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夏生詩集3

萌える命

作者: 夏生

ある山の下

石段を降りると

ひんやりと

しっとりと

気持ちよさより

気味悪さに

小さく

怯んだ


見上げれば

山の胸板

あまりに

逞しく

容赦なく

吸い上げる勢い

突き落とす勢い

同時にあった


緑もえて

赤い雫のような花が

点々と咲いていた


河は飛沫あげ

押し流す

滝の底へ

鎮まることなく


橋を渡る

橋の下は

照りついた緑色

闇にそっくりな

藍色が

棲んでいた


考えも思いも

止まって

言葉も消えて

怯えた口から

情けない音が

漏れる

 

萌える命は

あるがまま

成すがまま

生まれ

己が力でのびていく


望みも願いも

嘆きもかなしみも

ない


畏れの中で

生きている

私も

萌える命なのだ

一瞬

ときめいた

 










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