神の御子?って誰のこと。私は知りません。
そこは美しい洞窟であった。
6色に輝く色とりどりの色彩が花火のように空気中に漂い消えていく。
また、現れ消えていく。果てが確認出来ないような広い澄んだ湖を、彩るように洞窟内を色鮮やかにしていく色達。
色とりどりの色の先をよく見て見ると小さな羽根をつけた可愛い妖精がいた。それぞれの色をまとった羽根の色をした妖精達。妖精達は、楽しそうに踊ってるようであった。
その神秘な洞窟内に、突如光が輝く。
光が収まると光に包まれたような赤子がフワリフワリと浮いていた。まるで、何かを探しているようでもあった。
その時、水面がブクブクと気泡を立ち始めたと思ったら、そこを中心に水面が大きな波に支配され始める。
するとある一箇所に美しい水色に輝く鱗をもつ龍が姿を現した。賑やかだった水面が再び穏やかになった。
光に包まれた赤子は、出現した龍に向かってゆっくりと飛んでいく。
「何じゃあれは?何やら神の気配がするが。また何かしらの厄介事を押し付けられたかの〜。どれ、こちに来るがよい。」
その言葉を受けて、ゆっくりと漂っていた赤子の姿が消えて、龍の下に現れた。
「やはり、神の息吹を感じるの。やれやれ、さてお言葉を聞いてみようかの。」
龍は、スッ目を閉じて暫く動かなくなった。ようやく目を開けた時には、何やら大変疲れた様子であった。
「誰か、我半身を呼んで来ておくれ。神からの頼まれ事が発生したと伝えよ。」
龍の言葉に、青色の羽根の妖精達が姿をけした。龍の言葉を聞き急いで龍の相方を呼びに行ったのであろう。
この世界の妖精王達は、風、土、水、火、闇、光大きく分類される。
そしてそれぞれが2体ずつ現れる。片方の消滅は、もう片方の消滅でもあった。
不思議な事に、もし消滅しても殆ど間をあけずに新しき妖精王が出現するので、混乱はなかったが。
「はー、相も変わらぬ、困り神よの。さて、我半身がどうでるであろうか。火の方は、相変わらず人よりで愛し子がおるが、今代はちと風変わりよの。」
その事実が、可笑しいのかクスクスと笑う。
「困り神は、なぜ人よりでない我らにこのような頼み事をしたのか分からぬが、長い生に飽きかけ始めたことを感じてのご配慮か、読めぬお方よ。我らが主は、ほんにいと可笑しいお方でもあるの。」
クスクスと笑う龍の周りを、クルクルと色とりどりの妖精が浮かんでいた。
あれから数年がたった。
数年前と全く変わらない洞窟内の妖精達。
ただ、その妖精達と楽しそうに遊ぶ幼い子供がいた。
幼い子供ではあったが、その端整な顔立ちは圧倒されるほどであった。
髪色は、輝く金色、肌は透けるような色白であった。瞳の色は、まるでその時々で色合いが変化しているようでもあった。
「あー、楽しい。やっぱり浮遊が使えたのが良かったよ。飛べなかったら、地面ないから死んでたよね。あれ?ウィちゃんの加護かなんかで水中の息の心配はないから、大丈夫か。」
大笑いしながら妖精と戯れる幼女。
あまり、大人しいイメージとはかけ離れた雰囲気を身体中から発していた。
「おい、バカ養子。我が半身からの今日の講義は終わったのですか?」
声の発した方を見ると、髪色が水色をした顔立ちの綺麗なスラッとした男性が水面に立っていた。
幼女は、少し驚き、顔色を変える。
「なぜ、ここにウィ君が?」
「は?自分の住処に私がいて可笑しいですか?貴方がいつも、いーつも私の相方に面倒をかけている方がおかしいですよね。我が儘をするなら、理由を言いなさい」
「理由なき反抗よ、子どもの特権よ。分かる?私は、遊びたいのよ。魔法だって十分使えるわ。」
「十分ね。」
「なによ!文句ありそうね。何だったら、ウィちゃん直伝の攻撃魔法使っちゃうよ。」
「ほ、ほ〜、この私にですか。良いでしょう。
