ようつべがゆく(四百文字お題小説)(前編)
お借りしたお題は「動画」です。
松子は派遣切りに遭ったフリーターである。
友人に壮絶な復讐をされた松子は、日本で一、二を争うような素晴らしい土下座をし、告訴を取り下げてもらった。
「恐ろしいわ、ネット社会は」
そう思ったにも関わらず、松子は動画サイトにアクセスした。
そして腹を抱えて大笑いし、ポテチ三袋を完食した。
「買い置きがないわ」
松子は仕方なく、パンチパーマの母親が昼寝をしているのを確認し、コンビニでポテチのコンソメ味を五袋買ってきた。
「取り敢えず夕食までは保つわね」
そして再び動画サイトを観始めた。
愚かな人達がたくさん出てくるので涙を流して笑っていた松子だったが、ある動画を見て凍りついた。
その動画は「一押しの土下座」というタイトルで、モザイクは入っているが、明らかに松子と思われる女が土下座するシーンが某お笑いライブで頻繁に使われるBGM入りで何度も繰り返す編集で流れていた。
(恨み晴らさでおくべきか)
松子は復讐を誓った。
後編に続く(?)