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グリーンベッドジャンパーズ  作者: 裏側の飛鳥
第二章 世界の根っこで
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6話 掃討作戦-5-

戦闘が終了して集合しました。


 六つの魔石がシルヴィアを中心に周囲に均等に並べられ、紫色の光がそれぞれをつないで六芒星を描き、その一つの角にステイブラーさん、その反対側の角にスコットが横たわっている。二人とも角からさらに伸びる円状の光に囲われており、内側へ向けて緩やかな渦を作るように黄緑色の光が彼らを包んでいた。即席魔導書(インスタントブック)を胸の前に広げながら目を閉じて集中していたシルヴィアだったが、俺たちの気配に気づいたのかゆっくり目を開いた。

「フレッド…!ねぇ、大丈夫?どこも怪我してない?」

 シルヴィアの表情はこの間見たものに似ていた。

「あ、ああ、大丈夫。どこもなんともないよ」

 軽く手を振って答える。

「シルヴィ、フレッド殿が決定打を放ったのだぞ。この世の終わりのような顔で心配されては、今回の功労者の彼も居心地が悪いであろう?」

「…あっ…」

 ブランジェさんにそう言われて、シルヴィアが顔を赤らめた。

「やれやれ、若いっていいねぇ」

 そう呟いてバーシルさんは俺たちの横をすり抜け、奥で座って休憩しているほかの冒険者たちのところへ歩いて行った。寝ている二人はすやすやと寝息を立てている。

「もうほとんど応急処置は終わっているようであるな。ジョカ殿と比べるわけにはいかないが、即席魔導書(そのほん)も使い慣れてきたようだ」

 ブランジェさんの言葉にシルヴィアはほっと溜息をついた。

「ほんと、ジョカ姉さまさまね。私じゃ逆立ちしてぶんぶん振り回されても毛ほども歯が立たないわ」

 二人の会話を聞きながらふと思う。

「そういえばジョカさんは?」

 俺の質問に答えたのはシルヴィア。

「祭壇で留守番をしてくれてるわ。色々気になるところがあるって言ってたから調べてるんじゃないかしら」

「なるほど」

 あのジョカさんだ、俺たちの気づかなかったところにも何か見つけたのかもしれない。

「んー…うぅ…?」

 そうこうしていると、ステイブラーさんがうめき声をあげながら目を開いた。少しの間ぼんやりしていたが、焦点が定まってくると首を動かして周囲を確認し始める。

「大丈夫ですか?ステイブラーさん」

 声をかけると、気づいたように頭を少し上げ俺の方に視線を向けた。

「おお、フレッド…無事だったか…あーっと、あのでかいのはどうした?全員無事か?」

 記憶を辿るように人差し指を立てて円を描くように回しながら質問してくる。

「あの巨大な青犬は倒しました。スコットが俺を庇って怪我をしましたが、命に別状はないです。それ以外は全員無事です」

 それを聞いて吹き出すステイブラーさん。

「お、おお…?はっは、倒した…?おいおい、冗談だろ。あんな化け物、俺たちでも初めて見たんだぞ…?」

 力なく笑いながら、再び頭を下ろして天井を仰ぐ。

「ステイブラー殿、我々が便宜上『ナナビ』と呼んでいる先程の巨大な青犬は、間違いなくフレッド殿の手によって撃破されたぞ。私も手を貸したとはいえ、貴殿の所属するギルドはまさに優秀な冒険者を有する素晴らしいギルドであるな」

 なんとなく今気づいたが、ブランジェさんは否定的な言葉をほとんど使わない。気を遣ってくれているのか本心なのかはわからないが、話していていつもほっとする。

「お、おおそうなのか…?いや、お嬢さん方に比べれば我々はまだまださ、はは」

 気圧されたのか納得したようだ。

「そういえば皆、なぜこの通路にいたのだ?ここはまだマッピングされていない区画であるが」

「あ、俺もそれは気になってました」

 腕を組んでそんな疑問をつぶやくブランジェさんに俺も同意する。と、バーシルさんが遠くから手を振った。

「あー、すまねぇ、最初は中央の青犬の群れを見て引き返したんだがよ、俺が近道しようぜって言ってこっちに連れて来ちまったんだ。そしたらあのでかいのに見つかっちまってよ。振り切りようがなくて抗戦してたってわけだ。ほんと、本気(マジ)で来てくれて助かったぜ」

