諏訪神との戦い
7月淡路島ミハシラ機関研究所戦闘司令室
長野より西日本へ向かって飛来する巨大な飛行物体がレーダーに映る。
『総員第一種戦闘配置!東日本方面より敵性体飛行物体が接近中です。
総員は所定の位置についてください。』
オペレーターの一人が叫ぶ
「敵性飛行物体はこちらに真っ直ぐ進路を取っています、」
「今回は予想通りか、予想より早かったな、各パイロットはどうなってる?」
「全員先程到着しました、現在サンキシンは起動準備中です」
「今回は大丈夫そうだな」
研究所格納庫
俺と姫乃は学校に迎えに来た車にのって研究所へきていた。
車を降りてIDカードを見せて施設内に入ると格納庫へまっすぐ向かった。
そして俺達が到着した時には他の二人は先にきていた。
「揃ったわね。いくわよみんな。」
美貴姉さんの声にみな頷くとそれぞれの機体に飛び乗った。
「陽光号、でれるわよ」
「月光号、発進準備完了」
「海皇号、行けるぜ!」
父さんが腕を振り上げて指示をくだした。
『三貴神発進!』
『了解、三貴神、射出シークエンス開始。
重力カタパルトコンデションオールグリーン。
進路確保。三貴神、射出します。』
カタパルトに載せられた俺達の機体は研究所の外の空へ俺たちの乗る戦闘機は射出された。
オートパイロットでしばらく飛ぶと遠くに巨大な空飛ぶ翼を持つ白蛇が見えてきた。
「今回は諏訪大明神の中のミシャクジ神のようね」
オロチは越つまり北陸地方、ナクサトベやニシキトベは紀伊の土着勢力だったが、諏訪すなわち信濃方面の戦いは最も激しいものが有ったらしい。
そして諏訪の神々はいつしかまとめて崇拝されるようになり軍神・豊穣神・水神・狩猟神・暴風神・巨石や巨木の神などいろいろな側面を持つようになった……と言うか属性多すぎだろ。
俺は他の二人に聞いた。
「で、今回は誰が行く?
相手が蛇なら俺のスサノオがいいかもしれないぜ」
俺がそんなことを言うと蛇が真っ赤な口を大きく広げ、光り輝く球状のものをたくさん吐き出した。
『いや、今回は私の出番のようだ。』
朧姉さんがそういう。
『了解』
「了解、朧姉さんに任せる」
多数相手に一番強いのは朧姉さんのツクヨミだからな。
ツクヨミは月と星を統べる女神だ。
『神核!合神!現れいでよツクヨミ!』
その言葉とともに月光号・海皇号・陽光号が不思議な光りに包まれると変形し月光号が上半身・海皇号が胴体・陽光号が脚となって巨大な中性的なフォルムのロボットへ変形した。
『行きなさい、天津甕星!』
その声とともにツクヨミの腰のスカート状の装甲が翻りそこから無数の輝く誘導兵器が飛びだして、それは敵の輝く光とお互いに交戦し始めた、お互いがお互いを撃墜し合う。
状況的には割りと互角のようだ。
『さすがになかなかやるな』
『諏訪神は軍神としても祟り神としても強い力を持っていると
言われているからね』
「けど、負ける訳にはいかないぜ」
サンキシンは特定の形態になった時にメインパイロットが決まるが、サブパイロットがなにもしない訳じゃない。
まあ、はたから見ると何もしてないようにみえるけどな。
やがて白蛇は弓矢を持った人の姿に姿を変えた。
狩猟の守護神であるとチカト神だな。
そしてチカト神は矢を放ってきた。
『甘いな、来い、新月刀』
朧姉さんの声とともに、ツクヨミの両手に柄だけに見える偃月刀が現れ、矢を切り払った。
『ツクヨミが天津甕星以外に何もできないと思うなよ』
ツクヨミの両手に三日月型の刃物が現れると朧姉さんはそれを左右にはなった。
『ゆけ、三日月月牙!』
それはチカト神に左右から襲いかかり、チカト神は弓でそれを払い落としたが弓はざっくり切れてつかいものにならなくなった。
チカト神は巨大な石である洩矢神の更に姿を変えた。
「いろいろな姿をもってるな」
『まあ、習合体として長年祀られているからその影響じゃないかしらね』
『おしゃべりしている暇はないぞ』
果たして巨大な岩が次々に飛んできた。
『甘いな、このツクヨミに魔術攻撃は効かない……月光鏡』
ツクヨミの前に大きな鏡が現れると巨大な岩は跳ね返されるように戻っていった。
”ゴガガガーン
岩の直撃を受けた洩矢神は姿をさらに変えた。
今度は力の強そうな男の姿だ。
『あれは……タケミナカタだな』
『となるとツクヨミでは不利ね』
『ああ、タケミナカタは脳筋だからな、鉄也後は任せる』
「よっしゃまかせておけ!」
なんか褒められてる気はしないが、スサノヲの出番だ。
「よし、いくぜ!」
『分神!』
「いっくぜぇ!神核!合神!現れいでよスサノオ!」
海皇号・陽光号・月光号が不思議な光りに包まれると変形し海皇号が上半身・陽光号が胴体・月光号が脚となって巨大な男性的なフォルムのロボットへ変形した。
そしてタケミナカタが怒涛の突進をしてきた。
「力比べで負けてたまるか!」
俺はスサノヲを操りがしりとタケミナカタの手を掴んで力相撲の体制に入った。
「ぬぅぅぅぅぅぅ!」
『オォォォォォォ!』
両肘の関節がきしみ痛みが俺の体にフィードバックされる。
「ぬうん!」
「グアァァァ!」
俺は力任せにタケミナカタの手を握りつぶして、其の手首を捕まえるとぶん投げた。
「おらぁ!」
『ウガァァァァ!』
そこへとどめを刺そうとしたがそいつは平伏して降参のを示してきたんだ。
「降参……みたいだがどうする?」
『まあ、昔も同じように降参してその後はそんな悪さもしなかったみたいだし
長野付近を安全に住めるようにしてくれるならいいんじゃない?』
美貴姉さんがそういうと朧姉さんも同意した。
『まあ、降参するというのなら敢えてとどめを刺すこともなかろう』
俺は二人に頷いた。
「じゃまあ、そういうことで、これから中部や北陸、東海を
安全に守ってくれるなら、それでいいってよ。
その代わり次はないけどな」
タケミナカタはコクコク頷くとしゅるしゅると小さくなって、やがて消えてしまった。
「まあ、たまにはこういうのでもいいのかもな」
『じゃあ、分離して帰るわよ』
『了解』
「了解、早く帰ってシャワー浴びたいぜ。」
俺達は分離して、研究所まで帰った。
北海道某所
クニタチ「なんとも情けないことよ……」
トヨクモ「致し方ありません…」
クニタチ「ならば私達自ら出るしかないな」
トヨクニ「はい、行きましょう」
?「無駄なことです、あなた達では勝てません」




