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季節外れの転校生

2016年5月淡路島


 オロチの野郎との戦いから一月ほど経った.

”ジリリリリリリリリリリ……”


 目覚ましの音で俺は目覚めた・


「ふわーあ、もう朝か……」


 俺は俺はベッドの上で体を起こして頭を振った、まだちょっと頭がぼーっとしてるが、ここで二度寝したら遅刻間違い無しだ。


その時ドアが空いて、見慣れた幼なじみの姿が入ってきた。


「おはよう、鉄也ちゃん、今日はちゃんと起きたんだ」


幼馴染が俺に向けてひらひらと手をふっていた。


「あのなあ、いつもいつも俺が寝坊してるみたいみたいじゃねえか…おはよう」


「ふふ、結構寝坊してるけどね、じゃ、早く着替えて降りてきて顔洗ってきてね

 朝ごはんはできてるよ」


そういって彼女は部屋から出て下へ降りていった。


おれはあくびを一つすると、ベットから降りてブレザーに着替え下に降りていった。


 洗面所で歯を磨き顔を洗ってダイニングに向かうとダイニングテーブルの上にはトーストされかりかりに焼いたベーコンとレタスと輪切りトマトと目玉焼きがサンドされたイングリッシュマフィンと半熟卵とクルトンが乗ったシシーザーサラダ、ケチャップが添えられたハッシュドポテト、コンソメスープがおいてあった。


