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第33話

もうすぐ花火大会である。だが予定はない。里穂子ちゃんに誘われたのだが人ゴミが嫌だったので辞退したのだ。軟弱者と言うなかれ、一度経験すればわかる。まさに人がゴミの様なのだ。夏祭りも人がゴミの様ではあるが、食べ歩きがしたい私は夏祭りに行く気でいる。花火大会はお休みするけど。花火好きだよ?好きだけど、しんどいんだよ。

桃花ちゃん花火大会は晴樹先輩とイベントのはずだったな、と思いノートをめくる。急に携帯が震えた。あ、雪夜君から着信だ。


「もしもし?」

「あ、結衣お姉ちゃん。今大丈夫?」

「大丈夫だけど、なんかあった?」


結構頻繁に連絡取り合ってるけど、この時間帯に連絡来るのは珍しい。いつもは夜、電話でお喋りしている。今はまだ昼過ぎ…やや夕刻に差し掛かった頃。


「や、なんもないけど……もうすぐ花火大会だね。」

「そうだね。」


タイムリーな話題だよ、雪夜君。私も今その事について考えてたところだよ。ん?もしかして要件は桃花ちゃんのイベント観察か?それなら私は辞退するぞ。里穂子ちゃんからのお誘いですがゴメンねしたのだから、今更超混雑の花火大会会場になど行きたくない。


「花火大会の日、何か予定入ってる?」

「入ってないよ。友達に誘われたけど人ゴミが嫌だったから断った。」


さりげなく花火大会会場入りを拒否する。


「じゃ、じゃあ家、来ない?」


珍しい事に雪夜君の声が裏返っている。


「雪夜君の家?」

「うん。家のベランダから結構綺麗に花火見えるんだ。良かったら見に来ない?あ、知ってると思うけど桃姉は出かける予定だよ。月姉は居るかもしれないけど。」


花火自体は好きなので、実に魅力的なお誘いだ。しかし雪夜君は同世代の子を誘わなかったのだろうか。かなり盛り上がりそうなイベントなのにな。まあ私が雪夜君くらいの年頃の時は花火より屋台だったけど。色気より食い気!子供だもん。


「それならお邪魔しようかな?」

「やった!えーと家わかる?」


すごい喜んでいる。こういうところは無邪気で子供らしいなあと微笑ましく思う。


「流石に家はわからない。駅はわかるけど。」

「じゃあ駅まで迎えに行くから!6時に集合ね。と、当然浴衣で来てよね!」


また雪夜君の声が裏返った。

ん?浴衣?なんでだ?浴衣なんて着て行っても見るのは雪夜君と雪夜君のご両親と月絵先輩くらいじゃないか。


「雪夜君も浴衣着るの?」

「オレは着ないけど。」

「じゃあ私も着る必要ないんじゃない?」

「えーっ!オレの楽しみが…じゃない。えーと、花火大会と言えば浴衣だよ。多分うちの両親も若い子の浴衣姿見たがると思うしさ。ね?ダメ?」


そこまで言われると駄目とも言いづらい。私も浴衣が嫌だというわけではないのだ。かなり暑いけど。お洒落するのは好き。勿論可愛い浴衣を着るのも好きだ。


「わかった。浴衣でいくね。」

「オッケー!じゃあまた夜連絡する。」

「うん。ばいばい。」


電話を切った。浴衣か。前回着てたのは子供っぽいから新調しようかな?しかしかなり久しぶりに着るので着付けの仕方がうろ覚えだ。特に帯。こんなとき頼りになるのは春日さんだ。デザイナー業に手を出している春日さんはファッションには強い。ファッション界のおねにーさんならきっと力になってくれるはず。



私は早速翌日ショッピングモールに足を踏み入れた。着物屋ではなくただの浴衣コーナーに行く。最近は浴衣もかなり安いのが売っているし、作り帯は嫌いだが生地は安くてもいいな。最近は丈まで調整されているのもあるが、私は自分で丈が調整できる物を探す。大量にある浴衣の中から手持ちの帯の色と自分の容姿を鑑みて柄を選ぶ。和装はある程度ヴィジョンが見えていたのであまり迷わず買えた。

