにはどうなることかと思ったけれど、そんな心配は吹っ飛んだ。

 お菓子がミニチュアサイズの食べ物の形をしていていちいち可愛い。


 フコの実などの果物、焼き菓子、それにサンドイッチやシチューっぽい料理。

 それらひとつひとつがピンポン球くらいのサイズになってお皿に並べられている光景は、もったいなくて食べられないほど可愛い。


「めっちゃ映えるやつだこれ。ルルさん、これアマンダさんにお土産にどうかな!」

「ええ、いくつか包んでもらいましょう。どうぞ味もお確かめください」

「いただきまーす」


 味は、料理っぽいものがしょっぱい系で、それ以外が甘いお菓子だった。

 料理のミニチュアだけれど、その料理の味ではない。別の材料を使って再現しているようだけれど、味も美味しかった。


 甘い系はガツンと砂糖感のある甘さ。ひとつで満足してしまうやつである。

 ルルさんが割ってシェアしてくれたのでいくつか食べたけれど、中に甘酸っぱいジャムが入ったりと味が違って美味しかった。ものすごい甘かったけれど。

 私の袖からちゃっかり出てきたヌーちゃんはこの甘さも美味しいと感じたらしく、割ったものをあげるとカリカリと一生懸命かじっていた。


 ミニチュアなお菓子たちの味が濃いので、スモーキーなお茶が美味しかった。


「小さく作ったやつって何でそれだけで可愛く感じるんだろう」

「わかります」


 深く同意したのはジュシスカさんだった。この世界にもジオラマみたいなものがあるらしく、ジュシスカさんは角砂糖入れくらいの小さい陶器に作られたジオラマみたいなものを集めているらしい。剣も集めているし、収集癖がある人である。


「そんなのがあるんだね。見てみたいな」

「でしたら、この後少し寄り道をしましょうか。細工物の店もありますよ」


 そういう手の込んだものって高そうなので、あんまりお店で見るのは気が引ける。ジュシスカさんにいくつか見せてもらうだけで十分だったのだけれども、ルルさんが圧の強い笑顔だったので私は頷いた。


 全員で座ってお茶をする。街のおすすめスポットなどをそれぞれから聞いていると、何だか通路の方が騒がしくなった。


「何だろ、ケンカかな?」

「ジュシスカ」


 ルルさんの一言でジュシスカさんが立ち、私に挨拶をしてから外の様子を見に行く。

 結構騒がしく聞こえるけれど、ルルさんとルイドー君は実に落ち着いた態度だった。ルイドー君はお菓子をひとつ摘んでじっと見てから、ちみっと噛んで甘そうな顔をしていた。


「ジュシスカさん大丈夫かな」

「心配ありません。屋内であれば場所も限られますし、ジュシスカは簡単にやられるほど弱くはありませんから 」


 それよりあまり遅れると予定が狂いますと冷静に返すルルさん。いつも通り。

 ジュシスカさんはそれから十分ほどで戻ってきた。






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