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第24話 『過去』そして『現在』

9日ぶりに更新しました。

毎日、更新してないかと、確認しに来てくださっていた読者様方。本当に申し訳ございません。

そして、ありがとうございます。


先に耐性の無い方の為に言っておきます。

かなり話が重く、グロい描写が入ります。

「どこだ……此処は?」


情景が切り替わり、空間に小さな農村の情景が出来上がる。


「此処は琥珀の生まれ故郷。お前ら地球の人間達が並行世界と呼ぶ世界にある、とある場所だ」


そして目の前にいたのは、よく知っている琥珀色の瞳をした狐の女の子の幼い頃の姿。


「あれが……幼い頃の琥珀……?」

「ああ」


呟くように発した疑問を、目の前にいる神様は肯定きた。


そして語り始める。琥珀の過去を。


「昔の琥珀はな。立ち上がることすら出来ない程、生まれつき体が病弱な娘だった」


床に伏せている琥珀を見て、同情した声色で神様は言う。


俺達は紡がれる言葉の重みに対して、ただ聞いていることしか出来なかった。


「この時はまだ、私は琥珀に取り付いてはおらなくてな。琥珀の、父親の方に封印されていた」


そして、場面は変わり、突如暗い地下深くに情景は変化する。


地下深くに繋がれていたのは、暴れ回る一人の男性。神様の言葉から察するに、琥珀の父親だろう。


「妾を封印したこの魔法陣の力を行使すると、術者は例外なく自身の肉体や精神の崩壊を、始めることになる。琥珀の父親のようにな」


そう言って、触れられないとは言え琥珀の父親の虚像に近づく神様。


次第に、話す表情も重くなっていった。


「琥珀の父親も例に漏れず、このチカラを使った時から少しづつ肉体を壊していき、琥珀が大きくなる頃には既に狂人と成り果て、村の地下牢獄に囚われていた」


そしてまた場面は変わり、そこは村の中心に位置する広場だった。


そこには、丸太にはりつけにされ、身動きが出来なくなった琥珀の父親の無惨な姿があった。


「ある日のことだ。村に不作が続き、大地の加護が失われたと思った村人達は生贄として誰かを捧げることによって、不作を免れようと決めた。……実際は作物の作りすぎによる、大地の栄養が枯れ果てただけだったんだがな。全く、愚かな事よな」


貶すように話し、吐き捨てた後、神様はまた話し出す。


「人身御供には、琥珀の父親が選ばれた。当然と言えば当然過ぎる、ここまでは良くある話の帰結だ」


そして、拘束された琥珀の父親に、当時の村人達の手によって、火が放たれる。


……見ていられなかった。俺達は、この残酷過ぎる光景を、直視できなかった。


しかし、神様の『見ろ。目を逸らすな』と言う一言で、俺達の体の自由は奪われ、無理矢理、その光景を直視させられる。


「そして、琥珀の父親は焼かれた…そこまでは別に良かったんだ。……そこで終わりさえすればな。良くある悲しい生贄の話で済んだんだ」


現れたのは燃え盛る地獄の業火の中から現れる、真っ黒に焦げながらも動いている、人あらざる者の姿だった。


俺達はあまりの光景に驚愕していた。


しかし、俺達とは反対に、神様はその光景を苦々しい顔で見つめていた。


「琥珀の父親の体は長い年月をかけて既に人のそれでは無くなっていたんだ。焼かれた程度では死なないくらいにな」


そして、狂い狂るって暴れ回り、眼前の全てを破壊し続ける琥珀の父親だったモノ。


狂乱し、逃げ惑う村人。一つ、また一つと貫かれ、消えていく命。増え続ける真紅の池。


そこはまさに地獄だった。


「その後、琥珀の父親によって村は壊滅し、その後父親はとある村人の手によって殺された。殺したのは……琥珀の母親だった」


起き上がれない幼い琥珀の目の前で起きた、自分の母が、狂乱した父の胸を、包丁で突き刺し殺す。


その光景を目の前で見せられた琥珀は、いったい、どんな気持ちだったのだろうか。


「父が倒れたその瞬間、父親を狂わせた魔法陣は封印されていた私ごと、琥珀の体へと転移した」


「運良く生き残った数人の村人達によって、琥珀と母親は今琥珀の住んでいる、この屋敷へと隔離された。琥珀と母親は文字通り世界から追放されたんだよ」


そして琥珀と琥珀の母親が、この世界の広い屋敷へとうつり住んで来る風景に変わった。


その時の琥珀は、母親を自責の念に駆られないようにする為に、努めて明るく、笑顔で振舞っていた。


「だがまだ話は終わらない。転移した先の琥珀は魔法陣のチカラによって、病弱な体から一転、質実剛健な健康な体になった。それこそ前では考えられないほどにな。そして監視していた村の奴らは、その琥珀が危険だと判断し、ある日琥珀を殺しに来たんだ」