そしてバイト日、春日さんに相談する。


「実は浴衣着る予定があるんですが、帯の結い方忘れちゃって。春日さん知ってたら教えてもらえませんか?」

「勿論いいわよーう。桃花ちゃんが着付けの仕方教えてほしいって言ってたから同じ日に一緒に勉強しちゃいましょう。」


頼りになるオネェである。

その日は普通に仕事して、後日浴衣一式を持ち寄った。遅れて桃花ちゃんがやってくる。


「遅れてすいません!」

「そんなに待ってないわよ。どれどれ、浴衣見せてちょうだい」


二組の浴衣が揃う。桃花ちゃんの浴衣はごくごく淡い桃色の生地に大きくて華やかな花が沢山描かれている浴衣だ。帯は鮮やかな赤。私の浴衣は生成り色の地に水墨画調のタッチで黒い大小の菖蒲が描かれている浴衣だ。帯は渋い臙脂色。


「あらー。やっぱり個性が出るわね。面白いわ。」


ファッションデザイナー心を擽ったらしい。キャラクター性が如実に表れた浴衣ではあると思う。桃花ちゃんが選んだような浴衣も嫌いではないが、私が着るとしたら少し可愛らしすぎる気がするし。桃花ちゃんにはすごく似合いそうだけど。


「結衣ちゃんはちゃんと一人で着たことあるのよね?」

「はい。」


何しろ前世の高校では礼儀作法の授業が必修で、そこで浴衣の着付けを習ったくらいだからな。畳み方とかも習わされるんだよ。


「じゃあ教えながら桃花ちゃんに着付けさせていくから、それを見て同じように着つけてちょうだい。」

「わかりました。よろしくお願いします。」


こうして臨時着付け教室は開始された。正直浴衣なんてそう難しい着付けじゃない。一度帯の結い方を見せられて私の記憶は完全に蘇った。桃花ちゃんはちょっと苦戦しているようだが。その後簪の差し方も教わっているようだ。私は髪が短いので必要ないが、実は簪の差し方こそ私にとって無理難題だ。前世で髪が長かった頃、何度も挑戦しては失敗した。店員さんが見本に結ってくれるとすんなり結えてるが自分で結うと上手くいかない。私はヘアアレンジの才能皆無ということだ。うん。悲しい。

浴衣を着た二人の少女が揃う。

当然のことながら桃花ちゃんは滅茶苦茶可愛い。少し派手めな浴衣がよく似合っている。簪で結いあげた項の遅れ毛もあどけない色っぽさを演出していていい感じだ。これなら晴樹先輩もイチコロではないだろうか。


「七瀬さん可愛い!すごい似合ってるよ!」

「朝比奈さんはなんかちょっと色っぽいよね。羨ましいなあ…」


羨ましいのはこっちだ!桃花ちゃんくらい可愛ければなあ…と羨ましくなっちゃうくらい可愛いんだからね!なんたって私の理想のヒロイン!


「二人ともそれぞれ似合ってるわよー。アタシ眼福。」

「春日さんのおかげです。ありがとうございますっ。」


思わず執事服の春日さんに抱きついた。春日さんは驚いたようだが、ニコニコ笑って頭を撫でてくれた。

ハッと気づけば桃花ちゃんが羨ましそうに見ている。

しまった。やらかした。ちょいちょいと桃花ちゃんを手招きする。近付いてきたところを春日さんもろともハグする。「きゃっ」と可愛らしい声が上がる。春日さんも、2人まとめて抱きしめてくれる。こういう行動をとってもセクハラ感がしないのが春日さんだよなあ。


「ん~。可愛い妹が二人もできた気分だわ~!」


きゃいきゃい言いながら着付け教室は終了した。



花火大会当日。甘く見てた。花火大会会場だけではなく駅も混んでるのだ。電車も混んでいた。これならもっと早い時間にずらして待ち合わせればよかった、というのも過ぎた後悔。しかしこの中から雪夜君を見つけ出さなければならない。私はキョロキョロあたりを見回す。そこへ人ゴミから雪夜君が現れた。


