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《神》スキル【貧乏神】 -捨てる神あれば拾う神ありー

作者: 佐崎 一路

たまには短編を書いてみたくて、突発的に書いてみました。

禍福(かふく)(あざな)える縄の如し》(「史記」南越伝)

=災禍と幸福とはより合わせた縄のように表裏一体であり、一時のそれに一喜一憂しても仕方がないということ。(by:ウイクショナリー日本語版)


****************************


「すまんが貴殿にはこの国から出て行って貰う」


 ロマンスグレーの頭が玉座に座ったまま微かに下がる。

 それを五メートルほどの距離を隔てて眺めながら、僕はついにこの日が来たか……と諦観とともに素直に受け入れた。


 途端に、

『ざまあっ!』

『さっさと出て行ってよ!』

『バーカバーカ!!』

 壁際に並んでいた同郷(・・)の三人がしてやったりの表情を浮かべ、声にならない駄々漏れの【念話】で僕に罵声を浴びせる。


 スピーカーで騒音をがなりたてるも同然の蛮声(耳を塞いでも聞こえる分なおたちが悪い)に、微かに顔をしかめながらも聞こえないフリをして、渋い中年男性――ここレイルウッド国の国王であるオルヴィオス三世陛下――が沈痛な表情で再度謝罪の言葉を口に出された。


「こちらの勝手で召喚しておいてこのような仕打ち……我が力不足。まこと、貴殿には何と言って詫びれば良いのか」

「……いえ。いいんです。それどころかこんな僕を一年もお城で世話してくれて、本当にありがとうございました」


 苦渋の表情でそう言ってくれる陛下の真摯な態度に、小なりとはいえ一国の王城とも思えないほど飾り気のない、質素な謁見の間に片膝を突いた姿勢のまま僕は深々と一礼をした。


『ほーんとお荷物だったよなー!』

『清々するわっ』

『これで贅沢三昧だぜぃ、うぇい!』


 まったく自制しない外野は無視して、僕は膝を突いたまま首を横に陛下の謝罪を受けれる。


 まあ実際、拉致同然に〈英雄召喚の儀式〉とやらで召喚しておいて、役に立たないからといって放逐される立場としては釈然としない部分もあるけれど、この三馬鹿に代表される一緒に召喚された面々が、その《スキル》によってこの一年で目覚ましい成長を遂げ、それに応じた功績を打ち立てたのに比べて、実質的に何の役にも立たない――どころか、大幅なマイナスでしかなかった僕を一年もの間、衣食住さらにはこの世界の言葉や一般常識まで提供してくれた温情を思えば、ここで文句を言ったら罰が当たるというものだろう。


 大体において不慮のバス事故で全員がお陀仏になったところを、こうして(さまざまな政治的思惑や諸国との軍事バランスなどの結果とはいえ)、異世界に召喚して貰ったお陰で拾った命だ。

 いっそお払い箱にするよりも、密かに始末でもした方が手っ取り早かっただろうに(できるかどうかはともかく)、こうしてきちんと国王陛下当人が理由を告げて詫びを入れるのだから、最大限の誠意を示してくれたと言っても過言ではないというものだ。


「本当にすまぬ。せめてもの餞別として貴殿には『冒険者ギルド』での会員資格を無条件で進呈しよう。まあ、最下級見習いの(すず)級よりひとつ上、平会員である(なまり)級なので、せいぜい『冒険者ギルド』の無料木賃宿や、無料配給食を口にできるくらいしか功能はないが」


 同時に傍に控えていた侍従が、鉛色の二等辺三角形のプレートを恭しく持って来た。

 剣と盾の透かし彫りの入ったそのプレートを受け取って、話に聞いていた通り角の所で指先を切って、プレートの裏面に血を一滴垂らすと、

『シン・カザマ/職業 無職・勇者/年齢 十九歳/種族 異世界人/賞罰 なし』

 と、レイルウッド国と周辺国(つまり人間の国全般)で使っているゴール語で書かれた記載が浮かび上がった。


 これを見てほっと安堵する僕とオルヴィオス三世陛下。

 ……良かった。これで少なくとも最低限冒険者ギルドのある場所なら食いっぱぐれはない。

 ひょっとすると、僕のスキルの影響で(・・・・・・・・・)登録すらできないかと、実は内心は戦々恐々としていただけに喜びもひとしおである。


 と、僕が抱いた懸念は国王陛下も同じだったようで、それが払拭されたことに「うむうむ」と、いたく満足そうに何度も頷いていた。

 ちなみに冒険者ギルドは各国間に跨って存在する半官半民組織であるので、この国を出ても会員であれば同じ待遇を受けることができる。


 それに合わせて謁見の間に集まった重臣や王族たちも、ひたすら嬉しそうに頷いているのは、これは無事に僕を厄介払いできる喜びからだろう。と、一年前に比べて明らかに調度品が減って、質素になった――はっきりと貧乏臭くなった――彼らの衣装を眺めながら、妬みややっかみではなく事実としてそんなことを思う僕。

