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極道と金貸し、顔付き合わせれば戦場です

「っつか、なんで呼ばれたんだ私は!」


「だから、こいつに顔見せ? 昨日の見つけたよっていうかね?」


「そして私は別にどうでもいい。さっさと帰ったら?」


「ふざけんなっ。いきなり連れて来られてやっぱいらないとか、マジふざけんな。殺すぞテメェら」


 怒られても困る。本当に用事ないし。


「そもそもお前ら敵だぞ敵。私が何者かってのわかってんだろ。そいつが普通に学生してんだぞ、普通恐怖で逃げ出したり泡吹いて気絶したりするだろ、普通はっ!」


「だって、悪魔なんざ牛頭と馬頭で見あきたというか、ほら、庭に普通にオーガいるし。あれ本物なんでしょ、もしかしてあんたが倒して剥製にしてんの?」


「オーガ? ああ、あれって銅像じゃなかったの?」


 あ、コイツじゃないな絶対。

 私は思わず可哀想な娘を見る目をしてしまった。

 そのせいで鳥頭の怒りがトサカに来たらしい。

 鳥のトサカ……ぶふっ。ちょっと笑えるかもしれない。


「何がおかしいんだテメェ」


「いや、なんでも、なんでもないよ鳥さん」


「鳥じゃねぇっ」


「だって名前知らないから容姿で言うしかないじゃん。ねぇ?」


「私に聞かないでくれる?」


 私が物未に同意を求めると、拒絶する物未。むぅ。このくらい同意してもいいのに。

 やっぱり私こいつとは馬が合わない。

 ハニエル、ファニキエル。やっぱこいつと共同とか無理だよ。


「そもそも敵の名前など知る必要もないでしょう。どうせすぐに埋まるか沈むかなんだし」


「まぁ、そう言えばそっか」


「物騒だなお前ら……はぁ。なんかいろいろと理想が崩された気分だ。覚えておきな。私は舞羽まいばね 椋鳥むくどりこの学園を魔界に堕とす者よ」


「ふーん。やっぱ鳥じゃん」


 名前すら鳥とか報われない。椋鳥だけに。……さすがにこのギャグはないわぁ。

 私はお茶を飲む。椋鳥が何やら喚いていたが意識からシャットアウトすることにした。


「ところで、今日はどうするの? 昨日大きめの魔穴は塞いだんでしょう?」


「ああ、そうだね。あの校庭の奴。でも他の場所にもちっさいの在るらしいからまだ探索かな」


「ふん。わかってないわね。アレは牛頭鬼召喚に使った魔穴よ。どっかのバカがオーガ呼び出して亀裂が入っていた御蔭で広げやすかったぜ」


「だそうだけど?」


「へー。じゃあオーガを召喚した誰かもいるわけか。一応ハニエルに伝えといた方が良いかな?」


「テメェら……マジわかってんのか。そこは牛頭鬼の召喚にしか使ってねぇっつってんの! 悟れよ! 馬頭鬼の召喚場所がまだ残ってるってよ!」


「あれ、言っちゃうんだ。まぁどうせ校内回るから遅かれ早かれ見つかるし問題ないっしょ。馬頭鬼倒す算段も付いてるし」


「私としては手早く済ませてこの金の亡者との決着を付けたいところなんだけど」


 私と物未が睨み合う。

 どちらも相手を確実に消すと目が言っていたが、椋鳥はそんなこと気にすることなく私達の中心付近に片手を叩きつける。

 テーブルに当ってバンッと音がした。

 周囲の注目が集まる。


「私を、無視、すんじゃねぇ――――ッ! テメェらぜってぇぶっ殺してやるから首洗って来やがれ。今日は、確実に恐怖を味合わせてやるッ」


 相手にされてないと気付いた彼女は怒りに任せて叫ぶと肩を怒らせ去って行った。

 私は思わずその後ろ姿を流し見て、物未に振り向くと同時に肩を竦める。


「さて、で? あなたはアレをどうするの?」


「基本滅殺で。まぁ、命乞いして来て金出すってなら助けても良いけど?」


「そう。まぁ好きにすればいいわ。でも、馬頭でしたっけ? アレは、貰うわ」


「なんでまた?」


「手に入れた力の確認ね。正直、未だに信じられないけど、ここの緑茶が無くなるかもしれない瀬戸際だもの、勝って魔穴を全て塞がなきゃ」


「緑茶……ねぇ。どこでも買えそうな気もするけど……」


 パックのお茶などスーパーやコンビニで買えると思うんだけど……もしかして、実は世間知らずだったりするんだろうか?

 彼女の世界は家と学校だけだったとか?

 どうしよう、ちょっと同情しそう。


「何その顔? どこの山猿のモノマネ?」


「その濁った眼玉くりぬいて臓器提供してやろうか」


 やっぱりこいつとは基本的に馬が合わないと思う。


「そういえば、物未だっけ。あんた借金取り業務潰し、まだやる気なの?」


「諦める気は無いわ。高利貸しなんてこの世のためにならないモノは消えるべきだもの。でも、今の私の力じゃまだ殲滅させるのは無理ね。まずは、あなたを越えることを目標にするわ。背中と夜道には気をつけることね」


「はっ。そっちこそ。寝てる時と一人の時は気を付けるといいよ。また売られないようにね」


 一瞬の静寂。

 私達はお互いを見て暗い笑みで笑い合うのだった。

登場人物


 ひじり 小影こかげ

  現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。

  基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。

  特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。

  座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。

  聖戦士になったようです。ルミナス・スプリングと名付けられた。

  メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。


 メルト

  原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。

  時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。

  以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。

  人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。


 結城ゆいしろ 杏奈あんな

  現在16歳、彼氏無し。

  小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。

  不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。

  姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。


 神殺かみさつ 物未ものみ

  父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。

  パックの緑茶が好きらしい。

  闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。

  組員の殆どが警察に捕まったせいで弱体化を余儀なくされたらしい。

  ルミナス・ウインターとして魔物退治に参戦。

  聖戦士として実力を付けて密かに小影抹殺を狙っている。


 増川健治

  渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。

  声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。

  金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。

  子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。


 ハニエル・ルーマヤーナ

  神の愛と称される大天使の一人。

  全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。

 ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。


 ファニキエル・シュイタット

  ハニエルにより見出された落ち零れの天使。

  前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。

  未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。


 舞羽まいばね 椋鳥むくどり

  学校に魔穴を開いたと思しき黒幕。

  鳥人間らしい。

  昼間は人間に擬態して学生として生活している。


 牛頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。


 馬頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。

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