「結衣お姉ちゃん、こっち。」


ごく自然に手をひかれる。サプライズなのか雪夜君は浴衣姿だった。ちょっと大人びて中学生くらいに見える。元が眉目秀麗なのだ。非常に似合う。浴衣なんて長袖だし暑いはずなのに、涼しげに見えて、しかも凛々しい。格好良い。これだからイケメンは!なんでも似合って。……眼福です。


「雪夜君浴衣着たんだね。似合ってるよ。」

「ありがと。義母さんが『女の子に浴衣姿を要求したんなら責任もってアンタも着なさい』って無理やり。美容室に着付け頼んじゃったよ。今まで浴衣なんて着たことなかったから。結構動きにくいね。あ、当然だけど結衣お姉ちゃんも浴衣似合ってるよ。和服似合いそうな気がしたんだ。大和撫子だね?」

「そうかな?照れるな。」

「照れてる顔も可愛いよ。」


さらりと言って雪夜君は私の手を取ったまま歩きだした。お互い浴衣なので歩幅は小さい。あれこれお喋りしながら歩く。雪夜君の家は見晴らしのいい川沿いの一軒家だった。庭先にプランターがいくつか出ているが特に変わった外観はしていない。


「遠慮せず入って。」

「お邪魔します。」


雪夜君に促されて中に入る。なんと雪夜君の両親が出迎えてくれた。これは歓迎されているのではないだろうか。雪夜君がいきなりこんな年上の女性連れてきて、どう思われるか不安だったが。


「いらっしゃい。よく来たね。雪夜の父の伸一しんいちです。ちょっと風景が良い以外、何にもないところだけど歓迎するよ。可愛いお嬢さん。」


あんな容姿チートな娘さん二人を持つ父親に褒められてもあんまり喜べない。社交辞令と判断するのが妥当。


「いらっしゃい。雪夜の母の典子のりこです。この度は雪夜の我儘に付き合ってくれて有難う。大したおもてなしはできないけれどゆっくりしていってね。」

「ありがとうございます。私は朝比奈結衣と申します。お言葉に甘えてお邪魔させていただきます。」


折り目正しく一礼する。


「礼儀正しいお嬢さんね。それに浴衣姿もとっても綺麗よ。和装美人ね。」

「そんなにおだてないでください。恐縮です。」

「本心なのだけどね。」


若々しく美しい典子さんが言う。月絵先輩と桃花ちゃんの母親だけあって物凄い麗しいあなたに言われてもー…素直に喜べない。こんな私はひねくれてますか。そうですか。


「こちらつまらない物ですが、受け取ってもらえるでしょうか。」

「あら気を使わなくっても良かったのに。ありがたく頂戴します。」


中身は立体的なバラの形をしたチョコレートクッキーだ。一応手づくり。かなり立体的な造花のようなクッキーなので初見なら驚くと思う。チョコレートが好きな雪夜君にも喜んでもらえると思うし。


「結衣お姉ちゃんそんなに気を遣わなくてもいいよ。早く二階に行こうっ。」


雪夜君が私の手を引く。片手には下駄を持っている。私も見習って下駄を持った。ご両親の前で手つなぎは如何なものか。雪夜君の年齢的には別に許されるのか?

二階に上がって畳の部屋を一間挟んでベランダだった。ベランダは予想していたより広々と取られている。雪夜君に倣って下駄を床につけて外に出る。この日のために用意したのかレジャー椅子が二つと簡易テーブルが一つあった。

椅子を勧められたので素直に座る。ほどなくして月絵先輩が麦茶の入ったグラスをとポットを盆に乗せ訪れた。月絵先輩は来客が誰だか知らされていなかったのだろう。私の顔を見てちょっと驚いた表情をした。


