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翌朝、目覚めたDRKはすぐに体の異変に気付いた。
二本の手がある。
足が二本しかない。
横を見ると、一頭のヒトコブラクダが倒れて動かなくなっていた。
その側に小さなフンコロガシがいて、指を伸ばすと、どこかへ走り去っていった。
泉に顔を映すと、とてもよく見知った姿だった。
「イサラフ王子になっちゃった」
そのとき地平の向こうから、砂塵を巻き上げて、人間の軍隊がこちらへやってきた。
先頭にいた隊長が、乗っていた軍用ラクダから降りて、DRKの前で膝を突いた。
「まさか、イサラフ王子ではありませんか」
「ぼくを知っているのかい?」
「かつて、あなたに剣の指導をしたクーラン将軍です。短い期間でしたので、王子はお忘れかもしれませんが」
聞けばクーラン将軍は、隣国との国境を守っていたという。しかし宰相が国を乗っ取ったと聞いて、慌てて軍を率いて駆けつけてきたのだ。
「我らは今から、逆賊を討ちにいくのです。王子も是非ご一緒に」
「ええ、面倒臭いな」
「何を仰るのです」
クーラン将軍は拳を握りしめた。
「王や兄君亡き今、次なる王は貴方様なのですぞ」
「忙しいのはご免だよ。ぼくはダラダラ過ごしたいんだ」
「でしたら、国を取り返した後で、心穏やかに暮らせるように計らいましょう」
「政治とか戦とか、難しいことは全部任せていいんだね」
「もちろんです、王子。いや、我が王よ」
クーラン将軍の目が、獲物を得た獣のように爛々と輝いた。
「じゃあ、すぐに出発しよう。太陽が昇り切るまでに、次の水場まで行っておかないと」
思わぬ言葉に、クーラン将軍は面食らった。
まさか凡庸だったイサラフ王子の口から、そんな真っ当な発言が聞けるなんて。
「人間の体は、ラクダみたいに便利にできていないからね。君の連れているラクダたちは、ミルクは出るのかい? 食糧や武器が足りないなら、ぼくがここに来る途中で会った欲深い商人たちに、道理を説いて用意させよう」
なおも口をあんぐり開けているクーラン将軍を尻目に、DRKはこの先のことを胸に描いていた。
「ここよりもっとラクに暮らせるなら、人間でもいいかな」
DRKは、今は自分のものではなくなったヒトコブラクダの死体を見た。
まだ生きているようだった。
(完)




