帰り道と向日葵
初夏が訪れたこの道で
私は向日葵が咲くのを待っている
でも今年はなかなか咲かない
毎年、この道端に一輪だけ咲くのに
この向日葵が夏の訪れを私に教えてくれるのに
***
「君もこの向日葵が咲くの待ってるの?」
いつもの帰り道、私はそう話しかけられた
「えぇ…。でも今年はまだ咲きませんね」
私の他にもこの向日葵が咲くのを待っている人がいるんだ…。そう思うとなんだか嬉しくなった。
二人で少し話をする。
どうやら同じ高校に通っているらしい。
学年は違うけど。
この日から私達は一緒に帰るようになった。
少しずつではあったが、私は彼と仲良くなっていった。
「そんなに向日葵が好きなの?」
二人で帰るいつもの帰り道、私はふいにそう聞かれた。なんだか恥ずかしい気持ちになったが、私は「そうね、好きよ」と答えた。
次の日のいつもの帰り道、彼が向日葵のブローチを私にくれた。
とても嬉しかった。
私は「ありがとう」と笑顔で言った。
***
結局、道端の向日葵は咲かなかった。
でもいい。
私には大切な人からもらった向日葵がいつも髪に咲いているから。
読んでいただきありがとうございました(^_^)