「なん……だって?」


あまりの仕打ちに俺達は全員絶句した。


ひとつの家族に、幼い子どもに、ここまでの仕打ちを強いていてなお、人はまだそこまで残虐になれるのか。


「琥珀は母のチカラを借りて、体を変化させて狐の姿に変わり、屋敷から逃げ出したんだ。元々、狐の種族だからな。変化くらいなら体にも負担は無かったんだったんだろう」


狐になり、逃げて逃げて逃げる琥珀。


遂に力果てて、倒れ込み――――。


「そこから先はお前と出逢い――――数日間を共に生きた」


そして幼い頃の俺と、狐になった琥珀との暖かく優しい笑顔と笑いに満ち溢れた穏やかな日々が続く。


しかし、俺は知っている。


「まて、一つ聞きたいことがある。全て真実だとして、どうして琥珀は俺の前から急にいなくなったんだ?」


この光景もすぐに無くなってしまう、儚いものだったことを。


幼い頃の俺は唯一の友を失った喪失感に苛まれ、泣いていた事も、俺は覚えている。


「…………さあな。その理由は知らん。私は起きたことを伝えるだけだ。琥珀が当時をどう思っていたのか、何を感じて生きていたのか。そんなものは琥珀本人にしかわからんよ」


神様は何やら間を置いたあと、そう話し、俺を納得させようとする。


「ともあれ、琥珀は数日間滞在した後、琥珀は確かにみちるの前から姿を消した。それは事実だ」


神様は遠回しに、琥珀に聞けと言ってきたのだった。


そして神様は、琥珀の過去の話を再開する。


「その後、家に戻ると琥珀は、故郷に連れ去られることになる。琥珀の母親は、既に村人達の手によって殺された後だった」


目の前に現れたのは、唯一残った肉親でさえ、無残に殺された後だった。


そして琥珀の意識はそこで途切れることになる。


「目が醒めると琥珀は磔にされ、残った村人達に『過去に大罪を犯した男の忌み子』として、処刑されそうになっていた所だった」


父親の時と同じように、はりつけにされている琥珀の姿がそこにはあった。


涙を流し、残った肉親さえも殺した村人を殺めた奴らを怨む、その瞳と表情はとても印象的だった。


そして、遂に琥珀に火が放たれようとしたその瞬間。


「そして、何故かこの時だけ――――神たる私自身が、琥珀の体を借りて現界する事が出来たのだ」


神様がそう言うと同時に、風景の中には幼い琥珀の姿はどこにも無く、代わりにあったのは目の前の神様と同じ姿をした女性だけだった。


しかし、これに対して明美が糾弾する。


「ちょっと待って。どうして貴女あなたは、現界出来たの?それに魔法陣のチカラを使ったなら、琥珀も狂人になってないと辻褄が合わないわよ?」


最もな質問に対して神様はこう言った。


「魔法陣を持つ主人が望んでチカラを行使するのと、降霊するのでは訳が違う。今迄は魔法陣のチカラを、その身を犠牲にして使うのが常だったのだが、琥珀は自身の中にいる、神である私自身を自分の体に降霊し憑依させることで、その代償を無くしたのだ。勿論こんな事は初めてだったがな」


そして琥珀に憑依した神様はそのチカラによって、残った村人や建物、その全てを破壊していった。



―――そしてここに、一つの村の歴史は閉じたのだ。



「全てが終わった後、琥珀はその故郷から離れ、こちらの世界に戻って来ることになる」


ボロボロの体で琥珀は自分の家に戻ってきていた。


自分の屋敷の陽の当たる所に母の亡骸を埋葬し、父と母の墓標を立てて、気持ちに区切りをつける。


そして立ち直り、人生の再スタートを切る健気な幼い琥珀の姿がそこにはあった。


神様は語る。今までとは打って変わって慈愛に満ちた優しい笑顔で。


「その後琥珀は、お前が立ち直り、ちゃんと学校に行っていることを知る。中学生になり、ひたすら勉強した琥珀はその後、高校受験した。その時、またみちると再開出来たのは本当に偶然、運命というやつだったんだろう」


そして、神様の言葉はここで途切れ。


「これが、琥珀の歩んできた過去の全てだ」


そう締めくくり、琥珀の過去の話は終わった。

その後、狐の神様は俺に心から懇願してきた。


「みちる。お前がもし琥珀を助けたいと真に思うなら。私をここで殺して、この血塗られた歴史に終止符を打ってくれ」

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あと、書き終わったあと、思ったことを一つ。

これで約3000文字なんですよ?

毎日書いてる方と内容の密度違いすぎませんか?

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