はっぴーえんど?
よろめきながら立ち上がった国常立尊は豐雲野神に告げた。
「儂一人では勝てぬ、ならば、豐雲、合神じゃ」
「はい!」
まさか敵メカが合体機構を持ってるとは思わなかったが、飛び上がった奴らは変形して合体し、左が男、右が女の姿になった。
「超○神かあし○ら男爵かよ」
俺のそんなツッコミは完全に無視された。
敵は地上に降り立つと、ふっと嘲るように笑った。
『さあ、禁呪により攻撃を無効にし、生命の力によって無限に再生するこの豊国神に勝てるものはおらぬ』
『少々手間取りましたが、これであなた方も終わりです』
一方の母さんは……あくびを噛み殺してる。
「あ、そっち準備は終わったんか?
こっちはいつでもええで?」
『舐めるのも大概にしておくがいいぞ。
喰らえ神雷!』
豊国神から俺のよりも遥かに強力な雷が放たれる……が。
「なんやその程度か?」
母さんが手のひらでパンと雷を打ち払うと其れは消えてしまった。
『ば、馬鹿な?
だが、これならば、神嵐!』
今度は豊国神から渦を巻く嵐が放たれた……が。
「はぁ、あかんあかん」
また母さんが手のひらでパンと嵐を打ち払うと嵐は掻き消えてしまった。
『なん……だと』
母さんは肩をすくめるように言った。
「あんたらが禁ずることと命や雲に関わることを司っているようにうちも司ってるものがあるんやで。
其れはな、あらゆるものを”殺す”ことや」
母さんはニット笑っていった。
「大体あんたらとうちじゃあ、知名度も違いすぎるんや。
神の力はその存在を信じるものの思いの強さに追うところが大きい。
となったらうちがあんたらなんぞに負けるわけはあらへんのやで?」
『ぬう?!』
母さんはざっと身を翻して豊国神の懐に潜り込むと拳を突き上げた。
「そやから、うちが負けるわけはないんやよ。
うちになぁ、己等ごときが勝てるんていう甘い幻想ごと死にさらせ!」
”DOGGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!”
拳を受けた豊国神は空中でボロボロと崩れていき、塵となって消えていった。
そして母さんは俺の方を振り返っていったんだ。
「またせたな鉄也、じゃあ、うちと一緒に冥界に行こか」
「かあさん、一つ聞くんだけどだけど其れって」
「ああ、大丈夫や、痛くせんよ。
大事な息子やさかいにな」
「殺すことは否定しないわけかい?!」
「しゃーないやん、生きたまんま冥界へ行けるのは仏だけやねん」
「俺はまだ死にたくないんだよ母さん」
母さんはフットため息を付いた。
「反抗期ってやつかいな?
昔はあんなに素直でかわいかったんやけどなぁ。
あんまり言うこときかんのおやったらお尻ペンペンやで」
お尻ペンペンのペンで俺が即死する光景しか見えねぇ……。
その時研究所の方から一台の車が走ってきた、急停止したそれからおりてきたのは……。
「父さん?」
そうまごうことなき俺の父だった。
そして父さんは母さんに向かって大きく頭を下げ、言った。
「俺が悪かった、戻ってきてくれ!。
俺は今でも君を愛してる!」
母さんは目をパチクリさせた後、あははと笑った。
「もう、ホンマに困ったもんやな。
うちの男どもははうちが居ないとだめなんやから」
「また一緒に暮らしてくれるか?」
「ええで、冥界は静かでええけど活気があらへんしなぁ」
こうして母さんは地上に戻ってくることになり其れに伴い、冥界の女王としての”殺”の能力を失った代わりに創造の力を取り戻したようだ。
・・・
2017年4月淡路島
”ジリリリリリリリリリリ……”
遠くで目覚まし時計が鳴っている音がする。
だがもう少し、そうあと5分でいいから寝ていたい。
「鉄也、いいい加減起きーな、遅刻するで。」
これは……母さんの声か、どうやらのんびり眠ってるわけにはいないらしい。
