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魔法使いに召喚された男の子  作者: クトリア
3/3

MTFへLet´s Go!

「な、なあ恵樹君、九堂さんっていっつもあんな感じなん?」

 「あんなとは?」

 「いや、なんか元気っちゅうか…パワフルっちゅうか…もっと大人しめな感じやったと思うんよ」

 「えっ?大人しい?凛亜が?無い無い、凛亜が大人しいなんて絶対無いよ。あったとしてもそれは(ねこ)(かぶ)ってるだけだよ」

 「猫被り?猫被りには見えんかった気がするんやけどなぁ」

 「うーん、じゃあただ人見知りしてただけなんじゃないの?」

 「ああ、人見知りかぁそれはあるかもしれんな」

 「きっと、そうだよ」

 アハハハハ

 2人は小声で話しているつもりだったが、最初から最後まで凛亜は内容を聞いていた。

 まあ、猫被り40の人見知り60ぐらいだったかな?

 というように、あまり気にも留めずに話を聞いていたが


 「よし、着いたよ。ここが『古術』本部。通称Military Training Facility 略してMTF、意味は軍事訓練施設(ぐんじくんれんしせつ)。さあ御二方(おふたかた)、門をお潜り下さい」

 スッと恵樹は躊躇(ためら)わず門を潜った。

 「ぐ、軍事訓練!そないな名前なんかここは!」

 西原は恵樹とは対照的に門を潜るのを躊躇っていた。

 「あ…そんなに躊躇ったら、ここ通れないよ」

 「え?そないなこと言われても・・・」

 「ほら、早く!」

 渋々、西原は門を潜ろうとした。

 が、見えない壁に阻まれるように西原は門の中へ入れないでいた。

 「??へ?な、なんで通れないんや?」

 「ここは部外者の侵入を防ぐため対人精神干渉(たいじんせいしんかんしょう)を魔法で施してるの。だから、戸惑ったり躊躇ったりしたら魔法が発動して、その人を通れなくさせるんだよ」

