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live  作者: 皐月 悠
8/31

出会いと指輪『8』


美空が、幸来に自分の作品をみてもらったのは、自分の中で選んでいるうちに一曲にしぼりこむ事にたいして自分一人で選ぶのが無理だと感じたからだ。

選ぶうちに自分の冷めた視線でもう一度自分の感情を向き合う事になってしまう。

作品を作っているのが珈琲やお酒を飲んだ後のハイテンションで作られているのを、しばらく時間が経過した後にみるのは、「うわー」と懐かしさとその時に感じた感情などが一気に出てきて…最終的には煮詰まった結果、幸来にみせる事にした。

幸来は自分の中では、比較的新しい出会いの中に入る友人だ。

1年も経過して?と他の人なら思うのかもしれない。もともと長く付き合う友人はもっと長いので、1年でも自分の中では「新しい友人」というカテゴリーに入れている。

私は考えて行動するよりも、直感で行動するので、なんとなくこの人は信頼できると判断するのも時間には関係なく、そう感じられた人が信頼できると判断する。たとえ、時間で長く付き合っていたとしても、この人はまだここまで話すには早いというか、話せないと判断してしまうと、話題もある程度人によって話せる範囲が異なる。

幸来の場合、「自分の恋愛の事を、誤魔化す必要なくそのまま話せる」と感じてはいるものの、なかなかタイミングをつかみかねていた。

「何?」

「んー…素直な人だと思って」

「は?」

飲みかけていた飲み物でむせてしまう幸来を見て、「そういうところがだよ」と返しそうになっても、なんとなく言わないでおいた。

言ったところで「対応がホストみたいに思える」とか言われそうだと頭の片隅で浮かぶ。意識しないで言えるような年齢では、いつの間にかなくなっていたらしい。

以前に性格が面倒くさくなるから、自分の事を好きになる人は苦労しそうだと話していたのを思い出す。私から見ると、顔の表情に感情がよく出ているし、意地の悪い笑みを浮かべている時は、本当に童話の悪役のような笑みでもなく、なんていうか、小学生男子がやるような好意をもっているけど、少しからかおうとしていうような可愛い表情だ。

「……なにニヤニヤしているの?」

「うーん、少し考え事」

「ふーん」

そうたとえば、この場で「可愛いね」と言ったとしたら、どんな表情を浮かべるのだろうか。そんな事を考えていたら、思わず口元がにやけてしまっていた。

言ったとしても、私の事だから、軽く気にされない言い方で話をもっていく事だろう。

仮に本気だったとして、言ったところで意識してもらえる可能性は低い。個人的な見解でしかないけれど、人間はそうと頭の中で意識をしないかぎり、結び付けなれる事はない。

つまり、恋愛対象として意識する事がある、という認識だ。

ほんとんどの場合、意識される事はない。こうだったなら、こうなるのだろうかと妄想してしまうのは、悪い事ではないと感じていた。よりよい未来を思い描く妄想するのならば、未来に活かせるように行動できるかどうかにかかっている気がしてならない。先に進むためには、ダメだったところを少しずつ違った結果が出るようにするだけだ。

とはいえ、私はまだ、実行にうつせそうにない。

「そういう時に浮かぶの?詞を書く時の言葉」

「んー…そうだけど、そうじゃない。感じたりするのは昼間だけど、原型になって出てくるのは、一人になって、心境も環境も落ち着けて、余計な思考もなくなった時になりやすい」

「そうなんだ」

「うん、だから、完全防水で安心して使用できる携帯が欲しい」

「?」

「掃除している時はまだすぐメモできるからいいけど、お風呂とかすぐに記録できない時は忘れないように気をつけないといけなくて」

「それは、困るね」

「違う時なら、いいけど」

「そうだね」

キャンパスのすぐ近くにある大手チェーン店の喫茶店でお昼を食べていたのだが、店内がこみ始めてきた。時計をみるとそろそろ13時になりそうだった。

「そろそろ、行こうか」

「もう時間だね」

席を立って食べ終わった容器とトレイを持って、返却台に持って行った。


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