「おー、今朝もうまそうだな」


 俺は椅子を引いてテーブルに座ると彼女と、目を合わせて両手を合わせる。


「頂きます。」

「頂きます。」


 イングリッシュマフィンを手で掴んで、それを口に入れるとスパイスとバターの風味が口に広がる。


「うん、美味い。しかも食いやすいのがいいな」


「んふふ、おだてても何もでないよぉ。

 でもでも、私が作ったものを鉄也ちゃんが美味しそうに

 食べてくれるのはやっぱり嬉しいよ、作り甲斐があるよね」


 やっぱり俺のセリフに上機嫌な彼女。

本当に美味しいご飯を毎日作ってくれるのはありがたいことだ。


 朝食を食べ終わると今日も食器を軽く洗って食器洗浄機に皿などをセットして、洗浄機の蓋を閉めると洗浄機をスタートさせた。


「ほら、そろそろ出ないと、のんびりしてたらまた遅刻するよぉ」


「おっと、じゃあいくか。」


 俺たちは一緒に家を出て学校に向けてあるき出した、因みに自転車は二人乗り禁止ということで

通学に使えなくなっちまったぜ。


「やべ、ちょっといそがねえと遅刻するか?」


「そうだね、急ごう」


俺たちは遅刻しないように小走りで走った、そして見通しの悪い十字路のかどにさしかかったとき、右側から俺たちにむけて人影が飛び出してきた。


「姫乃、あぶねえ!」


俺はその人影とぶつかりそうになっていた姫乃を右に押して俺も避けようとしたんだが間に合わなかった。


”ドン!!!”と俺とその人影は衝突してお互いに倒れて……


「うおっ、いてて」


「きゃあっ?」


 かたから倒れた俺が肩をさすりながら顔を上げると、ぶつかった相手の姿が見えた

相手は綺麗な長い黒髪と茶色がかった緑の瞳が綺麗な美少女だった。

相手は倒れたときに頭をぶつけたのか痛そうに頭をさすっている。

そして俺からは相手のスカートの中身が丸見えだった。


「あ……やべ……」


おれはとっさに視線をそっちからそらした。


「?!……」


彼女は俺の視線に気づいたのか、素早くスカートを抑える。


「み、見ました?」


俺は首をブンブン振って否定した


「い、いや、見てない」


そこへ姫乃がやってきた。


「鉄也ちゃんのスケベ!!」


そう言って姫乃は俺の耳を引っ張り上げてきた。


「いててて、俺は無実だって」


「あ……ご、ごめんなさい」


俺とぶつかった女の子がそういってスカートを抑えながら、立ち上がったあとカバンを拾い上げた。


「すみません、急いでいたもので」


そう言って女の子は俺達にペコリと頭を下げるそして


「ああもう転校初日から道間違えて遅刻なんて最悪です……」


とつぶやいて、走り去っていったのだった。


 見たところうちの学校の制服じゃなかったけど、どこの学校の制服だったかな、もしかしたらここらへんの高校の制服じゃないかもな。


「鉄也ちゃん大丈夫?急がないとホント遅刻するよ」


倒れた痛みより引っ張られた耳のほうが痛いんだが。


「あ、ああ、そうだな、急ぐか」


 まあ、出会い頭にトラックに轢かれるとかじゃなくてよかったぜ。

俺達はなんとか遅刻せずに校門をくぐることが出来た。


「そういえば鉄矢ちゃん知ってる?今日転校生がくるんだって」


「そうなのか?」


 ぶっちゃけそれどころじゃなかったから全く知らなかったぜ。

もしかするとさっきの女の子か、ま、そんなはずはないか。


「まあ、東から疎開してくるやつもいるし、西に疎開していくやつもいるしな」


 ま、最近は転校はそんなに珍しくもないしな。


御霊原高校1-C


俺達が教室にたどり着いて朝のHRの時間になって担任の君津先生が教室にはいってきた。


「今日は、みなさんに転校生の紹介をします」


「うちのクラスだったんだ」


「どうやらそうみたいだな」


周りも同じように喋り合っているせいで少々騒々しくなったが、

教師が転校生を教室に招き入れ、その姿をみんなが見たことで騒がしさは消えていった。

入ってきたのは女の子で……しかもさっき見たばかりのうちに学校のじゃない制服を着た女の子だ。


「さて、では自己紹介をしてもらおうかな?」


 と君津先生が転校生に促した。

それを受けてその転校生は皆を見渡してから多少間を置いて自己紹介を始めた。


「はじめまして、和歌山県から引っ越してきました戸部菜久佐とべなくさです。

 皆さんよろしくお願いします」


綺麗な長い黒髪と茶色がかった緑の瞳の女の子が自己紹介のあと皆に向かってペコリと一礼したあと微笑んだんだが……


「あ……今朝の……」


そういって彼女は俺の顔を見て顔を赤くしていった。


「なんつー偶然……」


 そしてクラス中の視線が俺に向けられた。


「おい、なんだよそれ?」


 前の席の男子生徒が俺に聞いてきた。


「いや、今朝に来るときに十字路の角であの転校生とぶつかっただけだぜ」


「なんだと、なんつー羨ましいやつ」


 なんか、主に男子生徒の視線が俺に突き刺さってるんだが。

あと、姫乃、俺はお前を守ろうとしただけだぞ。


「はいはい、皆さん静かにして下さい」

 

 君津先生がパンパンと手をたたいて、生徒を静かにさせた。


「さてと、では戸部さんの席は……」


 そういや俺の隣も空いてたが…


「では、須王くん、彼女の席は君の隣の開いてる席にするから面倒を見てあげてくれ。

 どうやら顔見知りのようだしな」


「へーい」


担任の指示に従って歩いてくる戸部に俺は頭を下げた


「あー、朝はごめんな。

 俺も気をつけるべきだったぜ」


「いえ、こちらこそごめんなさい」


 俺たちにお互いにペコと頭をさげて、謝りあった。


「ええと、須王くんだっけ?」


「ああ、俺は須王鉄矢だ。よろしくな、戸部さん。

 そういや、こんな時期になんで転校なんてしてきたんだ?」


「うん、ほら和歌山も危なくなってきたから、あとはお父さんの仕事の都合。

 よろしくね須王くん」


「ああ、よろしく」


 なんか、俺に突き刺さってる視線が物理的に痛く感じるんだが。


「で、ね、私の教科書が来るのが一週間ぐらいかかるみたいなの。

 一緒に見せてもらってもいいかな」


「ああ、いいぜ」


「うん、ありがとう」


 高校だと転校生の教科書が用意されるのって遅いのか。


 あと姫乃なんでそんなに睨んでるんだ?別に俺には下心はないぞ?。


HRが終わって、一限目の数学の授業が始まった。


「はい、では皆さん20ページ目を開いて下さい」


次の式を因数分解せよ。


3x^2+xy-2y^2+6x+y+3


「んあ、頭いてぇ」


 ぶっちゃけ数式は苦手だ。


「んーと、これはね、ここでこうたすきがけして……」


=3x^2+(y+6)x-(2y-3)(y+1)

={3x-(2y-3)}{x+(y+1)}

=(3x-2y+3)(x+y+1)


「ああ、なるほどな」


「うん、やってみればかんたんでしょ?」


「いや、簡単じゃないけど、戸部って頭いいんだな」


「そんなことないよー」


 戸部ははにかんで笑っていったが、うん、はっきり言っていうほど簡単じゃありません。

なんで姫乃や戸部はすぐに解けるんだ?


 午前中の授業が終わり昼休みになった、うちの学校は小さな学食もあるし、パンとかを売ってる購買もあるし、弁当を持ってきてもいい。

俺は購買や学食で昼飯を食うことが多いが姫乃は手製弁当だ。


「さて、今日は学食でくうかな」


俺が学食に向かおうとすると、戸部が声をかけてきた。


「あ、あの、須王くん、私も一緒に行っていいかな。

 今日はお弁当持ってこなかったし」


まあ、急いでたみたいだし、そうだろうな。


「ああ、いいぜ、じゃあ学食まで一緒に行こうぜ」


「うん、ありがとう」


姫乃がじっとこっちを見てうなってる


「むー」


しかし唸られても困るんだが、それとも俺が戸部を冷たく突き放したほうがいいんだろうか?