「今日来るのって朝比奈さんだったのね。意外だわ。接点が全く見えないのに、どこで知り合ったの?」


すかさず雪夜君が「ナイショ!」と言う。公式では私たちの出会いはプールということになっているが、いつ事実が明るみに出るかわからない。私たちの出会いは探られないが吉なのだ。あんまり仲が親密だと思われるのも都合が悪い。出来れば今日の事も桃花ちゃんには言わないでもらえると嬉しい。雪夜君がその辺どう考えて対応してるのか分からないけど。


「ふふ。まさかユキと付き合ってるの?」


雪夜君がチラリとこちらを見た。なんだそのアイコンタクトは。意味不明だぞ。


「付き合ってません。」

「そう。残念ね、ユキ?これ麦茶だから飲んでちょうだい。夕食はたこ焼きを作る予定みたいよ。少しでも出店気分を味わいたいのかしら?遠慮せずに食べて行ってね。」


七瀬家にはたこ焼きプレートがあるらしい。たこ焼きはどちらかと言えば好物だ。楽しみっ。


「ありがとうございます。お言葉に甘えてご相伴にあずかります。」


にこりと微笑んでお礼を言った。


「ああん、ホント可愛い!しかも礼儀正しい!もう一人妹がほしくなっちゃったわ。」


月絵先輩はクールな表情を崩して身悶えした。これは断じてクーデレではない。どう見てもご乱心だ。


「だ、大丈夫ですか?月絵先輩」

「ええ。大丈夫よ。ちょっと興奮していたみたい。お見苦しいところを見せたわね。ゆっくり二人で楽しんでちょうだい。ああ、そうそう。浴衣姿、大人っぽくて色っぽいわよ。素敵だわ。」


ハッと我に返ると月絵先輩は元のクールビューティーに戻った。どうやら月絵先輩は花火を見ないらしい。

しかし浴衣を着た私の評価は両親妹を含めて大抵『色っぽい』と言われる。自分ではどこに色気なる摩訶不思議な要素が隠されているのか全く理解できなかった。醜い!と言われるよりいいけどね。

それから雪夜君とちょっと談笑した後、花火が上がる。赤青黄色の大輪の花が夜空を彩る。花火特有のお腹に響くどぉぉぉおおんという音と、夜空に弾ける鮮やかな火花が眩しい。きらきらと夜空を燃やしている。


「綺麗だね。」


口を衝いて出た。私はうっとりと花火を見つめた。

平凡な感想だがそれ以外に言う言葉が見つからない。言葉で修飾すればするほど花火の美しさからは遠のく気がするのだ。


「…うん。綺麗だ。」


雪夜君も頷く。うっとりとした声音だ。雪夜君も花火好きなのかな。

途中で典子さんが底の深い大皿にたこ焼きをてんこ盛りにしたものを持ってきた。小皿に取り分けて食べろということらしい。トッピングも取りそろえてもらって至れり尽くせりだ。ソースはタコ焼きソースでなくお好み焼きソースだった。マヨネーズと何故か醤油もある。青のりと鰹節もある。熱々のたこ焼きを頬張る。外はカリカリ、中はトロッとしてる。これは作り手が熟練しているのではないか!?


「おいし~!!」

「良かった。いっぱい食べてね。ウチのたこ焼きは中にチーズとかキムチとか入れたのも交じってるから。嫌いだった?」

「ううん。好きだよ。」

「なら安心。苦手な味のがあったらオレに回していいから。……あーあ。結衣お姉ちゃんのノートみたくオレにも結衣お姉ちゃんの詳細なデータがあればいいのにな。」


雪夜君もたこ焼きをぱくついてる。

私のデータ?そんなのいったい何に使うってんだ?利用価値が見えてこないよ。


「よくわかんないけど、対人関係において相手の新たな一面を知るプロセスは喜びだと思うよ?悪い一面だったってこともあるかもしれないけど。」

「…そっか。そうだよね。新しく知っていけばいいんだ。」


雪夜君の中では納得できた事柄だったらしい。噛みしめるように呟いている。花火はまだ上がり続けている。私は花火に見惚れ、たこ焼きを落としそうになって雪夜君に笑われた。


