第二話 -生活感あるわ-
くほねみ
そうSNSに呟き、スマホと目蓋を閉じる。
10分後、もう一度鳴り響くアラーム音ーー
本来なら彼は余裕で遅刻しているが
最近はネット講義であり、講義が始まる5分、いや10秒前に起きていれば間に合うのだ。
講義用のwebサービスにログインし、大きなあくびをしそうになるもマイクがついてる事に気づく。
「あぶねぇあぶねぇ…」
ビデオもマイクもオフにし、出席だけとってしまえばもうこちらのもの。
SNSを開き、呟いた内容の間違い「く"そ"ねみ」を修正し、オンラインゲームにログインし、サブモニターで動画サイトを閲覧してやっと彼の堕落した1日は始まったのである。
「はらへった…」
「それな」
「は?」
「は?」
夏畑駿 -これからはナツと呼ぼう- は一人漫才をしているのではない。
ボイスチャットに入った友達に話しかけているのだ。
この「は?」には、「は?なんで朝なのにボイスチャットにいるの?馬鹿なの?◯ぬの?」というような意味がこめられている。が、彼らの間に説明など不要である。
「最近ナツなにしてるん?」
「お前と喋ってる」
「いやそうじゃなくて」
「は?質問に答えたのになにその態度?」
決して彼らは仲が悪い訳ではない。いわゆる"その場の雰囲気" "ノリ"を楽しんでいるのだ。
そういった意味のない有意義な時間をすごしていると
ナツは講義が終わっている事に気づいた。
「いつの間にか講義終わってるの草w」
そう言いながら講義用webサービスを閉じようとして×を押す… 押す。押す。押す。押す。
何回押しても閉じることができない。
「は?pc壊れたんやけど?」ナツは友人と怒りを共有するが意味は無かった。
気がつくと画面が大きくなって、いや自分がどんどん小さくなり、、、
画面に吸い込まr…
「あr どうなっt るん、 t s k t …」
彼はそう言い残し(ナツの友達にはそう聴こえた)
画面に吸い込まれていった
「おーいナツ?ナツ? あいつ寝たんかよ…」
こうして彼はPCに吸い込まれていった