 緊縮財政の為に、僕の提言に従って王自らが率先して華美・虚飾に走らず、質素・倹約に努めた結果なのだけれど、どうも門閥貴族や召喚勇者連中にはそれが不満だったらしく、そこからの突き上げもあって今回の僕の放逐となったのだろう。


「ありがとうございます。僕のような厄介者の対しての陛下の御厚情に心より感謝申し上げます。この上はできる限り早くこの国を後にしたいと思います」

「……うむ。すまんな。支度が出来次第、国境まで兵士に馬車で送らせよう。ああ、それと誰かに挨拶しておきたいのであれば、そのくらいの時間は設けるように手配しよう」


 ちらりと壁際に整列したつもりでだらしなく並んでいる三馬鹿――率先して質素な身なりをしている国王陛下に習って、王族や貴族も慎み深い格好をしている中で、いっそ清々しいほど派手な原色の衣装と金銀宝石の宝飾品をじゃらじゃら下げた連中――を、ちらりと一瞥する国王陛下。


『挨拶なんて誰もするわけないじゃーん!』

『ほーんと、いっそタヒねばいいのにぃ』

『あー、でも最後にぶん殴っておこうかねえ』


 無言のままの連中だけれど考えていることは【念話】で筒抜けである。


 この【念話】、もともとこの魔術は動物の意思を汲み取るために編み出されたものだったそうで、基本的に人間同士で使うのはマナー違反だとされている。

 それでも必要に迫られて学ぶ際には、普通に喋るかのように、特定の考えだけを特定の相手に伝えられる程度まで習熟しないと使うことは禁止されている、なにげに禁呪だとか。


 実際に最初に召喚された際には、説明役の宮廷魔術師がこれで通訳になってくれたものである。


 で、彼らの使い方が鮮やかで流暢だったことから、これを『翻訳魔術』だと誤った理解をした連中(特に若い奴ら)は、いちいちこちらの言葉を覚えるのが面倒だと考え、当初ヒヤリングとリスニングで普通に会話を教えようとした魔術師陣に猛抗議。横着をしてこれを覚えさせろと騒ぎ立てて手が付けられない状態になった。

 結果、しぶしぶ折れた宮廷魔術師によって脳の言語野に強制的に魔術回路を形成してもらい、こうして意思の疎通ができるようになったというわけである。


 ちなみに僕は半年ほどかかって地道に読み書きを覚えた少数派であった。

 だって、基本的に動物相手の魔術で無理矢理脳味噌いじくって、更には使うのがマナー違反で、とどめにコントロール覚えるまでは考えが筒抜けとか、いろいろと怖い、怖すぎる。

 宮廷魔術師長も肉体に恒常的に施術される魔術は、あまりお勧めできないって言っていたしね。


 そんなわけで、僕も陛下に倣って連中が発する【念話】の雑音は聞こえないフリをして、きちんと覚えた礼儀作法に従い、口頭でもって謝意を伝える。


「重ね重ねのご配慮痛み入ります。ですが、特に親しい友人などもおりませんので……」


『ぼっちだもんなー!』

『いくら顔が良くても、ヒモを飼う女なんていないわよ~っ』

『さっさと行けよ、この無能!!』


 壁際の三馬鹿――金髪の軽薄そうな少年(日系二世のアーサー・十六歳・スキル【経験値倍増】)、ショートカットの見るからに尻軽(ビッチ)(ショウ・十五歳・スキル【超回復】)、いかにもチンピラうぇい系(中華系留学生のリュウ・十七歳・スキル【金剛強化】)――が、口々に囃し立てる。

 口に出していない『念話』なので野次(やじ)を飛ばしても問題ない、頭の中で考えていることだもんな、不可抗力だぜ~、とか同時に思っているようだが、そもそも公共の場で 【念話】を使うこと自体がマナー違反であり、まして王の御前でのこれは不敬罪として処罰されてしかるべき重罪であることを、連中は理解していないらしい。

 ま、指摘するべき宮廷の人間が黙っているので図のぼせているんだろうけど、こいつら陰でこの国の人間から『文化を知らない・覚えられない亜人・野蛮人(サル)』扱いされてるってわかってるのかなぁ。


 そもそも連中は異世界から召喚された際に身に着けたチート能力でもって、自分たちはこの世界の人間よりも圧倒的に優位な存在だと己惚れているようだけれど、実際のところは手が付けられない……という程ではないんだよね。

 ちょっと調べればわかるけれど、この世界の人間で《スキル》持ちは四~五人にひとりの割合で存在して、なおかつ分母が多いだけに様々な《スキル》も存在する。

 こと戦闘系の《スキル》に関しては、習熟度が高いだけあって、付け焼刃の召喚勇者よりも上の人間がゴロゴロしているらしい。


 要するにガチャみたいなものだ。

 この世界の人間が玉石混交ガチャであるのに比べ、異世界から召喚した人間の場合はレア以上のアタリ確率が大幅に高いため、小国であるこの国では重宝されているだけであるだけだ。

