出会い2
コボルトがドロップアイテムを落として、ホクホク顔で帰り道を歩いていると…
コボルトに囲まれた女の子を見つけた。普通は他の冒険者が戦っているモンスターを勝手に狩るのはマナー違反なのだが、俺はコボルトを倒す事にした。
「ふぅー、ちょっとびびったなぁ」
俺の腕の中で寝ている女の子を見ながらそう呟いた。
女の子は俺がコボルトを狩り終わって、緊張の糸が切れたのだろう。倒れる様に眠ってしまった。
仕方がないので女の子を背負って迷宮の中にあるモンスターの居ない部屋の中に入って女の子が目を覚ますのを待つ事にした。
迷宮にはルームと呼ばれる部屋があり、中にはモンスターが大量にいるモンスターハウスや宝箱がある部屋などがあり、その中でもモンスターの居ないルームを安全地帯、略して安地という。
安地に入ってから1時間程経ってからようやく女の子が目を覚ました。
女の子は見た目16歳、綺麗な黒髪をセミロングで切っていて人形の様に整った顔立ちをしている。
「ん、ココはどこ?」
声に抑揚がなく、表情が全然動かないので、人形のようだというイメージを増幅させる。
「あー、覚えているか?俺がコボルトに襲われていたお前を助けたんだよ。」
「ん、コボルトに襲われたのは覚えている…。そう、助けてくれたの…、ありがとう。」
「お前1人で帰れるか?」
冷たいかもしれないが、 迷宮ではモンスターの取り合いや宝箱の取り合いになるので、よっぽどの危機でもない限りは基本不干渉だ。
「私は魔法使いだけど、もう魔力切れで無理…」
「マジかよ、魔法使いが前衛無しでとか無謀すぎるだろ。はあ、仕方ねえ。一緒に来い、歩くぐらいは出来んだろ。」
「…ありがとう」
「どういたしましてっと、ほら日が沈む前には出るぞ。」