戸部とのデート・中華街と遊園地
さて俺達はバスから降りて南京町の中華街にむかった。
派手な西安門をくぐるとメインストリートの両側には屋台が立ち並んでおり、いい匂いが漂ってきた。
点心や飲茶と言った軽いものはすぐ食べられるようになってるみたいだな。
「あ、あそこの豚まんが美味しいって評判のお店みたいですよ」
戸部が指し示す方の店には人が並んでいた。
「たしかに人気みたいだな。
しかし並んでまで食べたいかな?」
「それだけ美味しいってことですよ、行きましょう」
戸部が俺の手を取って、列の最後尾まで歩いていった。
そしていまさら気がついたように手をはなしてわちゃわちゃと手をふった。
「あ、すみません、つい」
「ああ、別に気にしなくていいぜ」
そんなに食べたかったのかという気はするけどな。
ここの店の名前は老祥記創業はなんと大正4年の超老舗で豚まんで有名なんだそうだ。
「いつも混んでるのか、ここは」
「まあ、日曜日ですからなおさらだとは思いますけど、
普段から行列ができるくらい人気はあるみたいです」
やがて、列も進み俺達はそれぞれ豚まんを2つずつ手に入れて、店から離れた。
一つだと結構ちいさいんだな。
「早速いただくとするかね」
「いただきます」
ふむ、たしかに美味しい豚バラのひき肉とネギを醤油ベースのタレで味つけをしたあんをしっかり包むコシのある皮は独特の味わいと食感だな、ちょっと癖があるから人によって好みはわかれるかもしれないが、俺はすきだ。
「うん、うまいな、ならんで待っただけの甲斐は有ったかもな、うん」
「そうですよね、ならんでよかったです」
フラフラと歩いて俺達が次に入ったのはお次は"黄色い看板が目印の民生廣東料理店というお店だ。
ここも40年以上続く結構な老舗らしい。
「このお店の看板料理は中華粥といかの天ぷらで、
あっさりとしていて美味しいそうですよ」
「へえ、中華って言うとこってりしたイメージがあるけどそんな料理もあるんだな」
俺達は店に入り中華粥とイカの天ぷらと小籠包を頼んだ。
やがて、中華粥とイカの天ぷらと小籠包が運ばれてきた。
大皿にそれぞれ入れられているので、小皿に取り分けて食べることになる。
「そういや中華料理が大皿に乗せられてくるのは
毒殺を警戒したかららしいて聞いたことがあるな」
「そ、そうですか」
あれなんか俺の言葉に動揺してるぞ?
「おいおい、あくまでも昔の話だぜ、今は習慣だからってだけだろ
粥とかが冷めないうちに食べちまおうぜ」
「あ、は、そうですね。
美味しいうちに食べちゃいましょう」
俺は小籠包を一つ取って箸で皮をつついて破り、少し冷ましてから箸でつまみ中の肉汁を吸った。
「うーん、美味い!さすが本家の中華料理屋だな」
熱いのが苦手な俺はちまちまとそれを食っていた。
なんか戸部は平気みたいだけどな。
中華料理で腹ごしらえが住んだ俺達はハーバーランドへ向かった。
「せっかくだからモザイクガーデンにでも行くか
映画とかより遊園地のほうが楽しそうだ」
「ん、じゃあそうしましょうか」
買い物は前にしたし、映画は趣味が合うかどうかが問題だが、遊園地ならまあ大丈夫だろう。
俺達はミニコースター、ウェーブスィンガー、サイクルモノレールなどを堪能して最後は観覧車だ。
だいぶ日が暮れてきてあたりは夜景をイルミネーションが美しく彩っている。
「須王くん、今日はありがとうね」
観覧車の中で俺たちは向かい合って座りながら夜景を眺めていた。
「いやいや、俺こそありがとうだ。
今日は楽しかったぜ」
観覧車が一番高い所まで来た時にガタンと揺れて観覧車が止まった。
「何だ?なにかあったのかな」
「ど、どうしたんでしょうね?」
俺達は顔を見合わせたがしばらくして観覧車は動き出した。
そして、無事に俺たちは観覧車のゴンドラから降りて、俺は伸びをした。
「さて、日もくれちまったし、そろそろ帰るか?」
そういった俺に戸部は衝撃の発言をしたのだった。
「須王くん、私と一緒に逃げて」
と。