 ふむ、と頷くブランジェさん。

「とするとフレッド殿たちは?」

 俺の方を見て首をかしげる。

「あ、俺たちは一度入り口の壁のとこまで見回って、そのあとこっちが近道だろうからってことで」

 そういうと、にやにやと意地悪な笑顔を咲かしてシルヴィアの方を見た。

「やっぱり男って横着よね…」

 むすっとした表情のシルヴィアがぽつりと呟く。

「だが、そのものズバリ、シルヴィの予想通りで速やかに救援に入れたのだ。不幸中の幸いというところだろう」

 そう言って俺に片目を瞑って見せた。


 しばらくして魔石が切れたのか、ひと段落した様子でシルヴィアが治療魔法を終了した。

「シルヴィ、フレッド殿を少し借りてもよろしいか?」

 少しむっとした顔で振り向く。

「べ、べつにわざわざ私に断らなくても」

 もごもごと答えて、治療魔法に疲れたのだろう、その場にへたり込んだ。

「はは、それもそうであるな。ではフレッド殿、少しあちらに来てもらえるかな」

 そう言って手招きする。

「あ、はい。なんでしょう?」

 服をはたいて立ち上がると、ブランジェさんが前を歩き始めた。先程戦闘があったところへと向かっていく。

「フフ、まだ秘密だ。まぁついて来られるとよろしいぞ」

 楽しそうにスタスタと歩いていくので、慌てて追いかけた。

 戦闘のあった場所に近づくにつれ、先程のナナビの爆発の名残があるのか、ほんのりと熱気が顔に触れる。

「ある程度熱は収まったようであるな。直後は熱すぎて触れないのだが…」

 そう言って、床のえぐれている爆心地付近をきょろきょろと見回す。

「遠くに飛ばされてしまったか…?───おお、あった。お見せしたかったのはこれだ」

 隅の瓦礫の山に何か見つけたのか、そちらへ歩いて行く。

「あっ…!」

 かがみこんで瓦礫を一つ二つと手でどけるブランジェさんから、慌てて目をそらした。

「フレッド殿、これを…おや、いかがいたした?顔だけ変な方向に向けて」

 お目当てのものは見つかったらしいので顔を戻すと、きょとんとした表情。

 ジョカさんの嘘つき。

「あ、いえ、なんでもないです。それで、これはなんです?」

 両手を振ってごまかす。ブランジェさんが手に持っているのは光の当たり方で青、黄、緑に色を変える透明度の高い、拳二つ半ほどの大きさの両端が尖った瞳型のごつごつした石だ。

「他の青犬は持たないが、ナナビは体の中にこの石を持っているようなのだ。使い道はおろか詳しいことはまだわかってはいないが、どうやら魔石の一種らしい。ジョカ殿が熱心に集めているから、フレッド殿から渡してやってもらえないかな?」

 そう言って俺に差し出す。

「えーっとブランジェさんが直接渡してもいいのでは…」

 とりあえず受け取る。まだそこそこ熱を持っていて、ずっと手に持っていると火傷をしそうだ。

「何をいう、これはフレッド殿の手柄なのだ。私から渡しては面白味も何もなかろう?」

 楽しそうにぽんぽんと俺の両肩をたたき、そのまま掴んでくるりと横に回され、トンと押される。

「さぁ、つぎはお疲れのシルヴィを労ってやるとしよう。少し休憩したら、我々はジョカ殿を迎えに行かねばならないからな!」

何か得体の知れないものを手に入れました。


感想、ブクマされると小足からゲージ消費技につなげるぐらいテンション上がります。よろしくお願いします。

ツイッターはこちら⇒https://twitter.com/pad_asuka

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