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私の怒り、お茶の恨み、そしてこれが……

 懐に飛び込み渾身の一撃を馬頭鬼へと叩き込む。

 ルストの能力で強化されているらしい拳を受け、馬頭鬼が悲鳴を上げる。

 耳を劈くような叫びに顔を顰めつつ、胴を穿った拳を引き抜く。


 馬頭鬼の胴体に拳大の穴が開いていた。

 どうやら彼の胸元がルストの力とやらで消失したらしい。

 無くなった胴からさらさらと砂の様な何かが流れ落ちていく。


 だけどまだまだ、また復活されても面倒なだけなので、ここで完全に叩き潰す。

 拳には殺意を溜めたまま、紗那螺起動。

 形状変化を意識する。今必要なのは防御兼打撃のトンファーじゃない。

 ひたすら相手を打ち抜くグローブだ。


 私の意志に応えるように、紗那螺が形状を変化させる。

 防壁となっていたトンファーの先が拳に巻きつくように丸みを帯びる。

 腕をガードするグローブ状になってしまった。

 うん、まぁ紗那螺第二形態ってことで。


 さぁ、行くぜ。覚悟しろ馬頭鬼。

 仰け反る馬面向って追撃。

 紗那螺に赤い光が宿る。


「これが、私の怒りッ」


 突き出された紗那螺が馬頭鬼の顔面を穿つ。

 馬頭鬼の頭蓋を削り飛ばし眼球が破裂したように飛び散った。

 やばい、いきなり変な場所当てちった。


「これが、お茶の恨みっ」


 馬頭鬼が崩れるように倒れ始めたので、喉元に拳を打ち込み衝撃で背後へと身体を倒させる。

 次で決める。

 殺意を全て右手に集める。この一撃でぶち殺す。


「そしてこれがぁ……お前を一千万に変える一撃だァッ!!」


 渾身の一撃を叩き込む。

 既に顔を失っていた馬頭鬼の頭蓋を爆砕し、私の拳が馬頭鬼を粉砕する。

 これでどうだとばかりに残心していると、馬頭鬼が急速に透明に、静かに消え去った。


「よし、二体目ゲット」


 牛頭鬼に引き続き二体目の撃破である。

 お金が手に入るとわかれば諸手を上げて万々歳だ。

 残り一つ、鳥頭も屠ってくれよう。私のお金に変わるがいい。


「なんて奴。馬頭鬼がこんな短時間で……」


 まぁ、一度普通に戦えるとわかれば動きも攻撃力もこちらが上なので楽勝でした。

 特に金に変わるのだから恐れる理由すらなかった訳で、最後の方はもう敵が札束にしか見えなかった。

 ダメージを与える程に札束の数が増えていくのだからもう、やる気も上がるってもんである。


 うん、馬頭鬼は完全に消えたようだ。

 これで残るは椋鳥のみ。

 その椋鳥は私の腕を見てギリッと唇を噛んでいる。


 赤く輝いていた腕に危機感を覚えたようだ。

 どうやら自分にも有効打を与える危険な能力だと看破されたらしい。

 唐突に何かを口ずさむ。


「……との盟約に従い、来たれ我が僕!」


 すると、魔穴がぐるぐると動き始める。

 まるで渦の様に回りだした魔穴の中心に、それは生まれた。

 青い指先が魔穴から現れる。


 それは徐々にせり出し掌に、そして腕へと変化する。

 これが悪魔召喚か……などと思っている様な時間は無い。

 阻止しないとなんかヤバイのが出て来ている。


 紗那螺を第一形態に戻して繋ぎ合せる。

 狙いを定め、紗那螺を銃弾として打ち出した。

 魔穴から出現した青い腕に向けて放った紗那螺だが、出ていた腕に掴み取られてこちらに返して来やがった。


 慌てて紗那螺を消して再度出現させる。

 その間にも二の腕までが出現し始めた。

 さらに角が出現する。


 だんだんとせり出してくる青い肌を持つその化け物は、見間違うはずもないだろう。

 鬼だ。

 青い鬼だ。


 鋭い歯が見える。厳つい顔に天然パーマ。屈強な肉体が出現を始める。

 鋼の肉体に加え、手に持たれた黒い鉄の塊。

 またの名を金棒という。おお、鬼に金棒。最強の装備じゃないか。


 おお、鬼のパンツだ。さすがに迫力があるな。あれは、いいパンツだ。

 やがて全身が出現する。

 その姿はまさに悪鬼。


 立ち姿が圧巻だった。

 黄色く濁った眼が恐ろしい。

 馬頭鬼や牛頭鬼とは似ても似つかぬほどに危険な雰囲気を醸し出している。


 額には一本の角。いや、違う。左右に一本づつあったみたいだが、右の角が折れていて存在しないだけだ。

 昔の戦闘で失ったのだろう。

 左目にも刀傷がある。瘴気で全回復するんじゃなかったのか?

 なにか特殊な刀で切り裂かれたようだ。


 青い身体はもはや世界ランカーの格闘技選手を越える程にムキッとしており、その姿だけで強力な生物であることを伝えていた。

 さすがの私も背筋がゾクゾクして来る。

 こいつは……大物中の大物だ。


「あははははっ。すげぇ。私の召喚でこれ程の大物が呼び出せるようになるなんて、この学園が魔界に繋がりだしてるってことだよな。もうすぐだ。もうすぐ魔王クラスが呼び出せるようになるぞ!!」


 椋鳥が囀っている。イラッと来るのでさっさと口止めしてくんないかな。物未さんよ、選手交代しない? コレ相手にとか、私勝てる気しないんですけど。

登場人物


 ひじり 小影こかげ

  現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。

  基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。

  特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。

  座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。

  聖戦士になったようです。ルミナス・スプリングと名付けられた。

  メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。


 メルト

  原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。

  時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。

  以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。

  人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。


 結城ゆいしろ 杏奈あんな

  現在16歳、彼氏無し。

  小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。

  不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。

  姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。


 神殺かみさつ 物未ものみ

  父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。

  パックの緑茶が好きらしい。

  闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。

  組員の殆どが警察に捕まったせいで弱体化を余儀なくされたらしい。

  ルミナス・ウインターとして魔物退治に参戦。

  聖戦士として実力を付けて密かに小影抹殺を狙っている。


 増川健治

  渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。

  声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。

  金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。

  子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。


 ハニエル・ルーマヤーナ

  神の愛と称される大天使の一人。

  全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。

 ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。


 ファニキエル・シュイタット

  ハニエルにより見出された落ち零れの天使。

  前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。

  未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。


 舞羽まいばね 椋鳥むくどり

  学校に魔穴を開いたと思しき黒幕。

  鳥人間らしい。

  昼間は人間に擬態して学生として生活している。


 牛頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。


 馬頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている


 青鬼

  魔穴から出現した中級魔族。

  人語は話せないがそれなりに意味を知ることはできているらしい。

  ハーフハーピーよりもずっと実力が上のため従属はしないらしい。

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