 そして履き違えてはいけない。

 自分たちは別に唯一無二の存在でもないし、単純にちょっと珍しい特技を持っている程度の凡人であり、特別扱いされているのはこの世界での良識と、誘拐同然で異世界から無理やり拉致した贖罪意識によるものだということを。


 そう考えたからこそ、僕は進んで国王陛下の相談にも乗り、僕たちの世界での社会制度や過去の政策など、できうる限り助言をしてきたのだけれど、どうやら異世界でも『出る杭は打たれる』らしい。


『役立たずの馬鹿が!』

『ほーんと、こいつのせいで散々だったわ』

『こんなのが勇者とか一緒にされたくねーもんなー』


 確かに彼らのように目に見える成果を挙げたわけではないけれど、それなりに役に立ってきたつもりの僕を、ひたすら見下す連中。

 ……ま、目に見える成果といっても、野良の魔物を何匹か倒した程度で、全体としては彼らの存在はあってもなくても良いくらいの効果なんだけれどねえ。


 ただまあ、周辺諸国に対する抑止力として、また国民向けのプロパガンダとして、『我が国独自の秘術により異世界より召喚された勇者たち』の存在をセンセーショナルに報じているだけび所謂(いわゆる)、大本営発表である。


 それにしても、多少でも理性があればある程度コントロールできるはずの【念話】が、まったく抑制されていない。

 このことだけでも、この一年連中がどれだけ甘やかされてきたのか、察するに余りあるというものだ。


 陛下も苦虫を噛み潰した表情でもう一度「すまんな」と、言って先ほどよりも深く頭を下げてくれた。


「……この上でもうひとつ、無理な願いを頼みたいのだが」


 それから言い難そうに付け加える。


「――なんでしょうか?」

「うむ。その……アキラ殿の処遇についてなのじゃが」

「アキラ?」


 咄嗟に誰だか思いつかずに小首を傾げる。名前からして召喚された勇者(笑)のひとりだとは思うけど、そんな名前の奴いたかなぁ?

 ま、全部で五十六人もいたし、《スキル》にしても、ピンからキリまであって分野によっては全然交流がなかったりするので、同朋とはいえ名前を知らない人間も結構いるんだよね。


『誰だ?』

『アキラ?』

 ところが僕だけではなくアーサーもリュウも知らないみたいで、お互いに怪訝な表情で顔を見合わせている。


『――っっっ。アキラ~!? あのヒキコモリかよっ!!』

『『「!!!」』』


 ショウの素っ頓狂な【念話】で、はっと見当をつけることができた僕ら。


「……うむ。まあ、確かに一年前から与えられた個室へ引き籠っているので、おそらく顔を合わせたのは召喚の場での一度だけだとは思うのじゃが」


 難しい顔で髪と同じロマンスグレーの髭を撫でるオルヴィオス三世陛下。


「ははあぁ。あの噂の幻の勇者ですか……」


 僕とは別な意味でお荷物で有名な召喚勇者――一年前に召喚された晩から天の岩戸状態で、頑なに部屋から出てこないヒキコモリのプロ――の話題が不意にでた理由を考えて、それからハタと国王陛下の言う『お願い』の内容に察しがついた。


「あの……もしかして、そのアキラ何某(ナニガシ)も?」

「……うむ。お主の処遇が決まったところで、アキラも同じようにせねば片手落ちではないかと、各方面から意見がでてなぁ。どうせなら同朋同士で協力し合った方が良かろうということで」


