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第77話

倉持君の誕生日である。里穂子ちゃんは何をあげるんだろう?わっくわくだねー。私は倉持君のリクエスト通り果物をたっぷり乗せたタルトを作った。中身はアーモンド生地とカスタードクリーム、表面にはずらっと苺とブルーベリー。若干苺多め。

待望の昼食時間。私は朝家庭科室の冷蔵庫にぶち込んでおいたタルトを引き取りに行った。いつもの特別教室でパーティーだ。

私が特別教室に入ると、もう既に倉持君、林田君、二宗君、里穂子ちゃんが揃っていた。


「準備は良いな?では…」

「「「「倉持(君)誕生日おめでとう~」」」」


林田君と里穂子ちゃんがパーンとクラッカーを鳴らした。ちゃんとゴミの残らないクラッカーだ。ほのかに火薬の匂いがする。


「ありがとう。」


倉持君は嬉しそうだ。


「プレゼントタイムだぁああ!!控えよ控えよ!」


何故か盛り上がってるのは倉持君じゃなくて林田君だった。


「まずは俺から。男のコには必須!!コレだぁぁああああ!」


林田君が出したのは避妊用ゴムだった。うすうす。倉持君が勢いよく林田君の頭をはたく。バチコーンといい音がした。女の子もいるんだから下ネタは控えていただきたい。


「ふっひっひっひ!ついでにこれもやるけどな。」


林田君はもう一個箱を出した。


「今度もウケ狙いだったら承知しないぞ?」


倉持君が林田君を疑わしそうに見ながら包装用紙を剥がす。出てきたのは青と水色のストライプの箸とカップ麺の蓋を抑える人形。青い人型で、カップにしがみつく格好をしている。結構可愛い。


「へえ、有難う。」

「じゃあ次、私ね。」


私はプレゼントの包みを倉持君に渡した。倉持君が礼を言って包装を開ける。出てきたのは有名な未来から来た青狸がポロリした自分の首をシュートしている絵柄のTシャツだ。サッカー部だからサッカーの絵ね。


「朝日奈…お前…。」


倉持君が呆れた顔で私を見ている。た、ただのブラックユーモアだよ。そんな目つきすることないじゃん。ほら、青狸のポロリした首も笑顔だし。


「可愛くて良いじゃん。これ着て練習してね。」


きっと注目の的だよ!


「まあ、ありがと。」

「次は私から。」


二宗君が小さな箱を出す。今回も夏美ちゃんチョイスだろうか?倉持君が礼を言って包みを開けている。中から見慣れない物が出てきた。PCのマウスに似た形状をしている。何となく今回は二宗君チョイスの匂いがするな。


「…二宗。これなんだ?」

「コーンカッターだよ。」

「何するものなんだ?」

「芯についたコーンの粒をこそぎ取る物だよ。気持ち良いほどごっそり取れるそうだよ。」

「……。」


倉持君が反応に困って沈黙した。林田君はわざとだから遠慮なく叩けるが、二宗君は100%混じりっ気なしの善意なのだ。


「まあ、コーンポタージュとか作る時に便利かもよ?」


なんとなくフォローを入れる。私は便利だと思うよ。


「や。作んねーし。」

「いやいや。結婚したらたまにくらい家事代わってくれると男が上がるよ。」


私はちらっと意味ありげに里穂子ちゃんを見た。里穂子ちゃんは緊張でそれどころじゃなさそうだった。


「ふーん?」


倉持君はちらりと私の視線を追って里穂子ちゃんを見た。里穂子ちゃんは倉持君と目が合って真っ赤になった。


「次、里穂子ちゃんの番。」

「あ、あの!お誕生日おめでとう!!」


里穂子ちゃんは割と大きな包みを出してきた。倉持君が礼を言って受け取る。中身は何かな?某有名スポーツメーカーのスポーツタオルセットとスクイズボトルだ。…フツー。流石に好きな人の誕生プレゼントでネタに走ったりはしなかったんだね。でもここはホラ、刺繍で名前を入れるとか甘酸っぱい事があってもいいんじゃない?ねえ、そのへんどうなのよ、里穂子ちゃん。


「あ、あとこれっ…」


里穂子ちゃんがずいっと手を差し出す。手に握られていたのは必勝祈願のお守りだった。あ、甘酸っぺー!!倉持君がそっとそれを受け取る。


「ありがとう。嬉しいよ、伊藤。」


倉持君、この笑顔です。甘酸っぺー!!青春しやがって。この!この!


「甘酸っぱいですね~。」


林田君に話しかけると「ね~。俺は朝比奈も誰かさんと甘酸っぱくなるかと思ってたんだけどな。」と小さな声で言われた。期待を裏切ってすまんね。

それから全員にケーキのお披露目をした。ベリーたっぷりタルトは目にも鮮やかで美味しそうと好評だ。食べると全員に超高評価を貰えた。


「うまい!なんだこれ。香ばしい。」


林田君がはしゃいでいる。


「多分香ばしいのはアーモンド生地の所だね。カスタードでちょっと甘く、ベリーで甘酸っぱいイチゴタルトだよ。」

「有難う、朝比奈。リクエスト通りだな。」


主役の倉持君も満足そうだ。


「おお!リクエスト受け付けてたのか!じゃあ俺はウェディングケーキにしてくれ。」

「林田君の誕生日はホットケーキミックスのホットケーキで良いね。」


ブーブーとブーイングが飛んだ。

まあ、ちゃんと何か作るけどね。5月か~特に旬の果物は無いけど、果実入り持って行っても暑さですぐダメになるっていう季節でもないな~。まあ、ぼちぼち考えよ。


甘酸っぱい里穂子ちゃん&倉持君ペアですw

まだカップルじゃないけどねー!


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