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儀式に失敗してロリっ子サキュバスを召喚し、ロリコンに目覚めてしまった俺の末路は  作者: 星空永遠
二章

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31話 失ってから気付くもの

「ルリエ……ルリエ……」


 死んでほしくない。ルリエ、目を閉じないでくれ……。


「龍幻じゃ私のこと治せない、よね。龍幻は普通の人、間だもんね?」

「あ、あぁぁぁ」


 俺は魔導書を開いた。そして回復魔法のページを開き呪文を唱えた。だが、呪文は一向に反応を示さない。ルリエの傷は癒えないのに、俺の服についたルリエの血だけは治っていく。意味がわからない。


「なんで、こんな時に限って発動しないんだ。ルリエが死にそうなんだぞ! 俺を治してる場合じゃない。俺はどこも怪我してなんかないのに……おい、なんとか言えよ!」


 俺は魔導書に向かって怒りをぶつけた。そんなことをしたって時間の無駄だとわかっていても、怒りを抑えるほど俺は冷静じゃなかった。


 このままじゃルリエが死ぬ。そんなの嫌だ……。


 ルリエを人間の病院に連れて行って治るのだろうか。仮にもし今から行って間に合うのか。今すぐじゃないと治らない。そんな気がした。


「龍……幻。もし私みたいな人いたら治してあげて? 来世では龍幻が強い魔法使いさんになってたら、それだけで世界は救われる、のにね? 龍幻が最強の魔法使いなら、魔族も天使もみんな共存出来るのに……」

「ルリ、エ……お前何言っ……」


 走馬灯というものなのだろうか。目が虚ろになっていくルリエが変なことを言い出した。


 俺が最強の魔法使いなら? それだけで世界が救われ、魔族と天使が共存できる? 


 ……俺はその時思い出していた。夢の中の少女もルリエと同じことを呟いていたことを。けれど、それ以上に今の状況のルリエが危険すぎて俺は考えをまとめることが出来なかった。


 俺はどうすればいい? どうすればルリエを助けられる? 何故、導はルリエを殺そうとした? 導の意思じゃなかったとしたら誰が? 誰がルリエを狙った?


「龍幻、寒いよ……それに龍幻どこ? 私が怪我してるのにどこにもいないの?」

「俺はここだ」


「龍幻。行かないで……どこにも。私から離れないで」

「どこにもいかない。俺はお前の側から離れない。絶対にだ!」


 ルリエには俺のことは見えていない。もう俺の声も届かない。わかっていた。けれど、俺はルリエに声をかけ続けた。


「龍幻。私、短い間だったけど楽しかった。龍幻と会えて本当に嬉しくて……最初は召喚したばかりで知らない世界に来て寂しくて。いきなり胸を触られて、この人変態だって思ったよ。でもね? 一緒に暮らしていくうちに龍幻の優しさに触れたの」


「ルリエ……俺もお前と出会って嬉しかった。大げさかもしれないけど、お前と出会って世界が変わったんだ」


「それはホントに大げさ……ふ、ふふっ。ゲホッ、ゲホッ!!」

「ルリエ! もう話さなくていい。俺が今すぐ病院に連れて行って……ルリ、エ?」


 ルリエをお姫様抱っこしようとしたが、ルリエに服を引っ張られた。その力はすごく弱かった。


「ダメ……人間のお医者さんじゃ、私の傷は治せない」

「だが、俺じゃ……ごめん、ルリエ。俺がもっと強ければ……ルリエのいう最強の魔法使いだったなら、お前のことを助けられたかもしれない、のに」


 いくら悔やんでも無駄だ。叫んだって意味がない。だって、俺は最強の魔法使いでもなければ、ルリエの傷も治せないんだから。


 俺は魔導書がほんの少し読める、本当の自分さえわからない無力なただの一般人。


 ()()ルリエを失う? 

 今度こそは守るって誓ったのに……。


「いいの。あのね、龍幻……」

「なんだ?」


「最後に聞いて」

「……ああ」


「好き。私、龍幻のことが好……」

「ルリエ?」


「…………」

「ルリエ!!」


 握っていた手がするりと俺の手から離れていった。温かったルリエの身体が少しずつ冷たくなっていく。


「あ、あぁぁぁぁぁ。うわぁぁぁぁぁぁ」


 ルリエが死んだ。俺は泣き叫んだ。泣いても叫んでも助けは来ない。だってルリエはもう……。


 ドクン、ドクン。


「ルリエ……?」


 微かだが、ルリエの心臓の音が聞こえる。今にも止まりそうだけど、動いていた。


 ルリエはまだ生きている。


「誰か誰でもいい。ルリエを……俺の大事な人を助けてくれ!!」


 誰もいない公園で俺は心から叫んだ。


 ……俺もルリエが好きだ。今、はっきりとわかった。ルリエは俺にとって大事な人。それと同時に俺の好きな人なんだって。


 失ってから初めて気付くなんて俺はなんてダメな男なんだろう。


 今度は伝えるんだ。ルリエが目を覚ました時に。


「うっ……。頭が、割れるように痛い……」


 その瞬間、膨大な記憶が俺の脳裏に流れ込んできた。


「白銀龍幻。こんなところで一体なにをやっているのですか?」

「如月先ぱ……いや、紅蓮」


「!」


「俺の親友として頼みがあるんだ。ルリエを助けてくれ。俺はどんなことだってする。だから……」


 目の前には俺の……前世での親友、紅蓮がいた。


 全ての記憶が戻ったわけじゃない。まだ半分も思い出していない。


 俺が本当は何者だったのか。夢の中の少女は誰だったのか。俺は前世で何をしようとしていたのか。まだわからないことだらけだけど、紅蓮なら、俺の親友ならルリエを助けられる気がした。


 それは俺に一筋の光(希望)が差し込んだ瞬間だった。

次回から三章に突入します。

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