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全てを奪われたギフト持ちの少女は覚醒して家族を書き換える  作者: かんあずき
ギフト編

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5/12

5 管理されるということ

「リリアが生まれ持つ力の確認は既に済んでいる。うちは侯爵家だからな。ギフトが家の繁栄に使えることはみんなも知っているだろう。だから、登録前にギフトを確認する機器を父は手にしてきたんです」


兄が私の代わりに答える。


戸籍すらないということは...

周囲も、それを聞き、複雑そうな顔をして私を見つめる


庶子であっても、家にとって利用価値が高いと養子に迎えたり、正妻の子供として戸籍を作ることもあるからだ。


私は悔しくて唇を噛み締める。


私は最初から正妻の娘なのだ。

愛されていた。

だからこそ利用されてはと隠されて育てられたのに。


外に出なくても貴族教育もきちんと受けた。

外で働かなくても、もしもの時のため、使用人たちから外で仕事ができるように教えを受ける手配もしてくれた。


私は両親に愛された娘だった。


あのことさえなければ......


「お、おい。いくらなんでも本人を前にみんなデリカシーがなさすぎるぞ」


ゲオルクが私を見てボリボリ頭をかきむしりながら、尋問を止める。


「いや、だが戸籍を取るのだったら色々聞かないとだな」


「ヤコブさん、俺も彼女も冷たい海に投げ込まれてるんだ。まずは風呂に入れてやってほしい。俺も、温かい風呂に浸かりたいしな」


尋問官はヤコブと言うらしい。

私の濡れたままの髪の毛を見て、ハッと申し訳なさそうな顔をする。


「じゃあ、グレイとゲオルクの部屋でいいか?さすがに女性であっても1人で過ごさせられないし、ここに女性はいないし。グレイを信用しないわけじゃないが、身内と二人というのも監視の点ではちょっとな。」


そう言いながら、ヤコブは更にピアスを開ける道具を持ってくる。


「位置情報の確認はさせてもらう。これを自分の手で外した段階で、抵抗していると思わせてもらうがいいか?」


私は頷いた。

素直に耳に位置情報を把握するピアスの穴を開けてもらう。

穴を開けたのは初めてで、硬くなるが、一瞬の痛みと反動で、決められたピアスが取り付けられる。


「外す時には、私に許可を得るように」


ヤコブが耳元で話す声にゾッとして頷く。

全くお前を信用してないからな。

そう言われているようだ。


ファーストピアスが監視のためなんて。

誰を恨めばいいのかはわからない。


しかも、お兄様がいるとはいえ、知らない方と一緒の部屋で過ごすなんて思わなかった。


私は不安になりグレイお兄様の顔を見つめた。

相変わらず、無表情だ。


こんな時でもギリギリを伝えながらも嘘はつかない。

それなのに、私に嘘でも微笑み一つ向けることもないのね。


兄は正直に生きてきた人なんだと、嘘で塗り固められた私の人生とは全く違うのだと痛感する。


私は急激に心細くなり、指を意味なく組んだり、強く握ったりして自分を保とうと無意識に必死になった。

そんな私を見てゲオルクが声をかけてくる。


「リリアーナ嬢がいいなら、部屋が華やかになるし、歓迎だ。狭い部屋だが、よろしく頼む」


その軽い口調は、私に力を抜けと言っているかのようだった。

助け舟のようなゲオルクの声に、私は安心してカーテシーでお礼を伝えた。


「どうぞよろしくお願いします」


その様子を見た部屋にいた人たちは、みんなポカンと手が止まる。


何か間違えていたかしら?


私は不安になり、再び兄グレイを見ると、渋い顔つきになっている。


何をやらかしてしまったの?

とんでもなく不安が襲ってきた。




「まずは、風呂に入ってきなよ。アメニティは俺の姉が作ったものだ。使ってくれ」

「お姉様が」


アメニティといったら、シャンプーとかトリートメントとかボディソープのことよね?

そんなものを作り出せるなんてすごいことだわ。


私は、身近にそのような人がいないので胸がときめく。


兄グレイは、何も言わない。

なんとかその静寂をゲオルクが埋めようと、気を遣ってくれているのがわかった。


「姉は、有名な作香師なんだ。カルバン通りにある「カリーナ」という店もしているんだけど知ってる?今日は女の子が寄ってくる香りで体を洗ったんだけど、ご利益があったみたいだね。」

「女の子が??寄ってくる?」


私は目をぱちぱちさせる。

その姿を見てふっと、ゲオルクは笑う。


「姉はいろんな求める香りを作れるギフトがあるんだよ。効果はおまじない程度だから、管理対象になるようなギフトではないんだけどね。まあ、求めるものが思い通りになるなんてギフトがあったら怖すぎるけどね。でも効果があるって貴族にも人気なんだ。知らないか?」


ガツンと私は頭を殴られたような衝撃を感じた。


「ご、ごめんなさい。外は出歩かないから。その、お店や通りも知らないの」


私はさっとゲオルクの視線を避けてしまう。


「え?カルバン通り行ったことない?マジか?」


どうやら有名な通りだったようだ。

だけど、そんなことよりも。


求めるものが思い通りになるのは怖すぎるーーー


まさにその怖すぎる存在が私なのだ。

そして、それは管理対象だ。


そんな私の変化をゲオルクがじっと観察していて、それをまた苦虫を潰したような顔でグレイが見ていることに私は気づいていない。


私のこのギフトは正直にみんなに伝えるべきなの?


このギフトは二度と使うことはない。

だってかつて一度使った結果、全てが壊れたのだから。

悪用することもないし、怖くもないわ。


それでも、この力のことを誰にも知られず生きていく選択肢はもうないだろうと感じていた。






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