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勤務外労働させるなら、金をくれ

 放課後の学園に戻る私、まだ運動部が校庭で部活中なので裏側まで回って食堂の屋根から敷地内へと進入した。

 驚くほどの跳躍力で第三棟の屋上に飛び降りファニキエルが来るまで待機する。

 二十分ほどそこでじっとしてただろうか? ようやく一羽の鳩がやってきた。


 随分かかったな。何をしてたんだろうか。

 いや、まぁ、だいたい予想は付くけどさ。

 さすがにしつこいねあいつ。


「遅かったね」


『そう言われましても、なぜか拳銃を乱射されて逃げ惑うのに必死で……』


 なんで鳩を撃ってるんだあの娘は? あれか、怒りをどこかにぶつけたかったのか?

 それとも私が鳩になったとかキチガイな感違いでもしたのか?

 多分だけど、折角追い詰めたと思ったらそこにいたのは鳩。

 あいつの姿を見た瞬間クルッポゥとか鳴かれて苛っときたんだろう。


「え……と、それで、牛頭だっけ? 倒すんだよね?」


『いえ、まずは魔穴を塞ぐのが先です。小影さんはその間無防備になる私の護衛をお願いします。おそらく魔物たちが妨害してくるでしょうから』


 無防備になるファニキエルの護衛……ねぇ。こいつは常時無防備な気がするのですが?

 牛頭鬼に一撃で敗北してたし。

 でも、あれと戦うのか……本当に私がやるんだよね?


「……ほ、本当に倒せるんだよねあの怪物」


『ずいぶん弱気ですね?』


「一回殺されかけた相手倒せっていわれて強気になれる方がおかしいと思うけど」


 人相手ならまだしも、人外相手にするにはかなり無謀だ。

 なにせあの一撃の重さを既に体感しているのだから。

 アレはヤバい。軽く数百回は死ねる。


『それはそうですが……とにかく行きましょうか』


 鳩から人型の形態を取るファニキエル。そのまま校舎内へと向かっていく。

 私もおっかなびっくりファニキエルの後に続き、融解の間へと辿り着く。

 ……天使凄い。変身一瞬だったし、あの容量の変化、一体人型から鳩になるときの身体を構成する物質の余りはどこへ消えているのだろう。圧縮か?


「あれ? ここにあるの?」


『いえ、昨日調べていたのがこの範囲なんです。ここからは一つ一つ部屋に入るなどして調べます。魔力感知でもすれば早いのでしょうが、この瘴気の中では感知できないでしょうから。目視確認です』


「おいおい、それじゃなんですか? こっからいちいち全ての部屋を見て回るとおっしゃられますかファニキエルさんよ」


 気の遠くなるような作業だ。

 範囲は学園内。おそらく職員室や図書館なども詳しく調べるのだろう。

 七不思議に出くわさないことを切に願いたい。


 そして勤務外労働として賃金を所望します!

 労働基準法を順守しろー。残業はんたーい。スキルアップ育成と偽って自分から辞めさすの止めろー。金払えーっ。


『次はここですね。昨日小影さんが出てこられた場所。かなり高濃度の魔力が結集していましたのでビンゴかも……』


 足を踏み入れてファニキエルは頭を掻いた。

 その表情は芳しくない。

 どうやら外れらしい。ぺっ。役立たずめ。


『はずれ……ですね。どうにも残り香的なものしかないようです』


「さいですか」


 にしても、これから毎日こんな調子で学校に居残るわけですか私?

 うん、やはり残業手当をハニエルに請求しよう。

 私の放課後を拘束するんだ。そのくらいは許されるだろう。


 ―――魔穴か―――


「おわッ!?」


 突然頭の中で響いた声に思わず声がでた。


『どうしました?』


「な、なんでもない」


 思わず出た声に反応してきたファニキエルに声を返し、小声でメルトと会話する。

 あのお下げ娘との対決のせいで完全忘れてたけど、私今寄生されてるんだっけ神様に。

 全く、メルトさんよ、もうチョイ存在感を出してくれないと困るよ。


(ちょっとちょっと! なんなのメルト)


 ―――魔穴ならば心当たりがある―――


(え?)


