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4頁

 翌朝、目覚めたDRKはすぐに体の異変に気付いた。

 二本の手がある。

 足が二本しかない。

 横を見ると、一頭のヒトコブラクダが倒れて動かなくなっていた。

 その側に小さなフンコロガシがいて、指を伸ばすと、どこかへ走り去っていった。

 泉に顔を映すと、とてもよく見知った姿だった。

「イサラフ王子になっちゃった」

 そのとき地平の向こうから、砂塵さじんを巻き上げて、人間の軍隊がこちらへやってきた。

 先頭にいた隊長が、乗っていた軍用ラクダから降りて、DRKの前でひざを突いた。

「まさか、イサラフ王子ではありませんか」

「ぼくを知っているのかい?」

「かつて、あなたに剣の指導をしたクーラン将軍です。短い期間でしたので、王子はお忘れかもしれませんが」

 聞けばクーラン将軍は、隣国との国境を守っていたという。しかし宰相が国を乗っ取ったと聞いて、慌てて軍を率いて駆けつけてきたのだ。

「我らは今から、逆賊ぎゃくぞくを討ちにいくのです。王子も是非ご一緒に」

「ええ、面倒臭いな」

「何をおっしゃるのです」

 クーラン将軍は拳を握りしめた。

「王や兄君亡き今、次なる王は貴方様なのですぞ」

「忙しいのはご免だよ。ぼくはダラダラ過ごしたいんだ」

「でしたら、国を取り返した後で、心穏やかに暮らせるように計らいましょう」

「政治とか戦とか、難しいことは全部任せていいんだね」

「もちろんです、王子。いや、我が王よ」

 クーラン将軍の目が、獲物を得た獣のように爛々らんらんと輝いた。

「じゃあ、すぐに出発しよう。太陽が昇り切るまでに、次の水場まで行っておかないと」

 思わぬ言葉に、クーラン将軍は面食らった。

 まさか凡庸ぼんようだったイサラフ王子の口から、そんな真っ当な発言が聞けるなんて。

「人間の体は、ラクダみたいに便利にできていないからね。君の連れているラクダたちは、ミルクは出るのかい? 食糧や武器が足りないなら、ぼくがここに来る途中で会った欲深い商人たちに、道理を説いて用意させよう」

 なおも口をあんぐり開けているクーラン将軍を尻目に、DRKはこの先のことを胸に描いていた。

「ここよりもっとラクに暮らせるなら、人間でもいいかな」

 DRKは、今は自分のものではなくなったヒトコブラクダの死体を見た。

 まだ生きているようだった。


 (完)

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