 髭をさする動きを忙しくしながら、何とも奥歯にモノが挟まった言い方で状況を説明をしながら、ちらちらと三馬鹿勇者に視線を飛ばして僕に目配せをしてくれる国王陛下。

 要するに厄介払いのついでに、彼のヒキコモリを抱き合わせで廃棄しようという提言があのあたりからあったということだろう。


『あのヒキコモリ、アキラって名前だったのか!?』

『やった~~っ! 女子連帯でアレを追放するよう頑張った(大臣の息子や近衛騎士を誑し込んだ)甲斐があったわ!!』

『顔も知らねぇしぃ。イラネイラネ。どうぞどうぞ』


 どうやら話を先導したのは召喚勇者の中でも女子連中のようである。

 で、連中がハニートラップをしかけて、それに丸め込まれた大臣や関係者が、国王陛下に働きかけてこういう仕儀に相成った……と。


 あっさりと暴露された裏事情に、思わず冷めた目で詰めかけた重臣や近衛騎士団を見据える僕と国王陛下。

 何人かが決まり悪げに視線を逸らせたり咳払いをしたりした。


 とはいえ、その“アキラ”とやら、なぜかはわからないけれど女子連中から目の敵にされているらしい。

 それだけ女子に毛嫌いされているということは、僕の記憶にはないのだけれど、想像するに相当にアレな面相なのだろう。

 万年ヒキコモリらしいし……と、やや偏見混じりの憶測を浮かべる僕。


「なるほど」と、とりあえず頷きながら確認をする。「ですが当人は国から放逐されて僕と行動を共にすることを納得しているのですか?」

「…………」

「……まあ、そのあたりは勅命(ちょくめい)ということでして」


 黙り込むオルヴィオス三世陛下と、決まり悪げに口を挟む初老の侍従長。

 ……つまり納得してないんだな。


「あの~、もしも当人が駄々をこねて暴れたとしても、もしも戦闘系のスキル持ちだったら僕じゃどーしようもありませんよ?」


 勅命ってことは異議申し立ての余地がないということで、つまりは『アキラ何某』と一緒に国から追い出されるのは確定事項ということで、まあそれは仕方がない。

 だけど、もしもそのアキラとやらが暴れて、僕との同行を拒んだ場合に、はっきり言って僕ではどうしようもない。

 そのあたり当然わかっているだろうけれど、念のために予防線を張っておく。


「それならば大丈夫だ。確かに戦闘系のスキル、それも《伝説(レジェンド)級》を所持しておるが、現状ではお主でも取り押さえることは可能であろう」


 そう取り成すように陛下に言われたけれど、意味が分からん。

 ちなみにこの世界ではスキルの効果や能力、希少性に応じて《(ゴッド)級》(世界で唯一無二)>《伝説(レジェンド)級》(その時代に数人出るかどうか)>《(スーパー)級》(数万人にひとり)>《達人(マスター)級》>《玄人(プロ)級》>《一般(コモン)級》と分類されている。

 で、その上から二番目である《伝説(レジェンド)級》で、なおかつ戦闘系となればドラゴンと一対一(タイマン)でも互角に戦えるはずだけど……。


「はあ……?」

 不得要領の面持ちでそう返答をする僕に構わずに、

「まあ、それでも当人が同行を拒むのであれば無理をする必要はない。国境線を越えたところで別行動をしても自由じゃ。ただし、再びこの国の土を踏むことは罷りならんがな」

 そう付け加える国王陛下。


 実質的な国外追放であるが、まあ妥当な判断だろう。仮に僕が責任者でも似たような判断を下すと思う。

 問題なのは、さっきの僕の質問に曖昧な答えしか返さない陛下のはぐらかしだけれど、これ以上ツッコんだ質問をするのは不敬というものだろう。

 こうして直答を赦してもらえているのも、僕が仮にも異世界から召喚された勇者のひとりで、なおかつ唯一の《(ゴッド)級》スキル保持者であるからだ。


 まあ碌でもないスキルとはいえ、希少さでは随一だったわけだから国としても一年間も手厚く保護してくれたわけなんだろうけど、それが逆に他の召喚勇者の反発を食らってご覧のありさまなわけなんだけれどね。


「――はあ……わかりました。兎に角、国境までは同行すればいいわけですね?」

「うむ。無理を聞いてもらう代わりと言っては何だが、せめて支度金を渡しておこう。出発の際には王国金貨十枚でどうじゃ? 少ないとは思うがいまの国庫では二人分、二十枚を捻出(ねんしゅつ)するのが精一杯なのじゃ」


 王国金貨十枚となると贅沢をしなければ、この世界の平民一家が一年は暮らしていける金額である。

 他国からの流民や魔王軍に対する財政的支援のため逼迫(ひっぱく)した中、それだけのお金を支度金(実質的に手切れ金だろうけど)を融通してくれたオルヴィオス三世陛下に向かって、僕は再度深々と頭を下げた。


「ありがとうございます。お世話になりました」

「いや。――ごほっ……余としても貴殿との惜別はまことに残念である……こほこほっ」


 気になる咳をしながらも、社交辞令ではなく本心からしみじみと別れを惜しんでくれるオルヴィオス三世陛下。

 実際にできた人である。僕がこれまで我慢してきたのも、この人物がいたからこそ……と言えるだろう。


『『『――ま、金がないのもお前のせいだけどな。この【貧乏神】っ!』』』


 途端、三馬鹿の罵声が【念話】が揃って放たれた。


 ◆


 翌日――。

 準備、といっても数日分の食料と着替えが入った背嚢(はいのう)を背負い、数枚の銀貨と銅貨を懐に納めて僕は城で準備した馬車へと案内された。


 なお、当初は金貨を十枚ほどを都合して貰える予定だった筈が、直前になって城の使用人のひとりが金貨二十枚に目が眩んで持ち逃げしたとか。

 これほどの大金が現在の王宮で右から左へと動かせるわけもなく。そのため、担当役人がポケットマネーで融通してくれたものである。

 