 「じゃ、じゃあどうやったら中に入れるんや?」

 「ちょっと待って」

 右耳の耳珠(じじゅ)を右手の人差し指で押さえ、

 「すみません。今日は私の連れがいるのですが、門が閉まってしまい開けてほしいのですが…九堂家長女、凛亜です。…よろしくお願いします」

 耳珠から指を離す。

 「いいよ、入って」

 「お、おう」

 入れた。

 「あ、ありがとうな」

 「ううん、躊躇わないで門の中に入ってきたこいつの方がおかしいから」

 と、恵樹を指さす。当の本人は「何?」というふうだが。

 「ははは、恵樹も九堂さんもおもろいなぁ」

 「じゃあ、行きますか」

 三人は門を入って直線道の向こうにある扉に向け歩を進めた。


 「すいません、三人です」

 凛亜は扉を入って直ぐの受付の人に申請した。

 「了解しました。少々お待ちください。………はい、これが通行証(つうこうしょう)です」

 「ありがとうございます」

 受付の人から通行証を受け取り、2人に渡す。

 「今から地下にある模擬戦闘場(もぎせんとうじょう)に行くんだけど、その前に私は寄る所があるから先に行っててくれる?」

 「いいけど…行く所って?」

 「用事があるんだよ…挨拶みたいなもの」

 「了解…でも、俺達行き方知らないけど…」

 「あぁ大丈夫。私の魔法で転送してあげるから」

 「ほんなら、何階か教えてや。九堂さんの魔力消費せんでも俺一人で行けるから」

 「ん、駄目だよ。ここに登録している人以外は魔法を使うと発動しないから」

 「なっ、そないな魔法レベル高い人がおるんか、ここに」

 「うん、たくさん居るよ。それにその魔法は何人もの人が様々な方法で掛けてるから、何重(なんじゅう)にもなってるよ」

 「はぁ?ぎょうさん人が同じ所に魔法掛()けたら、それこそ発動せぇへんのや無いんか?」

 「それは、魔法で解決出来る」

 スッと後ろから声が聞こえたと思い、後ろを振り返るとそこには薫君が居た。

 「みょ、明安寺君どうしたの⁉」

 「どうしたもこうしたも、今日は会議があると連絡が来なかったのか?」

 「会議?……いや、聞いてないよ?」

 「はぁ、まあ九堂さんはいつも出席しなくてもいい人だから連絡が行ってなかったのかな?」

 「かも知れないね。で、私を会議に出席させるってことは何かあったの?」 

 「……ここでは話せないからまずはこの2人を訓練場に送ってからにしてくれないか?」

 「!…分かった。2人共私の手掴んで」

 はいっと西原君と恵樹に手を差し出す。

 恵樹は直ぐに応じ、西原君は恥ずかしそうに手を掴んだ。

 「じゃあ、着いたら誰かに場所聞くかなんかしてね……転送」

 西原君と恵樹の足から光が溢れその中に2人は消えていった。

 「じゃあ行こう」

 「うん」

 「あと、移動しながらで悪いんだけど正装(せいそう)に着替えてくれる?俺は前を歩くから」

 「分かった。それと、気遣いありがとう。でも、大丈夫だからね」

 パチンッと親指で人差し指を弾くと、バサァと恵樹を召喚させた時と同じ服装になっていた。

 「じゃあ行こうか」

 「あ、あぁ…少しは俺の気持ちも()んではくれないかな?」

 「?」

 「ま、まあ会議はもう(じき)始まるし行こうか」



 光の中から出現した西原君と恵樹は模擬戦闘場を探していた。

 「なぁ、九堂さんは分からんかったら『人に聞け』()うてたけど、人おるように見えるか?」

 「うーん…見えないね。一切…」

 「それに、地図みたいんのも無いしなぁ…どないしようか?」

 「おい、餓鬼共(がきども)。邪魔なんだが…通路の真ん中で止まるな」

 後ろから威圧感(いあつかん)たっぷりの声がした。

 おそるおそる、振り返ってみると、眼鏡を掛けた青年が立っていた。



 ガタンッ ス―

 「失礼します。古術第1支部長(こじゅつだいいちしぶちょう)九堂(くとう)玄朗(げんろう)が孫、九堂凛亜です」

 襖を開け、中にいるであろう私よりも年上な方々に深々とお辞儀をする。

 「おぉ、やっと来たか、凛亜よ。すまんのぅこちらの伝達ミスで、凛亜に連絡がいかんかったわい」

 優しそうな顔をした老人が椅子に座った状態で話しかけた。

 「いえ、おじい様、私も気づかなければいけない事でしたのに申し訳ございません」

 そう、私に話しかけてきたのは、私の祖父、九堂玄朗だった。

 「それと、私の両親が見当たらないという事は結界(けっかい)の事でしょうか?」

 「あぁ、そうじゃ。察しが良くて有り難いわい。そう、ここの結界が少し緩んできたとの事じゃ」

 「…緩んできた…」

 「まぁ積もる話もあると思いますが、まずは奥の部屋へどうぞ。そこに私の祖父、明安寺(みょうあんじ)成宮(なりみや)が居りますのでそこで」

 祖父と話していると、奥の部屋に続く扉の横で薫君が部屋に居た人達に促した。

 私は歩を進め祖父の元へ近寄り、肩を貸して立ち上がらせ、奥の部屋へ誘導した。

   


