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全てを奪われたギフト持ちの少女は覚醒して家族を書き換える  作者: かんあずき
ギフト編

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1/16

1 神から贈られたギフト

10話までで一部完結となっています

私たちの世界は、生まれた時からどんな環境でも、神から《ギフト》を与えられる。

でも、それは本当に神からの喜ばしい贈り物といえるのだろうか?

少なくとも、私はそんなギフト与えられたくなかった。


そのギフトは、才能と呼ばれる一つ一つは些細なもの。

例えば、美しい花を咲かせたり、美しい絵を描いたり、美味しい料理を作ったりーー


そんな人の幸せに些細な調味料を加えるようなもの。

でも、そのギフトの使いようによっては、人の人生を壊すもの、その世界をひっくり返しかねないものもあるのだ。


少なくとも私のギフトはそれだった。


だからもうこの力は生涯二度と使わない!

そう決めたはずなのに。




「女がこっちに逃げた」

「大丈夫だ!一人旅だ。捕まえて仕舞えばなんとでもなる」


追いかけてくる足音、聞こえてくる男たちの息遣いから私は逃げ出した。


迂闊だった。聞かれるがまま、

「これから行き先がない一人旅なんです」

と話したら、こんなことになるなんて。


夜の船の廊下は薄暗い灯りが灯るだけで誰もいない。

そこを走りながら、時折ガチャガチャ扉を動かしてみるが、鍵がかかっている。


「助けて!助けて!助けて!」


誰も出てこない。

誰も関わりたくなんてないのだ、

そして、その相手を探す間もなく走って逃げなければならない。


「助けて!」


その声は闇に消える。

もう、男たちが迫っている。

私は夜の甲板を裸足のまま走り出す。



「そっちは行き止まりだぞ!」


下品な笑い声と足音が聞こえる中、向かってくる強く吹き荒れる風と冷たい滑りやすい床が歩き慣れない柔らかい足裏を震えさせる。

髪の毛がふわりと逆立つ。


その行き止まりの転落防止用の柵の下はーー


黒い海。

私は海を見たのも今日が初めて。

泳いだ経験すらない。

でも、ここで飛び込まなければ、死ぬよりも酷い目に遭わされるような気がする。


私は柵を越える。


「た、高い!高すぎるわ。」


飛び込むか迷っているのに、海面から柵まではかなり離れている。

でも、ニヤニヤしながら男たちが近づく!!


「死ぬことはないでしょう?お一人では寂しいでしょうから、一緒にただ楽しく過ごそうと言っているんです。」

「女の一人なんて不安だろう?俺たちが、旅を手伝ってやろうっていっているだけじゃねえか?」

「そうそう。やさしくしてやるよ」


一人の見た目はまるで貴族のように身なりを整え、今日の昼に少し世間話をした男性だった。

残りの男性はホームレスとまでは言わないものの、この船のどこに隠れていたのだろうというぐらい髭や髪が整えられておらず、衣服も汚れている。


このチグハグな男性たちの組み合わせが余計に違和感を覚えてしまう。



ギフトを使うべき?

使えば、きっと助かる。


でも、使いたくない!

もう二度と使いたくないのよ!


「来ないで!」

男たちが飛び込んでくる。

肩を掴まれ、腕を引き上げられ、体を捕まれる。

必死に抵抗し、その隙に相手の力が緩む。


ふわっ


えっ?



相手の力が緩んだと同時に私の全体重が海に向かった。

うわあーっ!


男たちが私から離れていく。

いや違う。これは私が落下して離れてるんだ。


「ちっ!ずらかれ!」


そんな声が遠くで聞こえる。


バシャッ

グブグブゴボッ


私は海面に叩きつけられると同時に、嫌な水音と冷たい水が鼻から口から入ってきて息ができない。


もがけばもがくほど服が重い。

みるみるうちに水中に引き摺り込まれる。


苦しい!

ごぼっごぼっ


もうダメ

息できない

水が...

ギフトを...使...


ギフトを使おうとするが、意識が薄れてくる。


ぐいっ


目の前に男性が腕で私を引き上げていた。

「掴まれ!」

浮き輪を差し出され、水面から顔が出ると同時に私は咳き込む。


「あ、ありが……」


苦しさの中でお礼を言おうとした瞬間ーー


ドォワーーーン!!



強い破裂音と熱風。

遠ざかっていた船は激しく火を吹き、あっという間に転覆する。


海風に乗り、その炎と黒煙に私は目の前で起こっていることに理解が追いつかない。


え?今の何?


私はガタガタ震えた。

まさか、私はギフトを使っていないわ。


それなのに、彼らから逃げ、船が沈んだ。

どうしよう。


今度はあの船に乗っていた人たちが気になる。

今ならギフトを使えば助かる人がいる。


いや、ダメよ。

私はギフトを使っていない。

これは、私が起こした出来事じゃない。

勝手に変えたらまたーー


私のギフトは


《自分の願う方向に、ほんの少し変えることができる力》


私は、かつて、この力を使ってしまい自分の人生も、他人の人生も自身の環境すら変えてしまった。


隣にいる男性が

「おいおい、マジか?」

息を吐きながら、沈みゆく船を私と共に見つめる。


今の私たちには、ただ茫然とそれを見つめることしかできなかった。

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