「……これではせいぜい一月分の生活費だろう。すまんな」

「あー、いえ、お気持ちだけで十分です。それに、慣れてますから……」


 手持ちの有り金全部を差し出して、深々と謝罪してくれる担当役人(どこぞの貴族の次男だとかいう三十歳ほどの人物)に、謙遜ではなく事実としてそう伝えると、相手も頷いて良いものかどうか微妙な表情で押し黙った。


「…………」

「…………」


 口に出されて相手の方も、僕の持つ《(ゴッド)級》スキル【貧乏神】の効果をいまさらながら実感したのだろう。その場に気まずい沈黙が落ちる。


 ちなみに場所は裏門で見送りは担当役人である彼がひとりと兵士が数人、痩せた駄馬に安っぽい幌馬車、赤土にペンペン草が数本という侘しいものであった。

 あと現在、この城内には異世界から召喚された勇者が三十人ほど駐在している筈だけど、当然のように誰も見送りには来てくれない。


 それにしても、召喚された時には、王族や神官、魔術師がずらりと総出で並んで平身低頭で迎えられたものだけれど、いざお払い箱となるとこんなもんか……。

 なお、国王陛下は個人的に別れの挨拶に来たがっていたそうだけれど、あまり体調が優れないとのことで大事を取っているとのこと。

 もともとお体が蒲柳(ほりゅう)性質(たち)だったそうだけれど、ここ一年ほどは驚くほど健康そのものだったものが、心労からかここにきて急に元の体調に戻ってしまったらしい。


 ――陛下には今後も健康に留意していただきたいものだけれどねえ。


 そんな風に馬車の前で黄昏ていた僕だけれど、そこへ何やらガチャガチャと騒々しい音が近づいてき、そんな感傷を容易く打ち破るんだった。


 見ればふたりの槍を持った兵士に引き摺られるようにして……いや、引き摺られて、全身すっぽりと覆うフルプレートの小柄な騎士(?)が、ジタバタ暴れながら城内からこちらへ連行されてくるとことである。

 およそ普段使いであんな格好をしている騎士など、この一年で見たことはない。


「@$#&%!!」


 手足を振り回して必死に抵抗しようとしているようだけれど、よほど中身がへな猪口でへっぽこなのか、殴られても蹴られても兵士たちは鬱陶しげ様子で意にも返さず……ただ鎧の重さにだけは辟易している様子で、面倒臭そうにその人物を無造作に運搬するのだった。


「……来たようですな」


 そんな異様な光景にも眉ひとつ動かさず担当役人が呟いた。


 えええええっ!?! と、その台詞に僕が思わず驚愕の叫びをあげるのと同時に、

「お待たせして申し訳ありません。勇者アキラ・サオトメ殿をお連れしました!」

「――うわあっ、やっぱり!」

 僕たち――というか担当役人――の前に到着したところで、片手でフルプレートの人物を捕まえたまま、びしっと敬礼をするふたりの兵士。

 見た瞬間、半ば予想していたその正体に、愕然とする僕だった。


「£÷Σ★¢〒?!!」


 相変わらずジタバタと無駄な抵抗を擦り返すアキラ・サオトメ。

 にしても非力だなぁ。

 戦闘系のスキル持ちでもない僕でも、異世界人のせいか普通に筋力や脚力など、そこそこ強化されているというのに、軽く片手であしらわれているよ。

 あれ別に特殊な技とか使われれるわけでなくて、純粋に腕力だけで抑え込まれているよなー……本当に戦闘系のスキル、それも《伝説(レジェンド)級》の持ち主なのだろうか? おそらくは何か特殊な条件――満月を見るとか、ほうれん草を食べるとか――いや、もっと限定された条件でないと発動しない系だろう。


「それでは揃ったようですので、おふたりとも馬車の中へ。――諸君らは引き続き国境までお連れしろ!」

「「はっ」」


 促されて僕は幌馬車の中へ、敬礼をした兵士ふたりはアキラを連行される宇宙人のように抱えて、僕の後から馬車に乗ってきた。


「……!!」

 馬車の中へ入るや否や、素早くダッシュしてゴ○ブリのような動きで這いつくばり、ここがテリトリーだとばかり狭い荷台の隅に陣取ったアキラ。

 ついでに荷台に積んであった襤褸毛布を頭からすっぽりと被り、さらには背中に背負っていたサーフボードサイズの両手盾をバリケードのように立て掛け、こちら側に背中を向けて体育座りで蹲る。


 そのまま動かざること山の如し。


「「「…………」」」


 なんかもうそこから梃子でも動きそうになかったので、これ以上係わるのも面倒……当人の精神状態のためにも良くないだろうと判断をして、僕はなるべく目を合わせないようにして荷台の外れに腰を下ろした。

