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悪魔への願い

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/02/28

 召喚者に対して悪魔はぽつりと問い返した。


「それが願いか?」


 人間は答えた。


「あぁ」

「よく分からないな」


 悪魔はそう言うと頭を掻く。


「お前は人間だろう」

「もちろんだ」

「人間で居続けるつもりか?」


 人間は首を振った。

 悪魔は少しだけ無言でいたがやがて頷いた。


「分かった。叶えよう。その願い」


 悪魔は生まれて初めて心から人間の願いを叶えたいと思った。

 心から。

 純粋に。



 *



 悪魔は裁きを受ける友人を見つめていた。


『自らの土地に誰も近づけない城を建てた』

『その場所で悍ましき所業を繰り返した』

『金に物を言わせて全てもみ消した』


 悪魔は友人に降り注ぐ言葉を聞きながら呟いた。


「もみ消せなかった。だから裁かれているのだろう」


 悪魔は至極当然のことを言う。

 友人に聞こえないと知りながらも。


「悪魔になりたい、なんてやはり無理だったか」


 友人は本気で種族を超えようとしていた。

 人間から悪魔になろうとしていた。


 戯れに人を陥れるように助言したらそのようにした。

 暇つぶしに人を殺すよう助言したらそのようにした。

 人を食べることで人から外れるかもしれないと伝えたら躊躇いなくそうした。


 それでも。


「人は人か」


 悪魔は心底残念に思いながら呟いた。

 身の程知らずの願いを持ち、破滅した愚かな人間を見つめながら。

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