 「餓鬼とはなんですか!」

 後ろから初対面の人に『餓鬼』と言われ少し怒った恵樹はその青年に物申した。

 「や、止めれ恵樹!」

 「…すいません」

 「で、餓鬼共何故通路の真ん中で立ち止っていた」 

 「えっと…模擬戦闘場ってどこにあるんか知ってますか?」

 「は?模擬戦闘場?そんなの、ここに決まってんだろ!」

 そう言い壁の上の方を指差した。壁の上には『模擬戦闘訓練施設』と書かれた鉄の板が打ちこまれていた。

 「ここやったんですか、おおきに」

 「はぁ、最近の餓鬼は周りも見えなくなったのか…はぁ」

 「すんません、そんなら背が低いっちゅうのもあるかも知れへんのですよ」

 「ふん、なんでもいいが入るならさっさと入れ!私もここに用があるんだ」

 「あぁ、すんません」

 ガチャンッ

 扉を開けるとそこは、色々な武器や龍、翼が生えている小人など色々な生き物とそれの使役者と思われる人達がたくさん居て、戦闘をしていたり雑談していたりしていた。

 「おい、早く中へ入れ!邪魔だ!」

 後ろから青年の声がして、慌てて中へ入る。

 後ろから入ってきた青年は大声で

 「おいっ!九堂凛亜は居ないか!」

 ぎょっとした。

 急に知らない人の口から知っている人の名前を耳にしたからだ。

 「あの、凛亜は会議があると言って明安寺君と一緒に何処かへ行きましたよ」

 「!何故餓鬼が九堂凛亜の事を知っている!」

 「俺達九堂さんのクラスメートなんですよ。せやから、九堂さんに連れられてここへ来たんです」

 「九堂凛亜の連れか…たしか、九堂凛亜は特別のクラスの…そう!先天性の餓鬼共だけ集めたクラスだったよな。じゃあ、お前らも先天性なのか?」

 「はい、そうですけど」

 「…じゃあ、私の相手をしろ」

 「あ、相手⁉そないなこと出来るわけあらへんよ!第一、俺『古術』じゃのうて『新峰』なんですよ。せやから、ここで使うてええんか分からんのですよ」

 「馬鹿じゃないのか。誰がここでは『古術』しか使ってはいけないと言った。『新峰』でもなんでも使えるならなんでもいいんだよ」

 「ほんならいいんですが…俺、炎系(ほのうけい)の魔法を中心にしかやったことのうて相手になるんか…」

 「相手にならなくていいんだよ。それに、実技の成績、九堂とどのくらい離れているんだ?」

 「成績…九堂さんは学校内で1位で俺は学校内では高い方やけど、クラスでみたら真ん中あたりやったような気がするはずです…」

 「そのぐらいだったら遊び位にはなるな。よし、じゃあやるぞ。そこの餓鬼は見てろ。俺の実力を」



 奥の部屋へ案内され、祖父を指定の位置まで誘導し、私も自分の席へ着いた。

 「全員揃ったようじゃな。いつも参加していないメンバーもいることだし、手短にこの件で重要な人物だけ紹介しようかの」

 長机で扉の真反対の位置に腰掛けている老人、明安寺成宮が全員に告げた。

 「まず、見てのとうりこの長机に座っていただいた位置関係は本題の最重要人物が明安寺成宮様に近いという形にさせていただきました」 

 薫君が人物紹介の前述として座る位置関係を丁寧に伝えていた。

 「まず…」

 「いや、薫。紹介は私が言おう」

 「!…分かりました」

 どうしたのだろう?成宮様が直々に紹介するというのは

 「おほんっでは、まず私の手前から…古術第1支部長九堂玄朗。古術第2支部長、明安寺(みょうあんじ)(なり)(ひら)。古術第3支部長、明安寺(みょうあんじ)(こう)(くん)。それと、九堂玄朗の孫娘、九堂凛亜じゃ」

 成宮様が紹介したのは私の祖父、九堂玄朗。薫君のお父様、明安寺成平。お母様、明安寺香薫。そして、私、九堂凛亜だった。

 ざわめいた。

 前の3人は良かったのだが4人目で私を紹介して終わったのは、私を含めこの部屋の全員が驚いた。祖父も薫君の両親も薫君も。薫君が驚いていることを見るに当初は私は紹介されないか、他にも紹介される人がいたのだと、推測できる。

 「静かにせんか!(たわ)けが!私が誰の名を言おうと勝手じゃろうに!」

 成宮様の喝により部屋が静まりかえった。

 「良かろう。では、本題に入ろうか。薫」

 「はい。では、今回お集まりいただいたのは本部の結界の事です。お気づきになられた方はいらっしゃると思いますが、この施設に張られた結界が緩んでしまったので、その修繕と依然よりも強固な結界を張るというものです」