 兵士ふたりは肩を竦めて槍を荷台に乗せ、そのままぐるりと迂回して御者台へと向かった。


「――出発します」


 程なくぶっきら棒な兵士の合図があり、馬車はゆっくりと走り出した。

 こうして、僕はこの一年余り過ごしたレイルウッド国の王城を後にするのだった。


 目指すはこの世界でもっとも大国(といっても人間の国は五国しかないが)である隣国ウォーレンウォール王国である。

 ここレイルウッド国は小国とはいえ、それでも一番近い国境の町までは、このペースでは片道七日の予定であるとのこと。


「…………」


 密閉された空間で壁を作る(物理・精神両方)アキラ相手に一週間も(この世界に週間はないけど)、或いはこの先もやって行けるのか、望み薄だけれどとりあえず気長に構えておこう。

 幸いこれまでの人生でも金がないだけで、なんとなかってきたわけだしね。ま、異世界まで来るとは思わなかったけれど。

 と、そう思う僕だった。


 そうして三日目――。


「……朝日が眩しいなあ」


 旅路はつつがなく順調に――相変わらずアキラは日がな一日、荷台に引き籠ったままで(たまの小休止で生理現象なのかどこかに消えてすぐに戻る程度)、食事の時も背中を向けて絶対に素顔を見せないようにして挨拶もなく――進み、人けのない野原の真ん中で野宿をして過ごした僕ら。

 そうして明るい日差しに目を覚ますと、雲ひとつない快晴の空が目に飛び込んできた。


 昨晩は街道をちょっと外れた小川の近くで馬車を停めて、アキラ以外の三人が交代で火の番をしていた筈だけれど、いつの間にか焚き火は消えていて、さらにはちょっと離れていた場所に停めてあった馬車もなくなっていた。

 当然、ふたりの兵士の姿もない。

 周囲の様子を何度か確認をして、特に乱れた様子も血の跡もなく、馬車の轍の跡が街道へと戻っているのを確認して、僕はひとつの結論を下した。


「逃げた……かな?」


 そうとしか思えない。

 とはいえさすがに馬車が動いたら気が付くと思うのだけれど……。


「――一服盛られた?」


 そういえば昨晩はおかしなキノコのスープだったけれど、よくよく考えるとふたりとも口を付けた様子はなかった。

 つまり、三日目で面倒になった兵士ふたりが、眠りを促すキノコを僕に食べさせ、寝ている隙にトンずらこいたというわけだろう。

 もしかすると前後関係が逆で、たまたまそのキノコを見つけて、衝動的な犯行に及んだのかも知れないけれども。


「……ま、毒キノコでなかっただけマシだね」


 幸いにして体に異常はないみたいだし、なけなしの着替えや支度金がなくなったのは痛いけれど、いま着ている服と毛布一枚と命は無事だったわけなんだから、これを(よし)と思わねば。


「“禍福(かふく)(あざな)える縄の如し”とも言うからね。悪いことばかりじゃないさ」


 強がりではなくそう思えるのは、昔から僕の身の上には似たようなことが良くあったからだ。


 中二の時にアパートが火事で投げ出されたけれど、たまたま入院した病院の病室で死んだ両親の知り合いに会ったりとか。

 その伝手で親類が着服していた遺産をある程度取り戻してもらって、お陰で寮付きの高校へ入学できたとか。

 お金を落として歩いてバイトへ向かったら、たまたま列車事故を回避できたとか。

 友人たちと食事に行って、手持ちがないのでひとりだけ飲み物だけで我慢していたら、友人たちが食中毒に中ったとか。

 乗っていたバスが崖下に転落したと思ったら、バスごと異世界に召喚されたりとか。


 不運なようだけれど、トータルで見れば収支はトントンというか、お金はないけど割と気ままな生活が送れていたと思う。

 受け取り方は人それぞれだけれど、僕としては『ケ・セラ・セラ』。

 音楽と古い映画を好きな友人曰く、「ロックというよりC調の生き方だね」とのこと。


 僕はこれが普通だと思って特に不都合はなかったのだけれど、どうやらそう思っていたのは僕だけど、かなり変わった人生だったらしい。

 そのせいか、この世界では《スキル》という形で明文化されてしまった。



 《(ゴッド)級》スキル【貧乏神】……運命に介入して幸不幸を呼び寄せる。あらゆる魔・病気を退けるが、金だけは貯まらない。



 凄いんだか凄くないんだか微妙である意味トンデモナイ代物である。

 で、まあこの国の人間は【貧乏神】といってもピンと来なかったのだけれど(それどころか《(ゴッド)級》スキルということで目を見張っていた)、一緒に召喚さえた連中が『貧乏神』という言葉にアレルギーを起こした。

 そうしてあることないこと吹聴して回り、さらにはそれを裏付けるかのように、近隣諸国で疫病や旱魃、さらには魔王の軍勢の侵攻などが重なった影響で、もともと小国であったレイルウッド国の財政が逼迫してきた。


