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大ピンチ、神聖技が効きません

 接近戦は不利だ。

 魔穴から出現したその生物を見て思わず悟る。

 青い片角の鬼。

 手にしているのは鉄の棍棒。


 よく日本に伝わる鬼のイメージそのままに、虎のパンツを穿いた半裸のガチムチ系生物がそこに居た。

 ああ、背筋がゾクゾクする。

 ヤバイ気配というよりも、私の本能が敵対することを恐れている。

 あれはそれだけヤバい生物だ。


 青鬼は右を見て、左を見て、上を見る。

 どうやらさっきまで居た場所とここが違う事に気付いて現状確認を行っているらしい。

 そして彼は頭上を舞いながら鎌を避ける鳥頭を見る。


 見ていたのは一瞬だ。興味を失ったのかさらに別の所を見る。

 鳩化したファニキエルだ。

 あ、すごい愉快気な顔をしている。


 どうやらアレが天使だというのはわかったようで、そんなところでなに気絶してるのだ、間抜め。といったニュアンスを込めた嘲りの笑みだった。

 そんな青鬼の瞳が、私に向けられる。


 眼が合っただけで全身から冷や汗が噴き出た。

 うわ、目、合ってる。めちゃくちゃ合ってる。

 私と青鬼はしばらく見つめ合う。

 だからと言って恋が始まったりはしない。そんなもんできるはずもないし。


『おい、お前を召喚したのは私だ! そこの聖戦士を名乗る女を殺せ! 魔統王様のために!』


 椋鳥が叫ぶ。でも青鬼は答えない。

 私を見つめたまま微動だにしない。

 何、何で動かない?

 というか、コレ視線離したらどうなるの?


 熊と合った時の様な状態です。

 熊相手に実は死んだふりが通じないと知ったのは、先生と森で熊に遭遇した時だった。

 あの時は死んだふりをしようとして先生に怒鳴り止められた。


 死んだふりをすると食料とみなされそのまま連れて行かれるそうだ。

 なので正解は視線を放さず後退りして逃げる。

 熊の足は下手な車より速いので走って逃げても追い付かれてバッサリやられるとか、熊の目の前で私は怒られた。


 そして一時間、気が付けば熊は居なくなっていたというなんとも空しい話があったりするのだけど、まぁ、今は関係ない話だよね。

 要するに、目を放すと殺られる気がぷんぷんしてます。


『ちょっと、私の命令を聞けっつってんだろ!』


 何を血迷ったのだろうか?

 椋鳥が物未を蹴り飛ばして青鬼に近づいた。

 上空で滞空しながら怒鳴り散らす。

 あいつも結構追い詰められてるんだろう。


 でも、やっぱ鳥は鳥頭なんだねぇ。

 青鬼さん、物凄く迷惑そうな顔をしてます。

 微妙に唸りが聞こえる気もする。


『聞けよッ! お前は私が召喚したから私の使役魔物になってんだよ! 私に逆らっても身体が痛いだけよ! 痛いでしょ! だったらクソ生意気なあいつを……』


 椋鳥の声は最後まで続かなかった。

 いい加減頭に来たらしい青鬼が無造作に腕を振う。

 手にしていた鉄の棍棒が手から離れて椋鳥に激突する。


 悲鳴すら聞こえなかった。

 体育館の壁をぶち壊し鳥女の標本が出来上がる。

 まぁ、瘴気濃いらしいから死んでないならそのうち回復するみたいだけど……

 これは暴走って奴ですかね。最悪だ。


 そして、椋鳥のせいらしい。苛ついた顔の青鬼は大きく息を吸い込んだ。

 動き出すらしい。

 しかも、何か危険な予感がビンビンです。


『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――ッ』


 耳の鼓膜が破けるんじゃないかと思える凶悪な咆え声に私は耳を塞ぐ。

 あんな声を間近で聞かされたら多分音で殺される。

 声が凶器とか最悪過ぎる。


 気が付けば、咆え終わった青鬼が深く腰を落としていた。

 ヤバいっ。

 半ば本能に従うように私は飛び退く。


 刹那、ドバンッと床が捲り上がり青鬼が消えた。

 いや、一瞬で私が居た少し前の場所を拳で粉砕していた。

 速過ぎる。何だこの生物!?


 本能の危機感はまだ続く。

 それに従い即座に紗那螺を合わせて前面をガードする。

 両腕を顔の前にしての紗那螺による完全ガード。


 一瞬遅れて青鬼の二歩め。

 下から斜め上へと駆け抜ける拳が紗那螺の中心を穿つ。

 ガードなんて意味がなかった。


 私の細腕を吹き飛ばし、紗那螺を破壊する。

 幸いなことに衝撃を殺せなかったせいで私自身が上空に跳ね上げられダメージらしい物は喰らわなかったが、衝撃を受け止めようとしてたら死んでいたかもしれない。

 拳の一撃がトラック並みの突撃力だ。


 頭上を見上げる青鬼、身体を沈めようとしている。

 マズい、跳ばれたら終わる。

 それが分かる。


 ここで引くと確実に詰む。

 今までの経験が警鐘を鳴らす。

 ここは死ぬ気で抗わなければ、生き残れないッ!


「おあああああああああああああああああああああああああッ」


 愛。なんて考えてる暇はなかった。ただただ光をイメージしてガトリング連射を打ち込む。

 突然のことに驚いたらしい青鬼だったが、その光の威力を悟ったのか微動だにせずに神聖技の雨にさらされる。

 全く……効いてねぇ!?

登場人物


 ひじり 小影こかげ

  現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。

  基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。

  特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。

  座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。

  聖戦士になったようです。ルミナス・スプリングと名付けられた。

  メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。


 メルト

  原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。

  時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。

  以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。

  人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。


 結城ゆいしろ 杏奈あんな

  現在16歳、彼氏無し。

  小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。

  不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。

  姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。


 神殺かみさつ 物未ものみ

  父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。

  パックの緑茶が好きらしい。

  闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。

  組員の殆どが警察に捕まったせいで弱体化を余儀なくされたらしい。

  ルミナス・ウインターとして魔物退治に参戦。

  聖戦士として実力を付けて密かに小影抹殺を狙っている。


 増川健治

  渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。

  声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。

  金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。

  子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。


 ハニエル・ルーマヤーナ

  神の愛と称される大天使の一人。

  全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。

 ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。


 ファニキエル・シュイタット

  ハニエルにより見出された落ち零れの天使。

  前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。

  未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。


 舞羽まいばね 椋鳥むくどり

  学校に魔穴を開いたと思しき黒幕。

  鳥人間らしい。

  昼間は人間に擬態して学生として生活している。


 牛頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。


 馬頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている


 青鬼

  魔穴から出現した中級魔族。

  人語は話せないがそれなりに意味を知ることはできているらしい。

  ハーフハーピーよりもずっと実力が上のため従属はしないらしい。

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