 「そうなのじゃ。数日前から結界が緩み始めてしまっての。じゃから、張り直そうと思っての」

 「そういうことなら、早速分かれた方がいいのではないか?成宮」

 「そうじゃのう。構成組(こうせいぐみ)調律組(ちょうりつぐみ)で分かれて話合ってくれ」

 祖父の一言で2つの組に分かれた。

 祖父と成宮様は古くからの友人で会議の時も助け合って会議を進めている。どちらも、自身の右腕と思っているのだと思う。

 「では、成宮様が紹介した方々を中心に会議を始めてください」

 薫君の合図と共に会議が開始された。が、調律組はギスギスしていた。理由は薫君の司会内容だ。まあ、その以前のことも原因だが。私が中心に会議を始めるというのは私以外の調律組にとっては耐えがたいことだろう。だって、この会議には私以下の年齢の人は参加していないのだから。つまり、私以外の全員が40歳以上なのだから。

 「あ、あの会議を始めましょう。まず、どう合わせるか、相性を合わせるかですが、意見をお持ちの方はいらっしゃいますか?」

 「あるには、ある。それは、何故お前が選ばれた。何故お前が成宮様に選ばれた」

 「いや、それは…分かりません。何も聞かされていませんし、ここに来たのも習慣です。それに、会議のことは明安寺君に聞いたからです。なので、私は分かりかねます」

 「はっ、そんな偶然あってたまるか」

 「でも、言ってしまえばこの結界の調律を主に行ったのは私ですよ?だからなのではないでしょうか?」

 「っ!そうだが…」

 「その気持ち分かりませんが、分かります。こんな餓鬼に任せるのが年上のプライドとして許せないんですよね」

 「そ、そんなことは思っているわけがないだろう…おほんっ…まず、構成組が何を主体に結界を張るのかを知らなくては」

 「そうですね。…今の現状を聞いてきます」

 ギスギスしている中、いちゃもんをつけてきた来波(いざなみ)詠進(えいしん)(たしな)めることにより解消した私は構成組の会議の現状を聞きにいった。

 

 「すいません。構成組が何を主体に結界を張るのか伺いに来たのですが、お決まりになられたでしょうか?」

 「おぉ、凛亜か。聞いていたぞ。来波を窘めるとは腕をあげたな」

 質問とはまったく繋がらない答えを返してきた九堂玄朗が感心したように頷いていた。

 「!聞いておられたのですか」

 「まぁな、しかもここの全員がな」

 「な!仕事をしてください!構成組が早々に決めて下さらねば調律組が動けないのですよ!」

 「そうなのじゃが…成宮がああいった紹介したのだから調律組の話し合いに耳を傾けるのは当たり前だろう。それに、成宮も楽しそうに耳を傾けていたぞ。のう、成宮」

 「ん?そうじゃのぅ楽しかったぞ凛亜嬢」

 「みょ、明安寺様まで…はぁ、で、何を主体に結界を張るのですか?」

 「そうじゃの…皆、前回のでも良いか?」

 明安寺様の一言に対し一人も反論する者は居なかった。

 「よし、では、前回と同じということ話を進めるかの。凛亜嬢そちらの方も話を進めてくれ」

 「分かりました」

  

  「構成組の方は前回と同じものを主体とするそうです。なので、私達は前回よりも相性を見極め強固な結界になるよう尽力しましょう」

 「分かった。じゃあ、まず新しく調律組に振り分けられたやつらが居るから、そいつらに前回の主体の内容を説明するか」

 「そうですね。そうしなければ全員が分かっている状態で話が進められますからね」

 さっきの言い争いとは裏腹に私と来波詠進は何事も無かったかのように話始めた。

 「前回、結界を張るにあたって用いられた魔法ですが、これは五大元素が主体となり、結界を張りました。一つ目に火、二つ目に水、三つ目に地、四つ目に風、最後の五つ目は空です。この五つの魔法を一つ一つ組み合わせていくのが私達、調律組の仕事です。何か質問をお持ちの方はいらっしゃいますか?」

 すっと一本の手が挙がった。

 「よろしいですか?構成組が掛ける魔法は例えば、五大元素の火を掛けるならば火系、炎系の魔法を掛けますよね。その場合、私達はどう組み合わせていけばいいんですか?」

 私よりも20歳ぐらい年上の女性が質問を投げかけてきた。おそらくこの人は今日が初めての会議出席なのだろう。そして、これは本当に推定だが、この人は後天性だろう。後天性の場合、大抵は自分の魔法レベルの急な上昇に着いていけず、体調不良やらなんやらが起こってひどい場合は入院してしまうと聞いたことがある。だから、今日が初めての会議出席だと予想ができる。