 幸いにして国としてはこれら直接的な被害は蒙らなかったものの、周辺諸国から当て付けのように難民が流れ込み、さらには――。


「この穴埋めはいつか必ずするさかい! 今回だけや、今回だけ助けてえや!(要約)」


 という大国からの援助要請という名目の恫喝によって、多額の義援金を毟り取られて、あっという間に国の財政は火の車となった。


 勿論、その後穴埋めなどされずに、お陰でオルヴィオス三世陛下と国の重臣たちの胃には穴が開きそうな塩梅である。

 そんなこんなで、「こうなったのもこの国に【貧乏神】がいるせいだ!」という、やり場のない怒りの矛先が僕へと向かってきたというわけだ。


 八つ当たりのような気もするし、そもそも財政が傾いた大きな要因は、召喚勇者たちが後先考えずに贅沢な暮らしを要求して、また武器防具も一級品を所望したからに他ならない(前年比で軍事費が五倍増という阿呆な数字を弾き出した)。

 そのあたりを是正して、普通に緊縮財政を貫けば国としてきちんと舵取りはできる情勢ではあったのだ。


 賢明なるオルヴィオス三世陛下と財務に関わる高官たちは当然理解して上で、そのあたりを何度も説明をした。

 だが、贅沢をしたい門閥貴族と召喚勇者の横車に抗しきれず、こうして全ての元凶を【貧乏神】の持ち主である僕だということにして、国外退去という仕置にした……のだけれど、まさか国境を越えないうちに放置されるとは。


「――どーしたもんかな。いまさら引き返すわけにもいかないし」


 歩いて国境線を越えるのかぁ……。

 げんなりしながら、とりあえず僕は体に着いた木の葉や埃を払って、毛布を丸めて小脇に持ち、街道へ出るため轍の跡に従って歩き始めた。


 途中で見つけた魔物除けの薬草(色が白い他はドクダミにソックリ)を摘んで、揉み解して体に汁をつけたりしながら歩くこと二十分あまり。

 ようやく街道――と言っても馬車がすれ違える程度の幅の畦道のようなもの――に出たと思った瞬間、

「きゃああああああああああああああああああああっ!!!」

 という絹を引き裂くようなうら若い乙女の悲鳴が響いてきた。


 同時にバリバリ~~ッ! というものが壊れる音とともに、男たちの魂消た野太い悲鳴、そして断末魔の叫びに加えて、何やら巨大な猛獣が暴れているような足踏みの音と怒号混じりの咆哮が木霊する。


 唖然とする僕の視界の果てで、背の高い草を軽々と超えて、空中へ放り出される見覚えのある幌馬車と、壊れた人形のように続いて宙に投げ出される兵士ふたりの姿が目に映った。


「ブモオオオオオオオォォォ―――ッ!!」


 そうして、それに続いて怒り心頭のバカでかい――小型トラックほどもある――猪が、街道をこちらの方角へと走り出した。


「うわあああああああああああ~~ん!!」


 よくよく見れば、その前を見覚えのあるフルプレートの鎧兜が必死に手足をバタつかせて逃げている。

 火事場の馬鹿力なのか、或いはなんらかの《スキル》なのか、完全武装で八十キロくらいあるはずの重量を感じさせない走りであった。


 もしかすれば逃げ切れるかな? と、一瞬思ったけれど、勿論そんなわけはなく、

「――へぶっ!?!」

 たちまち追いつかれて、サイズ的には象牙と遜色ない牙で突っかけられる。


 空き缶みたいに、ゴロゴロと幸か不幸か草むらに隠れている僕のすぐ目の前まで転がってきた。

 助けようにもどうにもならず、手をこまねいているうちに、鎧の重量のせいか逆さになった亀のようにジタバタしているアキラの元へ巨大猪が迫ってきて、そのまま勢いよく下顎を突き上げる。


 ちなみに猪ってのは牙を武器にすると思いがちだけれど、連中の最大の武器は実はその強靭なスコップのような下顎にあり、日本にいるサイズの猪でも人間くらい平気で吹き飛ばすのだ。


 当然、このサイズになればいかに重装備のフルプレートであってもひとたまりもなく、一撃で軽々と宙を飛ぶことになった――(ヘイム)(プレート)の上半身だけが。


「ブモッ!?」

「ひええええええええええっ!?」


 上手いこと留め金の部分が引っかかってスッポ抜けたのか、まるで茹でたカニの身のようにその場に取り残された“アキラの中身”。

 混乱したのか、吹っ飛んでいった甲羅部分に巨大猪が気を取られたその隙に、僕は飛び出して行って転んだままのアキラを回収して、その場に丸めた毛布を置いて逃げ出した。


「ブモ、ブモモ~~~~~~~ッ!!!」


 すぐに取って返してきた巨大猪が毛布を跳ね上げ、また騙されたことに気付いたところで、一際猛々しい咆哮とともに、僕らの臭いを目星に一直線に向かって来るのが見えた。


「――やっぱ無理か~っ!」

 上手いこと目くらましにならないかと期待したんだけれど、やっぱり野生相手に無理だったか。

「こうなったからには僕が(おとり)になるので、この場で二手に分かれるしか――へっ!?」


 形としてお姫様抱っこの形になったアキラに、そう提案しながら目を向けた僕の目が点になった。


「「…………」」


 なぜか知らないけれど、腕の中にはもの凄い……芸能人なんて問題にならないような、目の覚めるような美少女がいた。

 一見して、ただ面倒臭くて伸ばしただけという風の艶やかな黒髪に、死んだ魚のような目をしているくせに大きな二重の瞳に、通った鼻筋、小さな口。これらが絶妙な配置で小さな顔の中に収まっている……とにかく、一目見たら忘れれないほどの途轍もない美少女である。


 なにこれ……???