「わかったよ母さん、今起きるから。」
寝ぼけ眼で俺はベッドの上で体を起こし、声の主に目を向けると、そこに立っていたのは母さんだった。
「おはようや、鉄也」
ニコニコと微笑んだ母さんがいた。
「あ、母さん、ごめん……今起きるよ。」
母さんが戻ってきたあと、荒脛巾の軍は出なくなった。
国之常立神と豐雲野神が実質的なリーダーだったらしい。
とは言え徹底的に破壊された東日本には自然が戻ってきており、時折生き残りが現れたからそこに戻ろうとするものはあまり居なかった。
「ほな早よ着替えて降りてきいや、朝ごはんできとるで。」
そういって母さんは俺の部屋から出て行った。
おれはあくびを一つするとベットから降りて冬服のブレザーに着替え下に降りていった。
洗面所で歯を磨き顔を洗ってダイニングに向かうとダイニングテーブルの上には焼鮭に味のりと納豆と生卵、インゲンの白あえに豆腐が並んでいる。
キッチンでは姫乃と戸部と母さんが和気藹々と料理をしているようだ。
父さんはテーブルの席につきながら新聞を読んでいるふりをしている。
「んー、ちょっと出汁のとり方が甘いかな?」
味見をしながら言う姫乃
「せやな、ちょっと雑味が混じっとるな」
同じく味見をして真剣な表情で答える母さん
「ご飯はどうですか?」
戸部が炊きあがったご飯を差し出すと母さんが味見していった
「うん、まあええんやないか?」
喜ぶ戸部とクッという表情の姫乃、最近の麻は毎日こんな感じだがなんで張り合ってるんだ?
俺は椅子を引いてテーブルに座ると味噌汁とご飯がテーブルに運ばれてきて、各自の前に置かれた。
おれはみんなの顔を見回した後両手を合わせる。
「頂きます」
「頂きます」
「頂きます」
「頂きます」
「頂きます」
そして俺はお味噌汁が入ったおわんを手に取るとズズッと味噌汁に口をつけた。
柔らかい昆布と鰹節の天然だしと味噌の香りが口に広がる。
「ああ、やっぱり天然だしの味噌汁はうまいよなぁ。
味の素とかが入ってるとどうも舌がピリピリするし、こういうのがおふくろの味ってやつなんだろうな。」
「えへへ、そうかな、そうかな?。
私が作ったものを鉄也ちゃんが美味しそうに食べてくれるのは私もとっても嬉しいよ」
「まったく、鉄也は味音痴やな。
この味噌汁はまだまだやで」
「そんなこと無いぜ、全然うまい」
「ま、愛情は最高の調味料っちゅうやつかもな」
姫乃は母さんのことばに顔を赤くしてる。
家族揃って食事を食べられる言うのは本当にいいことだ。
朝食を食べ終わると今日も食器を軽く洗って食器洗浄機に皿などをセットして、洗浄機の蓋を閉めると洗浄機をスタートさせた。
「ほら、そろそろ学校に行きや。
遅刻するで。」
「おっと、じゃあいくか。」
「ん、そうしよ」
「ええ、そうしましょう」
俺たちは家を出ると三人で学校に向かった。
そして俺達は高校の校門をくぐって、体育館の前に貼りだされているクラス分けの掲示の前に辿り着いた。
「私達一緒のクラスだといいね。」
「今年も一緒だとうれしいですね」
姫乃と戸部がそう言って掲示を見ようとする。
「ああ、そうだな。」
俺は二人と一緒に人の波の中に入っていった。
「えーと、稲田、稲田っと……2-Bだな。
戸部は……おお2-Bだ。
で、須王、須王は……を、俺も2-Bだ。」
「よかった、鉄也ちゃんとバラバラのクラスじゃじゃなくて。
じゃあ、講堂に行こう。」
「私も一緒で良かったです、行きましょう」
「お。おう。」
こうして俺達は学生生活を楽しんでいる。
日本以外の国ではまだ戦いの続いているところもあるようだが、今のところ日本は平和になった。
だが俺達は生き方をこれから考えていかなければならないだろう、犠牲になった多くの人たちのためにも。