 やがて俺たちは学食にたどり着いた。

学食のメニューは日替わり定食とうどんとカレーの三種類。

今日の定食はハンバーグ、うどんは狐、カレーはポークだな。


「ここで、食券を買ってカウンターに持っていけば作ってくれるぜ。」


おれは日替わり定食をたのんだ。


「んー、どれが美味しいのかな?」


「取り立ててすごくうまいわけでもまずいわけでもないから、

 好きなもの頼めばいいと思うぜ」


「じゃあ、須王くんと同じにしておこうかな」


「まあ、それがいいかもな」


俺たちは定食の乗ったトレイを持つと適当なテーブルに座って食べ始めた。


「ん、今日のハンバーグソースは結構うまいな」


「うん、美味しいです」


昼飯を食い終わったら午後の授業、授業が全部終わったら放課後だ。


「よっしゃ、終わった終わった、かえるか」


帰ろうとする俺に戸部が声をかけてきた


「須王くん、これから何か用事ある?」


「んあ……いや、別にないけど、なんでだ?」


「あ、それならよかったです。

 あの、須王くん、大丈夫でしたら学校内の施設を案内して欲しいのですが駄目ですか?」


「ん、まあ、別にいいぜ」


「むー」


なんか姫乃が膨れてるが


「どうしたんだ姫乃?」


「もう、鉄矢ちゃんなんて知らない!」


 あれ、俺何か姫乃と約束してたっけ?

姫乃はぷりぷりしながら先に帰っちまった。


 俺は戸部と連れ立って学校の施設を案内して回っていった。

そして二年生の教室にさしかかったときに見知った顔にであった。

俺の従姉妹の先輩の朧姉さんだ。


「おや、鉄矢、こんなところに何しにきたんだい?おや、その子はいった?」


「俺のクラスに今日転校してきた転校生だよ」


「戸部菜久佐です。よろしくおねがいします」


戸部は俺の方を振り返って聞いてきた


「この方は?」


「俺の従姉妹の月光院朧さん」


「まあ、そんな感じだよ」


俺は朧姉さんに

 

「まあ、そういうわけで学校の中を俺が案内してるんだ」


「ふむ……」


朧姉さんは戸部をじっと見つめて


「あ、あのぉ……なにか失礼なことをしたでしょうか、私」


「いやいや、そんなことは無いよ」


朧姉さんは目を細めながら俺の方を見て


「で、姫乃くんはどうしたんだい?」


「なんかよくわからんが、膨れて帰っちまった」


「なるほど、まあ大体状況はわかった」


朧姉さんは苦笑してるし、戸部はオロオロしてるしいったいなんなんだろうな。


「じゃ、私は研究所に用事があるからまた後でな」


「あー、今日はいけるかな?ちとわかんないぜ」


「まあ、それなら所長に話しておいたほうがいいぞ、うん。」


「ああ、そうだな」


後で、メールでも送っておこう。


音楽室、理科室などの特別教室話を案内したあと俺たちはやがて屋上にでた。

屋上は危険なので出れない学校もあるようだが、うちの高校は普通に出れる。

ちょうど夕暮れ時で夕日が綺麗な光景だ。


「わあ、いい景色ですね」


「ああ、いい景色だよな」


運動部の部員がランニングをしたり吹奏楽部の楽器の演奏の音が聞こえてきたりという平和な風景に俺たちは見入っていた、やがて日が暮れてくると空に星と街に明かりが輝き始めた


「あ、もうこんな時間ですね、そろそろ帰らないと、おねえちゃんに怒られちゃう」


「あ、そうなんだ」


「はい、それに荷物も引っ越しのダンボールから出して整理し無いといけませんし」


「そりゃ大変だな、家ってどっちの方なんだ?」


「ええっと……」


まあ、女の荷物は多いのが定番だしな。

んで、戸部の家は俺達の家とわりと同じ方向だった。


「じゃ、まあ、だいぶ暗くなってきたし途中まで一緒にいくか」


「あ、はい、ありがとうございます」


俺は今朝方飛べとぶつかった場所まで一緒に帰った。


「あ、あとは大丈夫です」


「そうか、んじゃ、また明日」


「はい、また明日です」


そして戸部が別れる前に振り向いて聞いてきた。


「あ、あの、よければラインを交換しませんか」


俺は頬をかいて答えた。


「わりい、俺ガラケーだからラインはできないんだよな」


「そ、そうですか……でしたらメールアドレスを交換してもらえませんか?」


「ん、まあいいけど、赤外線とかってできるのかな?」


「多分……」


メアド交換とかほとんどしないからやり方に四苦八苦したがなんとかお互いのメアドを交換できた。


そして、父さんに今日はいけない旨をメールすると俺は家に帰った。


・・・

???


「やっと帰ってきたか、で、どうだった、スサノオのパイロットと接触はできたのか?」


「はい、うまくいったかと思います」


「ふふふ、パイロットを堕落おとしてしまえば、サンキシンなどただのガラクタにすぎない。

 もっとうまくやるのだ」


「はい、わかっております、姉様」

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