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儀式に失敗してロリっ子サキュバスを召喚し、ロリコンに目覚めてしまった俺の末路は  作者: 星空永遠
二章

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29話 ルリエと気持ちいいこと?まぁ、想像通りだよな

「ただいま〜……」


 俺はバイトが終わるや否や、帰路に着いた。


 今日はドッと疲れた。それもこれも導のせいだ。明日はルリエに会いに来るとか言うし、明後日は神崎紅先生を探すために大学の文芸部に突撃するとか言ってくるし……どちらもいきなり言われたから心の準備が出来ていない。


「龍幻、おかえりなさい。って、どうしたの!?」

「あー、ルリエか」


「今日のバイト、そんなにキツかった!? 待って。今すぐあったかい飲み物入れるから」

「お、おう」


 俺はどうやら玄関で屍のようになっていたらしい。それを見たルリエが心配して、玄関までココアを持ってきてくれた。


「はいっ」

「ありがとな。……ん、美味い」


 外が寒かったから、温かい飲み物が身体の芯まであたためてくれる。


 クリスマスが終わり、今は年末年始。クリスマスが過ぎると今年も、もうすぐ終わりだなと思う。


 十一月にルリエを召喚してから早一ヶ月か。その間、色んなことがあったな。


 ルリエではない別のサキュバスに夢の中で馬乗りされたり、ルリエの暴走を止めるために火の海に飛び込んだり、魔族に殺されそうになったり、俺のことを知ってる先輩と出会ったり。ここ一ヶ月、本当に濃厚すぎた。俺、二回も死にかけたんだよな……。


 普通の人間だと思ってた俺がサキュバスのルリエを召喚出来るはずがないとルリエの担任には言われたが、未だに人間ではない自覚はない。が、如月先輩と同じ魔導書を使える時点で俺はすでに人間の域を超えているのかもしれない。


 新しい魔法も覚えたし、これなら最下級の魔族となら張り合える気がする。って、油断は禁物だ。それはさっきアレンとの戦闘で痛いほど身に染みた。


 アレンは魔族の中でも強いほうなんだろうか。次に会うときは魔導書を奪うし、殺すと宣言されてるし、俺も強くならないとな。


「龍幻。なにか考え事?」

「あ、そうだ!」


「!?」

「明日、導がこの家に来るんだ」


 今は魔導書や魔族のことは一旦置いておこう。それよりも明日のことだ。導にはルリエのことは親と喧嘩して家出したとこを拾ったとか適当な嘘をついてるからな……。


 バレたらヤバい。何がヤバいって? ロリコンの導が今の俺とルリエの関係を見て、黙ってるわけがないからだ。ルリエがサキュバスなんて導にバレた日にはその日のうちに大学内で俺がルリエとあんなことやこんなことをしているとウワサを流される。


 ウワサには必ず尾ひれがつくもの。きっと俺がロリコンだとか未成年を誘拐監禁してるとか言われるに違いない。そうなれば俺は大学で卒業までボッチ決定。そうならないためにもルリエには伝えておかないと。


「導さんって、あの美味しい手料理くれた人だよね?」

「そうだ。だが、導は変態でロリコンでアニメオタクでイケメンなんだ」


「龍幻はなんでそんな人と友達なの?」

「そ、それは……」


 さすがに導の悪口を言いすぎたか?


「それにイケメンなのは龍幻も同じだよ」

「そ、そうか? って、今は俺の話を聞いてくれ」


「う、うん」


 俺の圧に押されてか、ルリエはビックリしながらもその場に座って俺の話に耳を傾けてくれた。


 それから俺はその場で導に嘘をついたことをルリエに話した。サキュバスであることは絶対に秘密。ルリエは普通の人間で家出少女であることを貫き通してほしいと伝えた。


「話はわかったけど、私がサキュバスって普通にしてたらバレないと思うけど?」

「ルリエはドジなとこがあるからわからない。常に気を張っておけ。導は泊まるわけじゃない。ルリエを見たら満足して、すぐに帰ってくれるはずだ」


「そうかなぁ? って、私ドジじゃないもん!」

「……」


 ルリエは忘れてしまったのだろうか。俺と出会ったばかりの頃、手料理を振る舞うといってダークマターを食べさせたことや洗濯機を回すのにあるだけ全部の洗剤を入れて床を泡だらけにした失態の数々を。今思えば、あれはドジとかそういうレベルじゃないな。


