第三話 -異世界感あるわ-
気が付いたときナツは真っ暗な場所にいた。
自分の頬を右手で思いっきり払ってみる。
どうやら夢ではないらしい。
ヒリヒリするほっぺを膨らませながら周囲に何かないかを探してみる。
後ろと左右は岩肌のような硬いもので覆われている。ちょっと湿っぽい。
とりあえず前に進むしかないようなのでナツはゆっくりと起き上がり、歩を進めていった。
歩き始めて何時間経過したか分からないナツは
「国境の長いなんとかを抜けると、そこは雪国だった」
そんなフレーズがあったなーと考えていた。
すると真っ暗な洞窟の先に少し光が見えたので思わず全速力で駆け出した。
「やっとこの暗い場所から解放される!。」
孤独感と疲労感に苛まれていたナツは光の先が天国であると決めつけてしまったのだ。
「暗くて長い洞窟を抜けると、そこは空中だった。」by 夏畑駿
眼下に広がるのは青い青い海。
「せやなぁ…」
しばしの沈黙。
「今の俺の顔の真っ青さにも負けない青さ…ってそんなこと言ってる場合じゃねぇぞ死ぬ死ぬ!!。」
「あぁ、俺も地球の一部になるんだな。いやでも地球の地表に元からいたから俺は前から地球の一部と捉えることができるんじゃないか?。」
「ーーって死ぬ前に何考えてるんだろ俺。」
「これが走馬灯ってやつか、やけに落下するまでに時間あるな…。」
「落下してるときって体動かせるんだな。」
そのことに気づいて後ろを向いてみると
「何をしているのじゃ?ご主人?。」
ピンク髪の妖精がふわふわと浮かんでいるのだった。