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夏だしたまには海もいいんじゃね

さて、海水浴当日だ、今のところアラハバキには動きがなくて何よりだぜ。

因みに今日は俺の父さんと戸部の父親は忙しくてこれないので引率は姫乃の母親の伊奈さん、他のメンバーは美貴姉さん、朧姉さん、姫乃、戸部、それに俺……なんか俺だけ場違いな気がするんだが気のせいだよな。

買い物にも使った美貴姉さんのワゴン車で俺たちは海水浴場へ向かった。


「おー、空も海も青くてきれいだなー」


 俺は青く広がる空と海を見てなにか感動していた。

美貴姉さんが頷いて言う。


「島だから見る機会なんていっぱいあるはずだけど

 改めて見るときれいな景色よね」


 それに朧姉さんが同調していった。


「ああ、たまにはこういった休息も悪くないな」


 淡路島の海水浴場の水質はもともとかなり良かったが、アラハバキが復活して以降はものすごくきれいになった。

人間の生活がどれだけ海を汚していたかってのがよく分かるな。


 今は何時敵が現れるかわからない時代だが、そんな時代でも海水浴は夏の娯楽として砂浜はそれなりに賑わっていた。

砂浜には家族連れやカップル、女の集団や男の集団があるし当然海の家もある。

音楽を流して聞いて踊ったりしてる連中や砂の城を作ってる親子、ビーチバレーやサンドフラッグをしてる連中もいる、砂の上をジャージで走ってる集団はどっかの高校の部活の合宿とかかもな。


 砂の上を走るのは足腰を鍛えるのに良さそうだが……熱くないんだろうか?。


 俺達は海の家でビーチパラソルを借りて適当なとこにシートを引き、日よけのタープテントも張った。

そのそばにパラソルを差してクーラーボックスなその荷持で飛ばされないようにシートを押さえる。


「あっつ、しっかし、日差しが暑いと砂も暑いな」


「それはそうだよ。

 これで砂が氷のように冷たかったら逆にびっくりするよ」


 姫乃が笑ってそう言い返してきた。


「まあ、そりゃそうだな」


 そこへ美貴姉さんが俺に声をかけてきた。


「じゃあ私たちは水着に着替えてくるから、荷物番を頼むわね」


 俺は冗談交じりにびしっと敬礼して答える。


「了解、俺が暑さで干物になる前に戻ってきてくれよな」


 美貴姉さんがひらひらと手を振って


「了解、じゃあいきましょ」


 と女性陣はみんな更衣室に向かっていった。

俺はシートの上で横になる。

日差しはきついはずだがパラソルの影は海風が当たって結構気持ちいい。


「やー、たまにはのんびりもいいかもな」


俺が寝っ転がって海風の涼しさの心地よさにウトウトしかけた瞬間、


「おまたせー、鉄也くんも着替えてきて大丈夫だよ」


 と美貴姉さんを先頭に女性陣が戻ってきた。

因みに美貴姉さんは派手なオレンジのビキニ、朧姉さんが白いビキニ、姫乃と戸部はそれぞれこの前買った青いワンピースと若草色のワンピースだ、伊奈さんはセパレートタイプの黒い水着。

伊奈さんは40近いはずなのにいつ見てはそうは見えんぜ。


「美魔女ってやつかね」


「あら、褒めても何も出ないわよ」


「おばさんって言ったらはったおすくせに」


「あら当たり前よ」


 そういってホホホと笑う伊奈さんは実に年齢不詳な感じだ。

しかしいまあ、みんなルックスもスタイルみいいから割りと視線集めてるぜ。

まあ下手に美貴姉さんや朧姉さんに手を出したらぶっ飛ばされるけどな。

見かけによらずあの二人は強いのだ。

まあそれにどっかにSPもいるはずだ、黒服サングラスの屈強なお兄さんにつれて行かれたくなかったらよけいなことはしないほうがいい。


「じゃ、いってくるぜ」


 おれはリュックを持って更衣室に向かった。

そしてこの前買った水着を取り出すとちゃっちゃと着替えてみんなのところに戻る。

伊奈さんは美貴姉さんに日焼け止めを塗ってもらってる。

朧姉さんはもう泳いでるのかな?

