ドラゴニックレギオン4
ゴゴゴゴゴゴ、ガラガラガラ
万雷の攻撃によって周囲の床と壁が吹き飛び土煙が立ち込めている。
ユウ『クソ、万雷の奴無茶苦茶だな、あいつら大丈夫だよな……、!!』
万雷の行動に驚きながらも暁闇とサイの安否を気にするユウ、2人の姿を探すため周囲を見渡すと土煙の奥から暁闇の姿が見えた、しかし土煙が薄まってきてユウが絶句した。
暁闇がサイを庇うように覆い被さり倒れていた。
ユウ『サイ!、暁闇!』
2人の元に駆けるユウ。
ユウ『おい!、大丈夫か!』
サイ「うぅ…」
暁闇 《くっ…、しくじった…》
そこに万雷が姿を現した。
万雷 〈バカな野郎共だ、オレに喧嘩売った報いだ、ざまぁみやがれ〉(笑)
嘲笑うように笑う万雷に近づきながらユウが静かに口を開いた。
ユウ『おい』
万雷 〈なんだ?、てめぇは上手く躱したようだが、てめぇもあいっ…!〉
ドオォォォン
万雷の言葉を遮るようにユウが殴り飛ばした。
万雷 〈テメェ!殺さ…、!?〉
殴り飛ばされ怒りを露わにする万雷だったがユウの目を見た時、万雷は寒気を感じた。
ユウの瞳には怒りの炎が灯り、体の周りには覇気のようなものを纏っているが表情は無表情、ハッキリとした殺意を向けられている感覚が万雷の体を駆け巡る。
万雷 〈(なんでこのオレが人間如きにビビってんだ?)〉
ユウ『万雷、お前オレの親友を傷つけたな、覚悟出来てるんだろうな』
万雷 〈あ?!、お、お前らが勝手にオレを呼び出して攻撃してきたんだろうが!〉
ユウ『関係ねーな、お前がオレの親友を傷つけた、だからお前を殺すそれだけだ、楽に死ねると思うなよ』
万雷 〈!?、や、やれるもんならやって…〉
ユウは一瞬で万雷の懐に入り万雷の腹に拳をめり込ませた。
万雷 〈ぐふっ〉
シュン、シュン
ユウの攻撃を食らった万雷が腹を抑え悶えるとユウは刀を抜き万雷の両足と片翼を切り捨てた。
万雷 〈ぐあぁぁぁあ!!〉
苦しむ万雷にユウが冷たい視線を送る中、そこにマサキ、ジュン、水禍、瑞光が焦って合流した。
マサキ「お、おい!、ユウやめろ!!」
ジュン「こいつも俺たちの仲間だろ!、落ち着けって!!」
2人はユウの動きを羽交い締めで止めた。
ユウ『離せ、あいつはサイと暁闇を傷つけた、ぜってぇ許さねぇ』
ユウは2人を引きずりながら歩みを進める。
マサキ「くっそ、完全にブチ切れてやがる」
水禍 〈ユウ君お願い!、落ち着いて!!〉
瑞光 〈このままじゃ本当に万雷が死んじゃうよぅ〉(泣)
ユウ『だからなんだ』
〈〈?!〉〉
ユウが冷たい視線で水禍と瑞光を睨みつけると、体が硬直して動けなくなった。
水禍 〈(私たちが純粋な殺意だけで動けなくなるなんて、こんなのあり得ないわ)〉
瑞光 〈(どうしよう、助けてよ暁闇)〉(泣)
万雷 〈ハァハァ、オレが悪かった許してくれ〉
ジュン「ほら万雷も謝ってるしやめろって」
みんなが必死に止めていると、ユウを止める為に暁闇がゆっくり立ち上がった。
暁闇 《ハァハァ、ユウ落ち着けよ、オレ達なら大丈夫だぜ》
「「暁闇!!」」
ユウ『止めるなよ暁闇、お前らを傷付けられて黙ってられる訳ねぇだろ?』
暁闇 《まあ、落ち着け、オレらはこんな事じゃ死なねぇよ》
ユウ『死ぬ死なないじゃない、お前らがそこまで傷付けられてる事が問題なんだ、オレの仲間を傷付ける奴は誰だろうとぜってぇ許さねぇ』
暁闇 《お前の事を1番知ってるのはオレだ、お前がどれだけ親友を大事にしてるかも知ってる、だから頼むユウ、万雷を許してやってくれ、あんな奴でもオレのダチなんだ》
ユウ『………』
暁闇 《それに、確証がある訳じゃないが、オレ達にも言える事だが、多分万雷を殺したらサイも死ぬぞ?》
〈〈『「「!!」」』〉〉
暁闇 《オレらは一心同体だ、体は一つしか無い、まあ自然な流れじゃないか?》
ユウ『……みんな…ごめん……、オレ…周りが見えて無かった……』
ユウの言葉を聞いて、安堵したのかマサキとジュンはユウを放しその場に座り込んだ。
マサキ「はぁ、世話が焼けるぜ全く…」
ジュン「ふぅ、しかし助かったよ暁闇、ありがとう」
暁闇 《礼を言うのはこっちの方だ、お前らが時間稼ぎしてくれて無かったら取り返しがつかなかったかも知れないからな》
ユウ『…瑞光さん、万雷達の回復お願い出来ませんか……』
瑞光 〈もちろん!、回復は私に任せなさい!、水禍はサイ君を頼むわ、私は暁闇と万雷を受け持つわ〉
水禍 〈了解よ、ユウ君も一応私が見ておくわ〉
ユウ『…いや、オレは……』
水禍 〈ダメよ!、万雷の攻撃がかすっただけで普通の人間だったら致命傷なんだから、ちゃんと見せなさい!〉
ユウ『はい…』
水禍 〈でも見られたくないからって、さっきみたいに睨まないでね?、私だって女なんだから、ビビちゃうわよ〉(笑)
ユウ『…すいません……』
水禍 〈まあでも、ユウ君が仲間想いなのは伝わったわ、貴方が仲間で良かった〉(笑)
ユウ『……』
暁闇 《ユウ、そんなに落ち込むなって、元話と言えばオレが油断したのが悪いんだし》
瑞光 〈そうだよ、ユウ君がいなかったらみんなやられてかも知れない訳だし、まぁちょっとやり過ぎだったけど〉
ユウ『……』
暁闇 《おい、瑞光傷口えぐってどうする》(笑)
瑞光 〈そんなつもりは無かったんだけど…、まあ私達が元通りに治すから大丈夫だから安心して〉
万雷 〈…ユウって言ったか、悪かったな〉
瑞光 〈あんたもう話出来るの?!〉
ユウ『…いや、オレの方こそ悪かった…、ごめん…』
万雷 〈こんなことになったけど、これから頼むな〉
万雷がユウに拳を突き出した。
ユウはそれを見て少し気まずそうに笑いながら万雷と拳を合わせた。
暁闇 《やっぱり似たもの同士じゃねーか》(笑)
瑞光と水禍がみんなを回復してくれているとナツ、春嵐、アキラ、燐火が合流した。