 何か間違った……???


 呆気に取られた表情で、お互いにしばし見つめ合う。

 勿論そんな悠長に考えている暇などあるわけもなく。

 再び弾丸のように突進してきた巨大猪にあっという間に距離を詰められた僕ら。


 はっと振り返った僕の視界一杯に広がる巨大猪の顔!

 あ、こりゃ駄目だわ。

 一瞬で諦めの境地に達した――その刹那、

「きゃあああああああああああっ! 嫌っ、見ないで~~っ!!」

 我に返った彼女が片手で顔を覆って、もう片手でもって僕を振り払おうと無造作に拳を繰り出してきた。


 不安定な姿勢のへな猪口パンチ。

 咄嗟に首を曲げて躱した拳が、ちょうど真正面から突っ込んできた巨大猪の鼻っ面を捉える。


 ズド~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン!!!!


 と、次の瞬間、まるで耳元で砲弾が炸裂したような破砕音が木霊した。


 もう一度言うけれど、放たれたのはお姫様抱っこされた状態での腰の入っていない、猫と喧嘩したこともなさそうな、華奢な美少女が放ったテレホンパンチである。

 だったからこそ僕も避けられたわけで、こんなもの子供相手にも通用するわけがない――通用するはずがない一撃だったのだけれど、まともに受けた巨大猪の顔面が、次の瞬間ぐしゃりとハンマーで叩かれたかのように潰れたのだった。


「……は?!」

 と、間抜けの声をあげる間もなく、血と脳漿とあとわけのわからない体液を吹き出しながら、巨大猪はヨロヨロとよろけ、そのまま無言でその場にドウッと横倒しとなり、ヒクヒクと痙攣していたけれど、すぐにその痙攣もおさまった。

 確認するまでもなく、完全に絶命している。


「……なんで……?」


 答えを求めて、思わず腕の中の彼女に問いかけるも、「うえ~~ん!」と、彼女は両手で顔を覆って震えるばかりで答えなど返ってこない。

 途方に暮れた僕は、その姿勢のまま抜けるような空を見上げた。


 ああ、今日もいい天気らしい。


 とりあえずなんとかなった……そう考えて納得するしかなかった。


 そんなわけで、これが僕と『脱げば脱ぐだけ強くなる』という《伝説(レジェンド)級》スキル【ジャングルの王者】を持つヒキコモリ――アキラ・サオトメとの、ある意味センセーショナルな出会いであった。

 

 この後、引き篭もろうとする彼女が、僕のスキル【貧乏神】の影響で、様々な場面で身包み剥がされて、当人の意向を無視して、そのチートパワーを発揮するようになる……その大活躍はまた別の話である。


 なお僕たちが国を後にしてすぐに、オルヴィオス三世陛下は体調不良を理由に玉座から引退されたとか。

 代わって王位に立った王太子は門閥貴族や召喚勇者に迎合して、放蕩三昧を繰り返し僅か一年余りで国家財政を破綻させ、また本腰を入れてきた魔王軍の先遣隊相手に召喚勇者たちを逐次投入するという愚を犯し(彼らが団体行動をとれなかったという理由もあり)、ほとんどの者が各個撃破されある者は討死し、またある者は言葉も喋れない家畜として奴隷以下の扱いされたとか。

 そうして程なく、レイルウッド国は国としての体を成せずに隣国に併呑される運命をたどった……とか、風の噂に聞いたけれど、まあある意味因果応報、自業自得と言えるだろう。

ちなみに日本の昔話にでてくる貧乏神というのは福の神と表裏一体であり、働き者で正直者のところには福をもたらすとされています。


3/10 誤字脱字の訂正を行いました。


あと三馬鹿の名前は特に意味はありませんよ。

間違っても続けて読んじゃだめだぞ☆ (・ω<)


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[良い点] 裸一貫無双の始まり [一言] 王様やまともな官僚は気付いてたんだろうな 周辺国が体裁なくすレベルの天災→自国はなんと被害なし 周辺国に対する魔族軍事行為→自国は国力はある程度維持していて攻…
[気になる点] 中二の時にアパートが火事で投げ出されたけれど、たまたま入院した病院の病室で死んだ両院の知り合いに会ったりとか。 ※両院→両【親】
[良い点] お疲れ様でした。 厄介払いをしたつもりの連中が、実は「厄介事を引き受けた」と言う訳ですね(笑)
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