伊奈さんや美貴姉さんのところにイケメン二人が水着姿で立ってるが多分SPだろう。

多分タケミカヅチとフツヌシの転生者だと思う。


「ただいま」


 俺が声をかけると姫乃がにぱっと笑った。


「おかえりなさい、鉄也ちゃん」


 俺はぐっと体を伸ばすとビーチサンダルを脱いでシートの上に置き、海の方へ歩き出した


「さて、早速泳ぐか」


 それを戸部が止める。


「その前にちゃんと準備運動をした方がいいと思います」


 俺はごまかし笑いをして足をとめた、確かに戸部の言うとおりかもしれない。


「お、おう、確かに足がつったりしたらやばいしな。

 んじゃ、適当に体を温めるか」


 屈伸したり体を回したり、腕を回したりして本当に適当に体を温める。


「んじゃ改めていくぜ」


 波打ち際から全速力で走って海に飛び込む。


「ひゃっはー」


 ざばんと潜った後体を浮かび上がらせた。


「ひゃー、冷てえ、気持ちいぜ」


 そしてその場に立って、プルプルと頭をふる。

海水がしょっぱいぜ。


「ほんとつめたくて気持ちいいね、えい!」


 そう言いながら同じように飛び込んだ姫乃が水をバシャッとかけてきた。


「やったな、お返しだ!」


 そういって俺は姫乃に水をかけ返す。


「うわ、やったなぁ」


「え~い」


 と、戸部も俺に水をかけてきて二対一の俺は盛大に濡れた。


「お前ら、ホント仲いいな」


「それはね」「ねー」


 二人して狙われたらかなわんぜ。

そんな感じで水の掛け合いやら泳いだりをしてたら結構体も冷えてきた。


「なんか寒くなってきたし一回戻るか」


「うん」


「はい」


 二人も同意したので俺達はパラソルのところへ戻った。

戻ると伊奈さんがクーラーボックスからスイカを一つ取り出していた。


「あらおかえりなさい、軽く包丁を入れたから

 みんなでスイカ割りでもしたらどうかしら?」


 スイカ割りか小さい時にやった気がするが最近はやってないな。


「よしやろうぜ。」


「おや、張り切ってるね」


 朧姉さんも戻ってきたらしい。

代わりに美貴姉さんが席を外してるな。

そして伊奈さんが予め用意シてくれた適当な長さの木の棒と目隠し用の布をバックから取り出す。


「さて、誰から行く」


 おれっは周りに聞いてみた。


「鉄也ちゃんからでいいよ」


 どうやら周りも同意見らしい。


「はい、どうぞ」


 俺は伊奈さんから真隠しを受取り、それを目のところに巻きつけると木の棒を手に取った。


「よし、じゃ、俺からな」


 目隠しをしてぐるぐると姫乃と戸部が俺の体を回す。


「じゃあ、スタート」


 誰かの手が折れの背中を押した。

ちょっとばかり回し過ぎじゃないかふたりとも。

葦をフラフラさせながら俺は声を頼りに進む。


「あ、ちょっと右」


「行きすぎですよ、ちょっと左」


「そのまままっすぐだ」


「あ、右だよ右」


「よーし、そこだ」


 俺は軽く棒を振り下ろした。


「あーーーーーーー」


 残念、外れてしまったようだ。


「惜しかったのにね」


 さてこの後姫乃、戸部と続いて挑戦したが、二人は失敗、最終的に割ったのは朧姉さんだった・


「このくらい目をつぶっていてもできるぞ」


 いや、目隠しはしてるはずなんだが一発で割るとかすげえな。

包丁を入れといたおかげで粉々にならずになったスイカをみんなで食べる。


「うん、労働の後のスイカは最高だな」


「労働じゃない気がするけど、こういうのもたまにはいいね」


「はい、美味しいです」


 みんなほくほく顔だった。

そしてやがて昼になって飯は海の家でバーベキューだ。

みんなが揃ったところで予約していた海の上に向かった。

ドリンク飲み放題に後は追加チケットで具材を買うタイプだな


「おお、肉と海老、野菜は俺はいいや」


「そんなこと言ってないでちゃんと食べないと駄目よ」


 伊奈さんが俺のさらにピーマンを山盛りにしてくれた。


「うえ、これはひどい」


 そう言いながらとりあえず食べる。

この人に逆らうと後でもっとひどい目にあうのは経験済みだ。


「はい、鉄也ちゃん、お肉が焼けたよ」


「あ、須王くん、えび食べる?」


「おう、ありがとな」


 姫乃と戸部が肉と海老を焼いてくれたのでピーマン地獄から抜け出した俺はありがたくそれを頂いた。

伊奈さんや美貴姉さんはビールを、俺達は未成年なのでウーロン茶を飲みながら肉と焼きそばを追加してそれを平らげた。


 食べ終わって一休みした後はみんなでバナナボートにのった。

救命胴衣をつけてバナナの形をしたボートにまたがって、それをモーターボートに引かせて海の上をひっぱてもらうと言うものだ。

水上スキーなど程は難易度は高くないがそれなりにスリルを味わえるらしい。


「うぉお?」


 実際にのってみたら結構楽しかったぜ。

運転する人間によってはもっと激しかったりもっと緩やかだったりするらしいけどな。


 その後はみんなに砂に埋められたり、ビーチボールでビーチバレーごっこしたりなどして日が傾くまで楽しんだ。


「夕日が綺麗だな、さてそろそろ帰るか」


 シートをしまい、借りた物を海の家に返して俺達は帰途についた。

日焼け止めを塗り忘れた俺が日焼けの痛みにその後のたうち回っていたのは言うまでもない。

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