出会い3
迷宮から帰還したのは午後の5つ目の鐘が鳴る頃だった。鐘は朝から鳴り、1回毎に打つ回数が増え、昼になるとまた、1から鳴る。
俺が女の子に向けて別れを告げ、帰ろうとすると女の子が袖を引っ張ってきた。
「…お礼」
?…どういうことだ
「お礼がしたいのか?」
するとコクンと首だけ動かし、首肯する。
「あ〜、気にすんな唯の気紛れだ。」
「それでも…助かったのは…事実。でも…今はお金がない…。だから、私にあげられるのはこれくらい」
そういって女の子がいきなり履いていたスカートをたくし上げようとした。
「ちょっといきなり何してんだよ!お前!」
「リサ…お前じゃない…」
「あ?そんな事より何しようとしてんだよ!子供がそんなことしようとすんな。」
すると頬を少し膨らませ、
「私、もう15。」
と言った。
「はあぁ〜〜⁉︎その見た目で俺より一個下かよ。いや、今はそんな事関係無い。それより俺は別にそんな事して欲しくてお前を助けた訳じゃない。」
「だから…リサ。」
「あ〜ハイハイリサ、だからそんなに気にすんな。」
「貴方は命の恩人…奴隷にされても文句は言わない。」
「あ〜もう大人しそうな癖して頑固だな。そういえば、リサは魔法使いなんだろ?パーティ登録してるか?」
「してない…でも私とパーティを組んでも足手まといになる…。」
「何でだ?」
「私のスキルは『創造魔法』Lv1…効果は存在する全ての魔法を記憶し、消費魔力5倍で全ての魔法を使える…そのせいで迷宮ではすぐに魔力切れ。
さっき迷宮に潜ったときも一時的に組んだ相手に見捨てられた…」
表情が動かないので分かりにくいが、落ち込んでるようだ。しかし消費魔力5倍は大きいな。
Lv1で駆け出しの魔法使いなら、普通魔力は500前後だからな、消費魔力5倍だと普通の魔法使いが5回は撃てる、ストーム系の魔法を2回撃っただけで魔力切れになるな。
つーか、1人でコボルトに囲まれていたのはそういう理由だったのか。
「リサ、俺とパーティ登録をしないか?」
「なんで…?私と組んでも足手まといになるだけなのに…」
「 ちゃんと理由がある。俺は『鑑定眼』という鑑定系のスキルを持っている。趣味で面白い効果を持った魔法具を色々買っていてな、そん中にこんな物がある。」
そういって俺はアイテムバッグという魔法具から腕輪を取り出した。
アイテムバッグとは見た目以上に沢山の物が入る袋型の魔法具だ。見た目がボロボロだったので、捨て値同然で市場で売っていたのを買った。
「これは同調の腕輪という魔法具で、これを着けた者同士で生命力と魔力を共通にする事が出来る。だからこれを着ければ俺の分とリサの分の2人分の魔力を使う事が出来る。
それにこれは欠陥品で元々は極大魔法を撃つために魔力だけを共通するつもりで作ったらしいが、これは生命力も共通にしてしまうせいで着けているどちらか1人が死んだらもう1人も死んでしまうんだよ。
さらにこのこと腕輪は【呪い】付きで一度塡めたら二度と取る事が出来ないんだ。」
流石にこの効果はいくら命を救われたからといっても無理だろう。
「効果や【呪い】については問題ない…。けど1人分の魔力が増えたぐらいじゃちょっとの足しにしかならない…」
「効果の方は問題無いのかよ。俺が死んだらリサも死ぬんだぞ。大体今日会ったばかりの奴の言うことを信じんのか?」
「貴方はわざわざ死にそうな私をここまで連れて来てくれた。それに騙す気ならそんな事言わない、…信じるに値する。」
「そうかよ、まあ魔力の方は心配いらない。ほれ、見てみろ。」
俺はそういってステータスカードを見せた。
「魔力24,000…貴方人間?」
「その言い方はヒドイな。まあ魔力量は問題無いだろ。」
「うん…貴方の話しを受ける。貴方とパーティを組む。」
「おう、契約成立だな。じゃあ早速腕輪を着けて、冒険者ギルドにパーティ登録をしに行くか。」
「…よろしく。」
そう言った彼女の表情は少しだけ笑ってみえた。
今回は長かったです。