相棒はドラゴン
2030年某日早朝
『はあ、今日も仕事か〜、めんどくせーなー』
彼はユウ、30歳のおっさんで毎日の仕事に嫌気がさして出来ることなら生活保護でも貰って親友たちと遊んでいたいと願うクズ人間である。
《ユウ、毎日同じこと言ってるな笑、お前ら人間は生きていくのに稼ぐしかないんだろ?あきらめろよ》(笑)
ユウ『うっせーな、めんどいもんはめんどいんだよ』
ユウと話しているのは異世界の自分、闇竜の暁闇。
ユウは自分の中にいるもう1人の自分と小さい頃から一緒に生活していた。
ユウ『とりあえず仕事いくかー、…ん?』
ピー、ピー、ピー、ピー、ピー、
ユウが出勤しようとした時、突然携帯の緊急速報が鳴り響いた。
カタカタカタカタ
ユウ『地震か?、結構でかいな』
ガタガタガタガタ
揺れが激しく揺れ始めた。
その時、暁闇がユウに話かける。
暁闇 《ユウやばいぞ!、この地震で2つの世界を隔てる壁が崩れ始めてるぞ!》
ユウ『!、それまずくね?』(苦笑)
揺れが止まるとユウは外に飛び出した。
ユウたちが住む国、日輪では地震は珍しいものでは無い。
しかし暁闇曰く、2つの世界を隔てる壁が崩れ始めてるらしく、このままだと異世界から魔物たちがこっちの世界に来てしまう。
そして魔物たちがこっちの世界にいるために媒介にするのは人の身体、会話の出来る相手なら力を貸してもらうことも可能だろうが知性のない魔物は人の身体を乗っ取る。
ユウ『あいつら大丈夫かなー』
ユウが心配してるのは数少ない親友たち、ユウにとって家族より大切な存在だ。
暁闇 《すでに魔物が暴れ出してるようだ、あいつらの近くにもいる、助けに行こうぜ》
ユウ『こっちの世界で暁闇の力使う練習も無駄じゃ無くなったみたいだな、ちょっと楽しくなって来ちまった!!』(笑)
暁闇 《オレもだ!!》(笑)
ユウはニヤリと笑うと背中から竜の翼を出現させた。
ユウ『じゃ、行ってみるかー』
そういうと勢いよく空に飛び出し親友たちを迎えに行くのだった。
その頃街中では。
「キャアァァァァ!」
「逃げろぉぉお!!」
20mはあろうかという巨大な虫のような魔物から人々が逃げまどっていた。
「ハァ、ハァ」
「いったいなんなんだよ、地震が収まったと思ったら人がカマキリみたいな化け物になって暴れ出しやがって。」
このボヤいてるおっさんはナツ、ユウの親友の1人。
30歳にもなってフリーターでユウと同じく生活保護でも貰って働きたく無いクズ人間。
ナツ「あのカマキリ野郎はやべぇな、さっき人食ってたし、見つからねぇようにするしかねーかな。」
人を食べて回る魔物に対して人が出来ることは限られる。
兵器が通用するかも怪しい相手に恐怖を覚えるのは自然なことだ。
隠れてやり過ごすのも数少ない手段と言えるだろう……
だが戦うことが楽しみでニヤついて上空から突っ込んでくるキチガイが1人。
ユウ『よっしゃあ!!いくぜぇぇぇ!!』
ナツ「ユウ!?」
暁闇の牙で作られた刀を片手に魔物に挑むユウ。
キシャァァァァ!、ヒュン、ヒュン!
魔物は雄叫びを挙げながら大鎌を振り回し攻撃するがユウはそれを難なく躱す。
ユウ『そんな大振りで当たるわけねぇだろうが!』
シュン!
ユウは居合いの構えから一振りで魔物の首を落として見せた。
ユウ『よっ、ナツ。大丈夫かァ?助けに来たぜー』
ナツ「おっおう、サッ、サンキュー」(苦笑)
ナツはユウの姿を見て口を開いた。
ナツ「お前その背中から生えてるの、ど、どうした?」
ユウ『あぁ、これ?、まあ気にすんな』(笑)
笑顔で言うユウに対してナツは動揺している。
ユウ『いろいろ聞きたいだろうが、とりあえずあいつらも迎えにいくから掴まれ』
ナツ「え?」
事情を何も知らないナツを抱きかかえて、また他の親友を迎えに向かおうとするユウ。
ナツ「ちょっ、まっ、ウワァァァァア!!」
ナツの悲鳴が響きわたる、いきなり飛び立ったユウは心なしか悪い顔をしてニヤついている。
少しナツが不憫になってしまった……。