第22話 精神世界へ
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琥珀の家に着くなり、インターホンを押す。
が、反応がないのでドアを無理やり堅土にこじ開けて貰って、俺達三人は琥珀の家に押し入った。
押し入った後で俺は琥珀の寝室に向かって走り出し、障子の張られた扉の前まできて、部屋の中を見渡した。
そして俺達は後悔する。全てが遅すぎたことに。
散々泣き喚いたのであろう。
目尻を赤く染めて泣き腫らした後のあるオーディンの、生気のない虚ろな瞳と感情の無い無表情を見て俺は戦慄したのだ。
そして、俺はオーディンの先にいる、寝息一つ立てていなく、穏やかな琥珀のまま横たわる琥珀の姿を見たのだった。
俺達三人の前に広がる歴然とした事実。琥珀の死。
「そん……な……嘘だろ。おい……!琥珀!!」
自分の心臓の鼓動が、自分でもわかるくらい今の俺は動転していた。手のひらから何かが零れ落ちるような感覚に襲われ、咄嗟に俺は琥珀の胸に耳を当てて、心臓の音を確認する。
――――どくん。――――どくん。
「よかった!心臓は動いてる……!まだ……生きてる!!」
死んだと早とちりしていた俺は取り敢えず、安堵に包まれる。
しかし隣にいた無表情のオーディンは、唐突に虚空に対して静かに、ただ静かに呪うように呟き始める。
「生きてはいるけど、お姉ちゃんはもう二度と、この世界には返って来ない……」
「え……?」
困惑する俺を置き去りに、淡々と言葉は紡がれる。
「お姉ちゃんはもう二度と、目を覚まさない」
「お姉ちゃんはもう二度と、誰も好きにならない」
「お姉ちゃんはもう二度と、料理を作ってはくれない」
「お姉ちゃんはもう二度と、笑顔を見せてはくれない」
「お姉ちゃんとはもう二度と、話せない――――っ」
そう最後に言い終わった後、オーディンは感情の堤防が決壊したかのように、慟哭し、滂沱の涙を流して、立ち上がり、激しい剣幕で俺を見下す。
「お、おいオーディン――――!!」
「――全部お前のせいだ、月影みちる。全部お前が気づかなかったせいだ」
「何も知らない、いいや知っているくせに忘れているお前は、気付こうともしなかったお前は、その愚鈍さを呪って、今ここでお姉ちゃんの為にも死ね!」
そう言ってオーディンは自分の手のひらに、何処から持ち出したのかわからない、薄い鋼色をした鋭利な包丁を構えてきた。
「やめろ、オーディン!!」
「あぐっ!!」
咄嗟にヤバイと感じたのか、堅土がオーディンの腕を手刀で叩き包丁を落とした瞬間、オーディンを後ろから両肩を組んで、無力化した。
「放せっ!!何も知らないような振りをして一番、琥珀お姉ちゃんを傷つけていたこいつを私は許さない!お姉ちゃんの代わりに私がやらないといけないんだ!」
「何の話だオーディン!?一体何を言ってるんだ!?」
何を言ってるのか本当にわからなかった。俺が琥珀を傷つけていた?まったく記憶に無いぞ?
そもそも、俺と琥珀が出会ったのはどんなに早くても受験の日からだ。遡っても記憶にはありはしない。
すると、オーディンは唖然とした様子で、俺を見つめて。
「まさか本当に忘れているのか?自分からしたお姉ちゃんとのあの『約束』を――?」
「――――約束?一体何を言ってるんだ?」
心当たりがまるでなかった。そんなに重大な約束なら、俺は絶対に忘れたりなんかしていないはずだ。
「まさか……本当に忘れているのか。それでもお姉ちゃんの気持ちに何一つ気づかない辺り、愚鈍極まりない話なんだが」
にも関わらず、オーディンは未だに俺に失望の眼差しを向けてながら、話を進める。
「良いだろう、気が変わった。忘れているなら思い出してこい。お前が過去に交わした約束を――」
そして、オーディンは堅土に離すように命じると、堅土自身、見た事の無い剣幕にけおされて自然と高速していた手を離していた。
オーディンは立ち上がり、その後明美の近くにまで行くと、明美に対して懇願するように話しかける。
「明美お姉ちゃん。チカラを貸して。今からこのバカとお姉ちゃん、堅土の三人を琥珀お姉ちゃんの精神世界に送り込ませて上げるから」
「送り込ませるからって、私のチカラはそんなに簡単なものじゃないのよ?この前はぶっつけ本番で出来ただけだし」
「一度でも自力で成功した事はあるんだね?それなら私の解析する為の処理能力を使って、お姉ちゃんのチカラを安定させて、琥珀お姉ちゃんの精神世界を完璧に制御すれば、行き来くらいならどうにでもなるよ」
あっけからんとオーディンは明美の苦悩を出来ると断言して、話を進める。
今、並列に魔法を制御するという、かなり難しいことを言ってのけたと思うのだが。
「恐らくそこには、お姉ちゃんの精神に昔、封印された神様がいるはず。さっき全部解析出来た私にはわかるんだ。お願いお姉ちゃん。そこのバカはどうでも良いけど、お姉ちゃんと堅土の二人には、私は無事でいて欲しいから」
明美と堅土はそれぞれ苦笑する。
どんだけ嫌われてるんだ俺は……。一体、何をしたって言うのだろうか。
「それじゃ、さっそく準備するよ。明美お姉ちゃんは琥珀お姉ちゃんに触れて、意識を集中して」
指示の通りに明美は琥珀の背中にある魔法陣に触れて、意識を集中させる。
「そこのバカと堅土は明美お姉ちゃんの体に触れて、意識を整えて。私が必ず明美お姉ちゃん達を無事に琥珀お姉ちゃんの精神世界に運んで上げるから」
色々突っ込みたいことは多々あったが、今はオーディンの指示に素直に従うことに決めた。
そして俺と堅土はそれぞれ、明美の背中に触れて意識を集中する。
「それじゃあ行くよ」
オーディンの声がそう聞こえた次の瞬間。
――そして俺達三人は果ての無い、闇の底へと落ちていく感覚に見舞われた。
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