表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RPGっぽい異世界でだらだら冒険者生活する  作者: いかぽん
第二章 巨大蟻退治、あるいは少女たちのメイドさんご奉仕を賭けた戦い
18/121

アリだー!

 坑道を道なりに歩いて行くと、しばらくして分岐にぶつかった。

 Y字路で、右と左の前方に、それぞれトンネルが伸びている。


「連中、どっち行ったんだろうな。──ちっ、こういうときシーフでもいりゃあ、足跡でどっち行ったか分かるんだけどな」


 パメラがそう言いながら、トカゲのようにいつくばって、じーっと地面を見ている。

 シーフの真似事をしようとしているようだが、すぐに「ダメだ、わかんね」と言って投げ出して、ごろんと大の字に地面に転がった。


 ちなみに、チートポイントで取れるスキルの中には、1ポイントでシーフの技術を一括取得できる「盗賊能力シーブズアビリティ」というスキルがある。

 これもまあ、取っておいて損はしないだろうと、ここで取得しておく。

 ポチッとな。


「──足跡見ると、連中は右に行ったみたいだな」


 俺が地面を見ながらそう言うと、パメラが上半身を起こしながら、聞いてくる。


「……へっ? ダーリンのクラスって、まさかシーフだったの?」


「いや。俺、一般人だよ」


「……は? 『ノーマルマン』のままってこと? クラスチェンジしたとか──いや、でも、わざわざノーマルマンに戻る意味がねーし……」


 頭の上で「???」を浮かべているパメラである。

 うん、悪いがその考察には何の意味もないんだ。

 密室殺人の推理小説を読んでいて、テレポート能力を持った超能力者が犯人だっていう推理が絶対に出てこないのと一緒で、そもそもルール違反をしているという正解には、絶対にたどり着かないというね。


 さて、そんなパメラはさておき、俺はさらに、別のスキルを発動する。

 先ほど取得した、「生命感知」のスキルだ。


 このスキルの効果は、船舶に搭載している魚群探知機のようなレーダーをイメージしてもらうと、分かりやすいかと思う。

 スキルを発動して目を閉じることで、360度あらゆる方角にある「生命」の存在を知覚することができる。


 有効距離は、「INT×3」メートル。

 俺の今のINTが76だから、俺が今いる位置を起点にした全方位二百二十八メートルが、このスキルの効果範囲になる。

 壁の向こう側だろうが、土の中だろうがお構いなしの、完全なる全方位レーダーである。


 なお、このスキルを使用するときには、どのような生命を感知したいか、その大まかな種類を指定する必要がある。

 いま俺が指定したのは、「ジャイアントアント」。

 これで、俺の周囲二百二十八メートル以内にいるすべてのジャイアントアントを、暗闇の中の白い光として、知覚できるわけだ。


 このスキルの効果を超強力と思うか、まあまあ便利と思うかは、人それぞれだろう。

 が、俺はこのスキルを、まさにチート能力と呼ぶに値する、トンデモ能力の一つと認識している。


 で、いまこのスキルを使用した収穫はというと──


「あ、パメラ、ちょいちょい」


「……ん? なに、ダーリン?」


 俺はパメラを手招きで呼び寄せる。

 パメラは、よっ、と言ってブリッジで立ち上がった。


「なんか用?」


「いや、もうちょいこっち来た方がいいぞ」


「だから何だよ──にょわあああああっ!?」


 そのとき、今までパメラが寝ていた場所のすぐ横の壁から、ぼこんと岩肌を突き破って、体長二メートルほどの巨大な蟻が飛び出してきた。

 突然のことにおびえたパメラが、俺に抱きついてくる。


「な、な、なんで──!?」


「いやぁ、ジャイアントアントってのは、地中も食い破って進めるんだな」


「そうじゃなくてっ、何でそこから出てくるって分かったんだよ!?」


 そんなパメラの疑問はスルー。

 黙っておくと、俺の存在がちょっとミステリアスな感じになっていいんじゃないかな。


 ちなみに、ジャイアントアントが出てきた壁の穴からは、その後に続いて二体のジャイアントアントが飛び出してきた。

 合計三体の巨大蟻が、俺たちの前に姿を現した。

 「生命感知」のスキルが捕捉したのも、すぐ近くにいるものに関しては、これで全部だ。


「──さて、それじゃバトルといこうか」


 俺は腰から剣を抜いて、ジャイアントアントを迎え撃つ。

 少し怯えて緊張した様子のティトが、俺のすぐ後ろに寄ってきて、その陰に隠れるように引っついてくる。

 まあ、行動としては正解だな。


 さぁて──ラッシュ鳥のときは、拍子抜けだったからな。

 ちょっとは楽しませてくれよ、蟻さんたち。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