私、そして人だったもの
仕事終わりのサラリーマン達が疲れを酒で洗い流す声が聞こえる。幾数の飲み屋の光が街を照らし、眠らない街を作り出す。そんな街のとある光の届かない路地裏。その一角に私は居た。
足を引きずる男は赤い目印を残しながら私から逃げる。
「お願いだぁ、見逃してくれぇぇ!!!!!」
当然私は見逃す気は微塵もなく、淡々と男を死へと追いやる。
気が付けば男はもう動くことも出来ないようだった。そして最後に
「こっ、この悪魔が…」
そう言い放って、動かなくなった。
「しょうがないじゃないか…仕事なんだから…」
不満げに、誰に対してでもなく、目の前の”かたまり”に呟く。
そして、自分の着ているコートに赤黒いものが付着していることに気が付き、憂鬱になった。
(短編での更新ではありますが、続きを書くかもしれません。)
「私」はきれいが好きなんですよ。