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金貸しと組長

 無事2000万を手に入れた私は二階からロープを垂らして野中さんを招き入れると、防犯システムをオフにした。

 後は野中さんがやるらしい。

 まぁ、それはいい。ついでに1000万程追加で迷惑料請求してやったので涙目になってたけど。


 というか、あんな化け物みたいな鉄の塊作ってる方が悪い。

 相手を殺す気かっつの。

 むしろ1000万でも足りんわ。


 というわけで、私は野中邸を後にした。

 その頃にはもう夕闇が迫っており、激闘が長期に渡っていたことを私に告げていた。

 なかなか有意義ではあったかな。

 対団体との戦いの練習にはなったし、最後の戦いで必殺技作れたし。銃弾の威力も確認できたしね。

 神聖技は確かに面倒だけどあの連射はなかなか面白かった。


 馬頭鬼がでてきたら真っ先に喰らわせてやろう。

 ふふ。ついでに大いなる一撃も試してみよう。あの血の様に赤い光の一撃が奴らに通じるかどうか。

 楽しみであります。


 もしも倒せたらお金増える訳だし。

 ちょっと期待しちゃいますよ聖戦士。

 打倒馬頭鬼。リベンジマッチで確実に屠ってくれる。


 でも、その前に……

 私は校門前へとやってくる。

 ファニキエルが先に来ていた。

 校門横の壁の上に鳩になってクルッポウ言ってる。


「ファニキエル……鳴き真似する必要無いと思うけど?」


『いえいえ、どうにも周囲から鳴かない鳩は気味悪がられまして』


 こいつは普段からこの姿取ってるのか?


「ま、いいや。昨日のキチガイ女と会う事になってるから、探索はその後でいいよね?」


「ああ、あの人ですか? まぁいいでしょう。見学しても?」


「構わないけど、撃たれても知らないよ?」


 あいつ見境なく撃ちまくって来そうだしなぁ。

 先手必勝とかされたら反応できないぞ。

 一応指弾は出来るように石持っとくか。


 変身はここに歩いてくるまでに解いてしまっていた。

 さすがに街中をあの格好で歩く気になれなかったからだ。

 見える人には見えてしまうらしいからね。冗談じゃない。


 さすがにコスプレ姿で街中を歩く程常識を失くしちゃいませんよ。

 まぁ、金積まれればやぶさかではありませんが。

 さて、やっこさんはいますかいねっと。


 私が校門をくぐる。しかし近くには居ない。

 決着付けるとか言ってたからどっか広いところにでもいるのかね?

 となると校庭かな?


 私の肩にファニキエルが止まってきた。

 鳥臭い。近よんな。

 ふぇっくしょん。羽毛が鼻をくすぐって来て最悪だ。


『しかし小影さん。この土地は異常過ぎる気がします』


「はえ? どこが?」


『例えばこの中庭です。一見違和感がないように見えますがあそこの花壇。数本ですが魔界の植物が埋まっています』


「ほぉ。して、どんな?」


『おそらくマンドラゴラでしょう』


 いや、その当然の様な名前言われても私そのマンドラなんとか良く知らないし。


 ―――マンドラゴラか。抜くと即死する絶叫を迸らせるそうだ。我が存在しているのでお主には効かぬがな―――


 即死する絶叫ねぇ。そんなもんが本当に学校の花壇に植えられてたら驚きである。


『あと、今通り過ぎた鬼の像なのですが、アレはオーガの亡骸かと思われます』


「オーガ?」


『はい。状態が保存されていることからみて数日前に殺されたのでしょう。見てください。手元が希薄なっていっています』


「おお、本当だ。言われて気付いたよ」


 オーガ像の手元が透き通る様に透明になっている。

 一応、触ってみるとまだそこに腕が存在しているのが分かる。


『ディグが抜かれていますね。死体であることは間違いない。つまり、少なくとももう一体、これと争った存在が居るハズです。それも魔族同士で』


「へぇ。一枚岩ではないのかな」


 ファニキエルの言葉に生返事をしつつ校庭が見渡せる場所に立つ。

 壇上になった場所をゆっくりと降りて校庭に辿りつくと、すでに神殺物未はやって来ていた。

 じっと動くことなく私の到着を待つ。


 ここでじっとして相手がブチ切れるまで放置というのも面白そうだけど、私もそれほど暇じゃないのでさっさと切り上げて終わって貰おう。

 それでも、私の到着を今か今かと待ち望んでいた物未はとても長い時間を拘束されてご機嫌斜めのご様子だった。


『なんてことだ……』


 そして、その校庭に辿り着いたファニキエルが一人驚きの声を出す。

 校庭には巨大な穴があった。

 渦巻くように中央へと沁みこむ闇の穴。


 どこかへ通じているようにも見えるが、恐怖に飲まれそうで近づけさえしない。

 それはもう、巨大な穴だった。

 あの穴は、マズい。

 しかも物未との距離5m。

 見えてないのか、敢えてそこで待っていたのか、どっちだろうね?


「恐れず良く来たわね」


「ええ、まぁ。さっさと片付けとこうと思ってね」


 二人のごく自然な笑み。

 しかし、双方目元が笑っていなかった。

登場人物


 ひじり 小影こかげ

  現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。

  基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。

  特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。

  座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。

  聖戦士になったようです。

  メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。


 メルト

  原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。

  時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。

  以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。

  人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。


 結城ゆいしろ 杏奈あんな

  現在16歳、彼氏無し。

  小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。

  不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。

  姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。


 神殺かみさつ 物未ものみ

  父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。

  パックの緑茶が好きらしい。

  闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。

  組員の殆どが警察に捕まったせいで弱体化を余儀なくされたらしい。


 増川健治

  渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。

  声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。

  金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。

  子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。


 ハニエル・ルーマヤーナ

  神の愛と称される大天使の一人。

  全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。

 ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。


 ファニキエル・シュイタット

  ハニエルにより見出された落ち零れの天使。

  前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。

  未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。


 牛頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。


 馬頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。

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