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第25話

暑いので噴水の辺りで涼む。今日は日曜日。雪夜君と森林公園に来ている。噴水の水飛沫がキラキラ綺麗だ。大きな百合も咲いている。目に麗しい。でもこんなに暑いとはな。大人しく喫茶店とかに行っておけば良かったか。これだけ暑いので公園は人気が無い。私達以外には人が見られない。心置きなくイベントとかノートの話できていいけど。


「暑いね~。」

「結衣お姉ちゃん、ちゃんと水分摂らないとだめだよ?」

「うん。」


鞄からペットボトルを出してごくごく飲む。ぬるいけど仕方ない。雪夜君もペットボトルの麦茶を飲んでいる。


「イベントの方どう?」


雪夜君には家庭内イベントがいくつかあるはずなのだ。二人で料理するやつとか。お母さんが多忙な日、2人で料理して、雪夜君が包丁で指切っちゃって桃花ちゃんが優しく手当てしてくれるんだよね。ナイチンゲール桃花ちゃん。かわゆす。


「順調に起きちゃってる。」

「じゃあ好感度も?」

「残念ながら…」


上がってるらしい。これ以上好きになりたくないのに好きになっちゃうって苦しいよね。自分の心が自分で止められないから。うう。桃花ちゃんやめたげて。


「まあ、桃姉だけ好きになってるわけじゃないんだけどね。」

「どういう意味?」

「そのうち教えてあげるよ。どう転んだとしても。」


雪夜君はなにやら謎めいた事を言っている。それからこれからのイベントの事とか、最近やっちゃった失敗の話とかした。品川で降りるつもりが真剣に携帯の画面見てたら着いちゃって慌てて出たら扉に挟まれたり。しかもそこ品川じゃなくて新橋だったし。2重ボケ。周りの人に見られて大変恥ずかしかったです。雪夜君はそういう経験はあまりないそうだ。しっかりしてるもんね。私みたいな粗忽者とは違うか。

次桃花ちゃんに起こるイベントは二宗君のものだったはずだ。妨害とかできるのかなあ?相合傘と運動会で二連敗してるけど。

2人でとめどなく話していると空に暗い雲が出てきた。


「なんか変な雲出てきたね?」

「うん。降るかな?」

「早めに退散した方が…」


ポツ…ポツ…

雪夜君の言葉の途中で雨粒が落ちてきた。


「もう遅いな。結衣お姉ちゃんこっち。」


雪夜君が私を連れて木の下に避難する。避難が完了した途端ザーッと雨が降りだしてきた。葉が沢山生い茂っているので木のギリギリまで中心に寄ればそこまで濡れない。でも雪夜君はちょっと木から離れている。


「雪夜君、濡れるよ。もっと寄って。」


私は雪夜君の手を引っ張った。


「でも…」

「風邪引くよ。」


ぐいっと雪夜君を引きよせてから気付いたが、木の中心に寄ると私たち自身が密着する体勢になる。雪夜君が近い。雪夜君からはふわっといい匂いがする。雪夜君が私の方に顔を向ける。綺麗な顔立ち。あまりの近さに思わずドキドキする。


「いざ引き寄せてみたら近すぎてドキドキしているところ?」


ふふっと雪夜君が笑う。いじわるだ!

くっついちゃったら私がドキドキするだろうと思って最初から離れてたんだな。あうー。鈍い女だ、私は。引きよせていた手をさりげなく離そうとすると反対にぎゅっと握られてしまった。


「ゆ、雪夜君…」

「そんな困った顔しないで。いじめたくなる。」


雪夜君のSな一面ですか。意外すぎる。やめてー。雪夜君の体温が伝わって…私はますます困った顔になる。雪夜君は手を離してくれた。


「嫌われたくないから離してあげる。」

「嫌いにはならないけど…」


どうしていいか分からないだけで。


「まずは慣れてもらおうかな。」


雪夜君は何か呟いたようだが雨音にかき消されて聞こえなかった。木の下にいても結構濡れたが、しばらくすると雨は止んだ。止むと雨が嘘みたいに晴れた。


「通り雨だったみたいだね。」

「あっ、虹!」


空には大きな虹がかかっている。


「綺麗だね。」

「うんっ」


2人で大きな虹を見上げた。きれいだなあ。

オズの魔法使いのあの歌を鼻歌した。




あの雨の日以来、雪夜君はやたら手を繋ぎたがる。恐らく私が動揺するのをからかってるんだと思うんだけど。負けてなるものか。もう動揺しないぞ!…多分。



雪夜君の手繋ぎ運動実施。

彼はいつも計画的です。

S属性はあんまりない。


オズの魔法使いのあの歌はオーバーザレインボー。


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