「ソースついてる。」


雪夜君が私の唇の端を親指で拭ってくれた。ソースつけてるとか、私は子供か!うう。私のバカ。雪夜君はふふっと笑って親指のソースを自分の舌で舐めとった。チロリと赤い舌が見えてドキッとしてしまった。小さな赤い舌が艶めかしく思えたのだ。雪夜君ってちょっとこちらをドキッとさせるような行動をとることが多い。


「そう言えば桃姉合宿に向けて料理の練習してるよ。」


合宿では料理当番があり、そこで美味しい料理を振る舞えば好感度にプラスされるという仕組みだ。難しい料理ほど好感度は高くなる。


「へえ、七瀬さん陸上部だから八木沢先生に食べてもらえるんだっけ?メニューは何?」

「めんつゆを使った和風パスタみたい。」

「運動後だからさっぱりしてていいかもしれないけど…簡単そうだね?」


確かにシーチキンと大葉入りのとか美味しいよね。でも味付けがめんつゆなら難易度はかなり低いはず。


「桃姉料理は壊滅的なんだ。家庭科の調理実習の時も凄く練習してたし。今回も最初はツナの油でギトギトとか、めんつゆがすごくしょっぱかったりとか、凄い味のを出された。今はなんとか形になってきてるけど。」


雪夜君は笑っている。きっとそんなところも可愛いのだろう。しかし桃花ちゃんの意外な弱点だ。幽霊が怖いという弱点はノートで設定してあるが料理が苦手だという設定はしていない。『ノートに書かれていない部分は不確定要素』の法則が働いているのだろう。ドジっ子属性とはマッチしていて可愛いような気もするが。


「それじゃあそんなに好感度アップは望めないね?」


攻略対象の中でも教師である八木沢先生は特にガードが固い。生徒相手の禁断愛なんて普通の教師なら選ばないもんね。


「だよね。八木沢教師が桃姉の本命だったら困るな。」

「同じ部活入るくらいだから園芸部の四月朔日君よりかは優先度上みたいだけどね。」


ふうと雪夜君は息を漏らす。


「それより雪夜君はそろそろ心変わりの相手の目星は付いたの?」

「うーん、まあ…」


煮え切らない。というかチラチラ見てくる。なんだ?


「まっ、それは置いといて花火見よう?」


はぐらかされた気がするが素直に花火を見る。

それからもぽつりぽつりと会話をしては笑いあう。私の誕生日の事も聞かれた。プレゼントをくれるそうだ。何くれるのかな?楽しみ。

花火は綺麗だし、優しい雪夜君はすごく話し上手の聞き上手で、時間が過ぎるのはあっという間。

楽しい夜だった。

上機嫌で帰宅すると雪夜君からメールが入っていた。

『今日は来てくれてありがとう。すごく楽しかった。お土産にもらったクッキーすごいね。綺麗で食べちゃうのがもったいないくらい。父さんも母さんもビックリしてた。桃姉も帰ってきたよ。イベントは上手くいったみたい。上機嫌。彼が本命かどうかはわからないけど。』

雪夜君にも楽しんでもらえていたようだとホッとする。クッキーも喜んでもらえたみたいだし。嬉しくてホクホク。

桃花ちゃんのイベントは花火の穴場スポットで晴樹先輩と偶然出会い、一緒に花火を見て、雨竜君についての悩みを聞き、最後は慣れない下駄で靴ずれした桃花ちゃんを晴樹君が木陰で休ませていると。林の中から男女のなんともイケナイ声が漏れ出てきて二人して真っ赤になって慌てて逃げ出す。逃げ出す際、手をつないでいて、声が聞こえない位置に着いてからも「もう少し、このままでいい?」と晴樹先輩に尋ねられて恥ずかしそうに首肯する桃花ちゃん。二人はいい雰囲気の中、手をつないで駅まで帰るというイベントだった。まあ人様の甘いイベントにはあまり興味が持てない。小説はフィクションだからいいのだ。



おうちデートのお誘い。

珍しく雪夜君緊張しました。断られちゃったらへこむしね。

そして着々と結衣ちゃんの衣装を脳内保存中です。

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