 「はい、それは構成組の方々にも癖などが一人一人違います。それを繊細に細かく察し受け止め、応用すれば可能になります」

 「癖を繊細に…?」

 「あぁ、えっと…これは慣れもあるんですよ。それと、調律組は構成組と違い繊細さが必要になります。なので、人間観察が上手い人、才能が優れている人、人の事を考えられる人などが明安寺様の人選により決まります。なので、あなたも心配する必要はないですよ。明安寺様が人選を間違えられた事など一度も無いのですから」

 「そ、そうですか…」

 「はい。では、どなたがどなたとパートナーになるのかを決めたいと思います。意味が分かりかねる方のために説明をさせていただきます。今、決めようと思っていることはもっとも重要なことです。というと、人間観察が上手いとしても、対象の人間を遠くで観察するのか、近くで観察するのかでは見え方が違うと我々は考えています。なので、パートナーとなり出来る限り一緒に生活していただき、結界を張る際に強固なものとするために行います」

 パートナーの必要性を全員に話、ペアを決めることにした。

 「それでは、構成組の方も話し合いが終わったようなのでこちらで決めたペアの人の所へ行って今後の事を話し合ってください」 

 私の声を合図に散らばった。

 私は司会進行役をしていた薫君の元へ向かった。

 「明安寺君は今回はどちらにつくの?」

 「今回は調律組に入って香姉さんのサポートをするよ」

 「分かった。じゃあ、私は誰のサポートをしようかな?」

 「玄朗様は?」

 「…お爺ちゃんか…お爺ちゃんは明安寺様となんじゃないのかな?」

 「……いつも思うんだがさ、九堂さんは急に変わるな」

 「?…急に変わる?」

 「つまり、さっきまでは大人達の前で堂々として輪の中心で話を進めていたし、皆の前ではしっかりしてるが、学校や俺と2人で話す時はユルッとしているじゃないか」

 「…?そんなに違うかな?気にしたこともないや」

 「そうか…あぁ、そうだ。九堂さんに言っておきたいことがあったんだ」

 「何?」

 「入学式の時、俺の心の中を覗くのを止めてくれないか?」

 「うっ…気づいてたんだね」

 「当たり前だろう。学校で注意しようと思ったが、香姉さんが注意していたから言わなかっただけだ。」

 「そうだったんだ…以後気を付けます…」

 「あぁ…まあでも前回も覗かれたのを注意したんだがな…」

 「あぅ…すいません…」

 「で、パートナー、どうするんだ?」

 「そうなんだよね…どうしようかな?」

 「なんじゃ、凛亜。今回は成宮の孫と組むのか?」

 「ううん、違うよ。明安寺君は香さんと組むんだって」

 薫君と話していると、私のお爺ちゃん、玄朗が話しかけてきた。

 「そうか…じゃ今回も一人で全体の調節をするんか?」

 「だろうね。それに確実に一人は全体の調節をする人がいないと完全に近い結界が張れないし、私は一人の方が気が楽だから」

 「…そういうものでもないぞ凛亜。友人というのはいいもんじゃ。それが旧友ならなおさら…」

 「そうだね、これからも、成宮様と仲良くね」

 「言われんでも分かっておるわい」

 それじゃあバイバイ

 お爺ちゃんと別れ、模擬戦闘場へ向かった。


 「おまたせ。待たせちゃってごめんね…って何してんの?」

 模擬戦闘場に例の如く瞬間移動でやってきた凛亜は突然のことで現状を直ぐに理解出来なかった。



 凛亜が会議をしている頃、恵樹と西原は、見知らぬ青年に模擬戦闘を挑まれていた。

 「自己紹介がまだだったな。私は、来波慶(いざなみけい)(すけ)だ」

 来波?どっかで聞いたような…

 「来波っちゅうと妹さん来波玄恵さんだったりしますか?」

 「?そうだが…そうか、九堂と一緒ということは妹と同じクラスということか」

 「はい…あ、俺は西原焔です」

 「西原な…じゃあ、お前は?」

 「…えっっと、岳兎恵樹です」

 「岳兎だな…よし、じゃあ始めるぞ」


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