 レアリィ? なんであんたが知ってんだ?

 というか、あの室内から出れないんじゃなかったのかねチミ?


 ―――保健室だ―――


「は? 保健室?」


『はい?』


「え、と……もしかしたら保健室にあるかなぁ……なんて、あはは~」


『もしかしたらと言われても……』


 胡散臭そうな顔のファニキエルを促す。

 とりあえず行くだけ行ってみよう。

 本当にあったら魔穴ってのがどんなものか理解できるし。

 次に備えられる上に見つけてラッキー。仕事終了。みたいな?


「探しに行ってみない? ほらほらっ」


『はぁ……まぁ、一応早期に見つかる事に異論はありませんし、行ってはみますが……本当にあるんですか?』


 疑いの眼差しを向けてくるファニキエル。私だって半信半疑だ。

 でも知ってるって言うんだから行ってみるほうがいいじゃない?

 それでメルトが信頼に足るかどうかが分かるでしょ?

 なかったら契約違反だって違反金を……取れないか。残念。

登場人物


 ひじり 小影こかげ

  現在16歳、彼氏いない歴イコール年齢の少女。

  基本金かお茶にしか興味がないので、金貸しの回収を行う以外は緑茶をすすってぽけっとしている。

  特技に瞬間記憶を持ち、金貸し業の関係で覚えた指弾とデビルスマイルを得意とする。

  座右の銘はお前の物は俺のモノ。貸したら返せ命を掛けて。

  聖戦士になったようです。

  メルトに寄生されている。ルストが見つかるまでは共生するようだ。


 メルト

  原初の柱の一つであり地球外生命体の細菌。

  時空石と呼ばれる黄金に光る石の内部に存在していて地球へと降って来たらしい。ルストと共に地球へ飛来したが、長い年月を経てルストは行方不明となった。

  以来ルストを探しているのだが、空気感染型のルストとは違い飛沫接触感染型のメルトは自身を運べる存在がいなければ移動できない。

  人間をルストと共に造り出した神らしいが、生物に触れると相手を融解させてしまう特性を持つ細菌。生き物を媒介にする場合は特定の容器である必要がある。


 結城ゆいしろ 杏奈あんな

  現在16歳、彼氏無し。

  小影曰く、紫色に染めたけど、髪が伸びたせいで半分より下だけが紫色になっちゃったとっても可哀想な人らしい。

  不良生徒になりかけていたが、小影に打ちのめされて以降小影のツッコミ役にされる。

  姐御肌らしく悪態付きながらも手伝ったりする様が密かにクラスメイトから人気を集めている。


 神殺???

  父と兄が死んだため神殺組組長となった少女。

  パックの緑茶が好きらしい。

  闇金融の蔓延を不快としていて彼らの殲滅を始めているが、今のところは弱小金融の成敗だけで大物を相手にする実力には届いていない。


 増川健治

  渋いサングラスをかけた丸刈りの厳ついおじさん。闇金融をしている人。

  声がでかいので普通に話しかけると子供が泣き叫ぶ。

  金ラメや龍柄のシャツを好んで着ている。

  子供好きで野花を愛する性格だが、厳つい容姿のせいでよく通報される。


 ハニエル・ルーマヤーナ

  神の愛と称される大天使の一人。

  全ての愛される要素を内在し、顔は清楚に、身体は妖艶に。でも思考は限りなく幼児に近いある意味残念な存在。

 ただし内包する知恵と頭の回転は凄まじく、先見の明を持つため落ち零れとされる天使から大天使候補の原石を発見するのが上手い。


 ファニキエル・シュイタット

  ハニエルにより見出された落ち零れの天使。

  前回の天使試験で見習いのまま消失の危機を迎えていたが、ハニエルにより見出され付き人のような役割についている。

  未だハニエルが見出した実力は開花しておらず、実力は限りなく弱い。


 牛頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。


 馬頭鬼

  黒い靄から発生した悪魔。

  黒い靄で移動し、人間あるいは天使を見付けると出現し、戦闘を行う。

  夜間の校舎内を見回る様に動いている。

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