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3.朝寝坊ですか!?

3話目です。連投します。

 窓から射す光が眩しいです。

 うーん、とりあえず起き上がって、顔でも洗いましょうか。

 あれ、寝間着じゃなくて仕事用のシャツを着たままですね。えっと、昨日仕事が終わってから、私は何をしてたんでしたっけ?

 団長のせいで残業になって、それから2人でおいしいソーセージを食べに行って。ああ、あのソーセージ入りのオムレツはおいしかった。……じゃなくて。ああ、間違えてお店の人が出したお酒を飲んじゃったんだ。で、酔っ払って、眠くなっちゃって。そこからの記憶が曖昧だけど、家に帰ってきてるってことは自力で帰ってきたのか。いや、そうじゃないな。ええっと、団長に送ってもらって……そういえば、え、え、え?

「ひえええええええええ!!!」

 昨日、私、酔っ払って団長におんぶされた!? よりによって団長におんぶって! しかもそのとき、なんかすごいこと言ったような……。わ、わ、芋づる式に思い出してきたー! 団長にぎゅってしようとしたー! あーもう、顔が熱い! 穴があったら入りたい! 今日、団長と職場でどういう顔して会ったらいいんだろう。

 ん、仕事?

 時計を見ると、針は始業の30分前を指していて。

「きゃああああああああああ!」

 本日二度目の悲鳴を上げたのでした。





 あれから人生で最速記録出せるほど、速攻で着替えて、職場まで猛ダッシュしました。普段そんなに体を使う仕事ではなくデスクワークばかりなので、足が攣りそうです……。

「おはようございますっ!」

 息を切らせながら隊舎に入ると、ちょうど始業の鐘がなったところだった。

「おはよう、ちびっこ。鐘と同時に出勤とは弛んでいるな。気を引き締め直せ。では、今から朝礼を始める」

 (くだん)の団長が、団長席からこちらを一瞥して片方の眉を上げました。団長は、ピシッと糊の効いた軍服を来て、昨日何事もなかったかのように涼しげな顔をしています。

 一方の私は、とりあえず髪はまとめてきたもののボサボサ、シャツも昨日のままで、寝坊しましたといわんばかりのヨレヨレの恰好です。この差は一体なんなんでしょう。

「すみません……」

 私は真っ赤になって、こそこそと自分の席に移動します。

「おはよう。珍しいね、セシリアが時間ギリギリなんて。寝坊?」

 席に着くと、隣の席のローサがこっそり声をかけてきます。ローサは私と同じ第三騎士団の事務官です。私より3つ上で、面倒見がよく、女性が少ない職場なのもあって、私にはいつもよくしてくれます。

「うん、まあそう。昨日残業で寝るのが遅くって」

 酔っ払ってしまったからなんて口が裂けても言えませんが、一応これも嘘ではありません。

「そういえば、昨日もギリギリで仕事よこされてたもんねー」

 ローサは納得してくれたようです。でも、あんたも苦労するね、ってニヤニヤ笑うのはなぜでしょう。

 腑に落ちないですが、副団長の進行で朝礼が進んでいるので、視線を前に戻します。

「それでは次に、団長から話があります」

 副団長の前置きで、団長がすっと席を立ちました。

「先週起こった誘拐事件のことだが、この事件と第二騎士団が追っている人身売買組織との関連が判明した」

 第二騎士団とは、広範囲にわたって起こる問題にあたる騎士団です。国外でも活動する組織や事件の調査、問題解決にあたるため、人身売買組織なんかも第二の管轄です。

「そこで、第二騎士団から要請があり、うちと第二とで合同でこの件にあたることが今朝決定した。組織のマークは第二がやるが、王都の巡回と警備の強化はうちが引き受けることになった。そのため、本日より、特に夕方以降の巡回の人数を増やす。事が事だけに慎重に期さなければならないが、次の犠牲者が出ないとも限らない。気を引き締めて、早期解決に向けて尽力せよ」

「「「はっ!」」」

 こうやって真面目な顔をしていると、団長は凛々しい。目元が涼しく、口許がきりりと引き締まった精悍な顔つきで、世の女性がきゃーきゃー言うのもわかる気がします。昨日だって、負ぶってくれた背中が広くて頼りがいがあって、それに温かくてすごく心地よか……わーっ何を思い出しているんでしょう!

「……リア、セシリア!」

 思い出し赤面をしていると、隣でローサが眉をひそめながら肘で私を小突いていました。

「セシリア、団長があんたのことを呼んでるよ」

 視線を向けると、団長が片方の眉を上げて私を睨んでいます。これはとても不機嫌そう。

 いつの間にか朝礼が終わって、私が団長に呼ばれていたようです。隣ではローサが小さく、『頑張って』とエールを送ってくれていますが、うう、何を怒られるんでしょう。身に覚えがありすぎます。


ありがとうございました。

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