やってみなさい。」
「あ〜、私を馬鹿にしてるな。フフフ、やってやろうじゃ〜ないのよ。このバカ親父め。私の想像力は無限大だよ。なんたって、異世界の記憶があるもんね。」
私は、手の中で水色と紅色を混ぜる。
本来なら、相容れない属性である水と火の妖精たちであったが、幼女の呼びかけに答え新しき属性を生みだす。
「何ですか?我が眷属が火の妖精と同化した?どうゆうことですか?」
「ふふふ、私に不可能はないの。いっちゃって、ハーフちゃんん。」
その言葉を合図に、水色と紅色がそれぞれが混ざる事なく渦を巻き起こす。
そのままの勢いのまま、父と呼ばれた水の精霊王の許に飛んでゆく。
「流石、御子か。我らには出来ぬ事を、サラッとするんですね。だが、まだ修行不足。それぐらいの精霊の数では、私に傷一つつける事は不可能ですよ。」
さっと、水の精霊王が玉に向けて手を向けると、空気中でピタッと停まりそのまま徐々に玉が小さくなり消滅していく。
「あ〜、酷い。消えちゃったよ。だったら、もっといっぱい作ってやるもんね。」
フンっと、鼻息も荒く再び魔力を集めはじめる。
ガツン!と洞窟内に音が響きわたる。
「いた〜い。いた〜い。頭を叩くの反対。馬鹿になる〜。」
「安心なさい。貴方は、正真正銘のお馬鹿さんですよ。これが、我が養子とはね〜。」
「ちょっと、ヒドくない?こう見えても、精神年齢は、26歳にはなってると思うんですけど。」
「あ〜、異世界からの転生ですからね。」
「そうそう、段々と記憶が薄れてきてるけど、まだまだ憶えてるって私の記憶スゴいよ。馬鹿の反対の、て〜さいよ。」
天才と言えてないし。
異世界の記憶ですか。
神の御子として生まれて、我が儘に育って一つの世界を遊びで滅亡仕掛けた女神。
流石に、悪神にするには神力がありすぎるし、愛しい我が御子を見捨てられない。
結果、別の神の管轄の世界で生まれ変わらすことで女神の業を浄化し寿命を全うさせてから、自分の縄張りである世界に再び生まれ変わらせて、異世界の記憶が無くなったら再び女神としての復活できる、ですか。
は〜、この様子では先は長いですよね。
我が儘も、治ってない気がするんですがね〜。
神は、早く会いたいらしいですが、流石に神といえども世界の決まりにはあがらえられぬ、ですか。
しかし、短期間で終わると踏んでいましたが、中々の業だったのか長い付き合いになりそうですね。
「ともかく、我が半身のとこに行きますよ。まだまだ、未熟者と判明しましたし。」
「く〜っ、今にこの異世界の知識との融合で、今まですみませんでした。って謝らせてやるかるね〜、見てなさいよ、馬鹿父!」
だから、異世界の知識というか記憶がなくなったら、私なんて足元にも及ばないんですがね〜。
中々、長い付き合いになる予感とのんびりとした閉鎖的な生活に潤いをもたらせてくれている育て子との別れを寂しく感じている自分を可笑しく思う。
「はいはい。では行きますよ。」
「負けたから、今回は仕方ないな〜。」
2人?は、湖の中にスッと入っていき、その姿は見えなくなった。
洞窟内の妖精達は、2人が居なくなった事を寂しく思いつつも、再びいつも通り遊び始めた。
遥か遥か昔。それはそれは美しい女神様がいました。
優しく、また聡明ではあられましたが、親神の溺愛がヒドく徐々に変わられてしまいました。
女神様は一つの世界を駄目にして、始めて自分の愚かさに気づきました。
しかし、また親神が自分を助ける手段を考えていることを察知した女神様は、親神のわが御子に対する関心が薄れるまで、女神としての復活をしないように自分自身に呪いをおかけになりました。
また、誰も知らないお話しです。
「我が愛しき御子は、いつ目覚めるのじゃ。父は、悲しいぞ。寂しいぞ。早く、目覚めておくれ、愛し子よ。」