「それよりも疲れてるなら私が癒してあげようか?」

「っ……」


 耳元で囁かれる言葉に俺はドキッとした。けど、俺は知っている。こうやって甘い言葉で俺を誘っても、キスをしたらそれだけで恥ずかしがってしまうってことを。


 ルリエは純粋なサキュバスで可愛い。が、このままだと一人前のサキュバスになるのはいつになるのやら。


「それとも、やらないの?」

「な、なにを?」


「気持ちいいこと、だよ」


 語尾にハートがついてると錯覚させるほど今のセリフは色気っぽかった。


「……ん。ルリエ、そこはダメ、だ」

「ここ、弱いの? 龍幻ってば可愛い」


「もう少し優しくしてくれ」

「このくらい?」


「んっ……。そこ、気持ちいいぞ」

「良かった。龍幻のこと気持ち良く出来て」


「ルリエにこんな才能があったなんてな」

「えへへ。昔、お姉ちゃんにも同じことしたんだけど評判良かったんだよ。私のマッサージ」


「たしかにこれは気持ちいいな」


 ルリエに如何わしいことをされると思ったのは、どこの誰だ? 

 怒らないから手を上げてみろ。……俺です。


 気持ちいいこと、なんて言われたら勘違いもする。だけど、わかってたことじゃないか。ルリエがそんな変なことするわけないって。ルリエの気持ちいいこと=全年齢であることは最初からわかってたはずだろ!?


 まぁでも普通にマッサージは良いもんだな。日々のバイトの疲れが吹き飛ぶようだ。しかし、ルリエはお姉ちゃんにもマッサージしてたのか。


 美人サキュバス姉妹がキャキャしてる姿とか想像するだけでも癒されるな。俺とルリエの絵面よりよっぽど絵になるんじゃないか?


「明日は導さんが来るから、私がおもてなしするね」

「まさかとは思うが、手料理を振舞ったりしないだろうな!?」


「龍幻、なにを焦ってるの? 龍幻だって私の手料理、美味しいって言ってくれたじゃない」

「……」


 そうだった。でもあれはルリエを傷付けないために必死に嘘にウソを重ねてだな。


 このままでは導が天国に旅立ってしまう。……いや、アイツのことだからルリエが作ったモノと言えば喜んで食うだろうな。たとえそれがこの世のものではないダークマターだとしても。


「俺も手伝う」

「龍幻はバイトで疲れてるだろうから無理しなくていいよ」


「いや、俺が導に食べさせてやりたいんだ」

「龍幻にとって導さんはそんなに大事な人なんだね」


「ルリエ、なにか勘違いしてないか?」

「たとえ好きになる相手の性別が同じだったとしても可能性はあるよ。恋愛は当たって砕けろって言うし」


「砕けたら駄目だろ。って、俺は導のことが心配なだけだ!!」


 もしもルリエの作ったもので目覚めなかったとしたら、それはそれで問題だからな。


「導さんに妬いちゃうな」

「俺は導よりルリエのほうが……」


「私のほうが、なに?」

「ル、ルリエのほうが大切、だから」


 我ながら情けない。本音では思っているのに、いざ口にするとこんなに恥ずかしいものなのか。イケメンの導なら恥ずかしがらずスラスラ言えて、女の子を喜ばせる言葉を言えるのだろうか。


「うん。知ってる」

「っ……ルリエ、大人をからかうのもほどほどにしてろよ」


「龍幻と私ってそんなに年齢変わらないじゃん」

「そうじゃなくて、男を挑発すると痛い目を見るってことだ。ルリエにイタズラする男も現れるかもしれないんだぞ」


「それは怖い……」


 ……流石に怖がらせすぎたか。そうだよな。ルリエはまだ男を知らない純新無垢なサキュバスなんだ。いや、この際サキュバス関係無しにルリエはまだ普通の女の子。


 いきなり召喚されて親離れも出来てないうちから知らない異世界(現代日本)に連れてこられたんだから怖がるのも無理はない、か。


「ルリエ、大丈夫だ」

「龍幻?」


「たとえ、どんな敵が現れても俺が必ず守ってやる」

「っ……わ、私だってサキュバスだから強いもん」


「そうだな。ルリエは強い子だもんな」

「もうっ……子供扱いしないでってば」 


 俺はルリエの頭を撫でた。やっぱり16歳という年齢を考えたら、まだまだ子供だ。だけど子供の成長スピードは早いというし、気がつけば俺がルリエに気持ち良くされる日もそう遠くはないかもな。


 ……この時の俺は本当に甘かった。ルリエを必ず守るとか言っておきながら、実際には守れなかったんだから。

 大事なものは失ってから気付く。そう、この時の俺は自身の弱さをもっと自覚するべきだった。

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