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不便な最強

元風俗店兼バー、現『処刑屋』の拠点にて。

「そう言えばさ、流鬼くんの能力ってどんなの?」


娼婦を辞めて流鬼と共に『処刑屋』の道を歩むことになったサクラはまだ見ぬ流鬼の力に興味を示していた。


「あぁ、そうだな。ここで本来の力そのままを見せることは出来ないが…例えばこれなんかを使ってターゲットを裁くんだ」


そう言って流鬼が取り出したのは何の変哲もない一本のナイフだった。


「ナイフかぁ。で?これをどう使うの?もちろんただ刺す、切るってわけじゃないよね?」


普通な武器を目にしてサクラはちょっとつまらなそうな雰囲気を醸し出しながら流鬼に尋ねた。


「例えばって言ったろ?他にも色んな道具に宿して使える能力さ。見てな」


流鬼の手から紫色の光がナイフを包み、光が止むとナイフの色が暗く濃い紫色に変色していた。


「不気味な色だね。光っていた時は綺麗だったけど…」


「まぁそうだな。この色は呪いを込めた毒『呪毒』の色だからな」


流鬼の能力を知り、サクラは少しナイフから距離を取った。


「触るの厳禁だよね?ヤバいよね?」


「もちろん。解毒できない毒が一瞬で全身に回るぞ?」


おぉ…と小さな声をあげてサクラはまじまじとナイフを眺めた。


「この力、道具無しで使っちゃ駄目なワケ、なんとなくわかるわ。周りにも害が出る…って感じでしょ?」


「そう。だから道具に込めて威力を抑えて使う。なかなか厄介で不便な力だよ」


「ふーん。あたしのは色々便利なんだよなぁ。さっきみたいに傷も治せるし、温度も強度も自由自在。」


そう言ってサクラは血液をグローブのように手に纏わせたり、空気中でマグマのようにボコボコと沸騰させたりして見せた。


「今のままじゃキミに頼る場面もけっこうありそうだ。結界術、防護術でも使える仲間がいれば俺も自由度をあげて戦えるんだが」


「最強さんも最強さんで大変そうだね?」


サクラの他人事のような口振りにじとっと見つめ小さくタメ息をひとつついた流鬼であった。


「キミがそれを言うか…十分最強だろキミも。というかキミこそ、だ」


と、キイッとドアが開く音がした。

来客である。

「すみません。処刑屋の方々でしょうか?…」


法の無いこの世界では二人のような処刑屋の存在が被害者のせめてもの救いとなっている。


「仕事だな….」「仕事だね…」


依頼主のために今日も血生臭く二人は働くのである。









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