14 婚約破棄された令嬢のその後
「あんまりはしゃぐと転ぶわよ」
「だー、だいじょうぶ」
婚約者からブスだと言われて、婚約破棄された私ですが、愛する旦那様と子供に囲まれて幸せに暮らしています。
と言えたら、良かったのですけれど、見守っているのは私とアラン様との子供ではなく、私の妹。
両親は共和国に移ってもラブラブで、アラン様とお付き合いをさせてもらった時には妹が生まれていたのです。
信じられますか? 18歳年下の妹ですよ?
まあ、この子がとても可愛くて、両親ともども溺愛していると、メリッサにしかるべき時はきちんと叱らないといけないと、言われてしまうのだけどね。
「アイリス、そんな薄着でいると風邪をひくぞ」
「あなた、ありがとう」
まあ、私とアラン様もラブラブで、こうしてイチャイチャしているわけですが。
「一昨日も微熱を出していたし、気を付けないと」
「わかっていますよ」
「アラン様、お嬢様は今日、お医者様に連れていくので安心してください」
「ああ、メリッサ。頼むよ」
「かしこまりました」
「もうっ、大丈夫って言ってるのに」
「お嬢様は我慢強いというか、自分のことに無頓着なのでこういうことには信用ありません」
「それは、俺もわかってきた。アイリスは俺やメリッサなんかの周囲の人間の体調には敏感なのに自分のことには無頓着すぎる」
「わ、わかりました。きちんとお医者様に行きます。……可愛い妹に風邪をうつしても悪いしね」
もうっ、自分の体調くらい自分で把握しているというのに、この2人は過保護というかなんというか。
メリッサは元々だったけど、アラン様も結婚してからますます、過保護になっていっているのよ。
あ、そうそう。私とアラン様はめでたく結婚しました。
え? さらっとしすぎ? だってねえ、自分が結婚しましたー、なんて大々的に言うのは恥ずかしいじゃない?
それに、メリッサとリヒター様もその直後に結婚したから、驚きが連続で、自分たちの結婚式よりメリッサの結婚式の方が大変だったわよ。
結果的には、そう結果的には、この時にアラン様とメリッサの過保護が良い方に向かったのよ。
「ええと、妊娠しているそうです」
「……? !? 本当か!?」
「はい」
「すごい! おめでとうっ! いや、なんか違うな……ありがとう? そうだな、ありがとう、アイリス!」
「それも何か違う気もしますが……私もありがとうございます、アラン」
「そうかそうか、俺も一児の親か」
「……それと」
「まだ、何かあるのか?」
「アラン様、わたしも妊娠しているそうです」
「リヒターとの子だよな?」
「当たり前です。私の旦那様ですから」
なんと、お医者様にかかったら妊娠していると告げられ、ついでにメリッサの方も見てもらったらメリッサも妊娠しているのが発覚。
私の方が先に生まれるらしいけど、これを聞いたメリッサが絶対に乳母をやると言い出して大変だった。
まあ、確かに魔導具師として活躍しているし、乳母は必要なのはわかっているけど、なんか利用しているみたいで気が引けるのよね。
「ふむ、リヒターと相談して、メリッサに乳母をやってもらえるか聞くか」
「アラン様、旦那様には相談しなくても良いです。わたしはお二人の子の乳母をします。子供は乳兄弟として育てさせてください」
「メリッサ、でもあなたも初産だし、大変よ?」
「お嬢様、わたしも旦那様もお二人の子供はこの国の未来を照らす希望だと思っているのです。見も知らない人間に大事なお子様を任せてほしくないのです」
「うーん、期待と愛が重い」
「別に子供が魔導具師になるとは限らないぞ?」
「ならなくてもいいのです。わたしも旦那様もお二人のことが好きで、お二人の子供も大切にしたいのです。結婚するときにはお二人の子供の乳母になれればとも言っていたのです」
「ふむ、ここまで言っているのに断るのも悪いか」
「アラン?」
「ただ、義父上や義母上に相談して、良い人がいればその人にも乳母になってもらう。アイリスもメリッサも初産なのだ。何が起こるかわからんだろう」
「……そう、ですね。確かに少しはしゃぎ過ぎてていました。わたしが乳母をしたいのはもちろんですが、大事なのはお嬢様が無事にお子様を産むこと、そしてお子様が無事に育つことです」
「はあー」
もうね、ため息しか出ないわ。私の意見を差しはさむ隙がないくらいに、二人が盛り上がっていて怖いわ。
まあでも、見ず知らずの人間に私たちの子供を預けられないのは本当だし、メリッサが乳母をやってくれれば頼もしいのも本当なのよね。
はあ、幸せだけれどこれからも大変そうね。
婚約者からブスだと破棄された私だけれど、こうして幸せにはなれた。
生まれてくる子供には自分の容姿や能力だけでなく、自分が自分であるから好きになってくれるような人を見つけるように育てないとね。




