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第1話

ここから話が始まります・・・・・が、初っ端から『とある方』の要請で

主人公でないキャラの話を載せることになってしまいました(涙)


いやいや、話をむちゃくちゃにしかねないキャラが暴れまくって、ほんとにこの先大丈夫かな・・・・なんて思う今日この頃です。


というわけで、ここからグリム・リーパーがほんかくてきにスタートします。

素人でいたらぬことがたくさんありますが、よろしくお願いします!!

「どうなってんだよ?・・・・」男は目の前の惨状を信じられない思いで見ていた。


彼は俗に『暴力団』と呼ばれる組織の構成員の1人である。


今回、準構成員となっている若者たち、はっきり言ってごろつきたち・・・・の度重なる訴えを受けて、構成員5人で構成される『突撃隊』が目標の少年の確保に向かったのだ。


はっきり言って、楽に済む事案のはずだった、目標の少年はまだ高校生。

いままで、町の様々な暴力団、新興勢力である中国マフィア、地元ギャングなどと抗争を繰り広げてきた彼等にとって、この事案はまさしく朝飯前のはずだったのだ。


「それが、この有様。いったい何が起きたんだ?」男は突撃隊ではない。彼は『本部』から派遣された『偵察員』の一人だ。

突撃隊からの連絡が途絶えてから一時間、しびれを切らした本部は状況確認のために彼を出したのだが・・・・


「こんなの本部の人間も想像しなかっただろうな・・・」 男は苦笑する。

「まさか、建物の壁に『めり込ませる』とはな。」5人の構成員たちは口をそろえて

目標の少年に殴られる、あるいは蹴られた途端、すさまじい勢いで飛ばされたと話して気を失った。


「まったく、アクション映画じゃあるまいし。とんだやつが現れたもんだ。」

再び苦笑した男は、ふと真剣な表情になる。


「このままだと町の勢力バランスが崩れる可能性がある。少年は意識してないだろうが・・・・。」 「下手すれば、来年にも抗争が再開されるかもしれない。」


男の杞憂は正しかった。

ただ、間違いがあったとすれば、その時期を読み違えたことだろう。

なぜなら、その時期はもうまじかにせまっていたのだから。


「おお、おひさしぶりでございますでございます。涼さん。」男・・・橘涼山は聞き覚えのある声に後ろを振り返った。


「ジェロニモ・・・・あんた、何しに来た?」ジェロニモと呼ばれた男は昔の中国役人が着るような中華服をを纏った中年男だ。中華帽をかぶり、丸眼鏡をかけたその風貌は、どちらかと言えば中国ネタの芸人に思えるほどだ。

だが、彼が所属するのは裏の組織。涼山と同じなのだ。


「いやいや、わたくしは別に邪魔しに来たわけではないのでございますよ?少し挨拶に参っただけでございます。」 不可解な表情になる涼山を見ながらジェロニモは続けて涼山にとって衝撃的な一言を放つ。


「じつは、わたくし。昨日付けで首領ドンになったのでございます。」

「!!」涼山にとっては寝耳に水の話だった。確かにジェロニモは中国マフィア『赤龍会』の実力者の一人だが、他にも 首領の跡継ぎ候補は大勢いる。

それになにより、まだ赤龍会首領は存命なうえに健康そのものだったはずだ。

だとすると、この世界の人間が考えることは1つ。


「手前、自分ところのボスを殺ったのか。」涼山の声に殺気が含まれる。

仲間殺しは暴力団の間では禁句中の禁句なのだ 。


「いやいや、人聞きの悪いことを言わないでほしいでございます。」涼山の放つ殺気をどこ行く風と流したジェロニモはその場を完全に戦場に変える一言を放った。


「あなたがたとつるんで、未成年へのクスリの販売していた首領のことを、ただ・・・見捨てただけでございますよ。」


「てめえ!!ぶっ殺したる!」完全に切れた状態の涼山が放つ拳を軽く下がってよけるジェロニモ。


「全く、仕方がないでございますね。」ため息をつきながらジェロニモは涼山を見つめなおした。


「我々マフィアに『暴力団』のおきてなど適応されないのでございますよ?」


一瞬で戦場に変わった路地裏で、冷たく、はたから見れば微妙に間の抜けた戦いが始まろうとしていた。



「仕方がないでございますね。手早く済まさしていただきますでございます。」

その言葉が闘いの号砲となった。


最初の一撃を下がってかわしたしたジェロニモだったが 、続いて繰り出された回し蹴りはかわしきれなかった。


「ウッ?!」だがうめき声をあげたのは涼山の方だった。

なぜなら、自らが全力で放った回し蹴りはジェロニモの顔の横に出された左手に防がれていたのだ。


「言ったはずでございます。」ジェロニモは涼山の右足をそっと握った。

「手早く済ませていただきますと。」次の瞬間、ジェロニモの中でどんな力が働いたのか・・・彼は涼山の右足を『上向き』にへし折った。


「ぐわぁぁぁぁ!?」激痛に叫び声をあげ倒れこんだ涼山にジェロニモは手を伸ばした。


「?・・・・」相手の意図が分らず、それでも警戒して身構える涼山にジェロニモは

『笑いかけた』。


「さあ、しっかりしてください。わたくは困ってる方にちゃんと理由があれば誰でも助ける主義なのでございます。」ジェロニモは涼山の手をつかみ、彼の体を無理やり上に引き上げる。


「いま、麻酔を打ちますでございます。すぐ、右足の痛みは引くはずでございますよ。」


涼山は理解できなかった、ジェロニモはやろうと思えば身動きができない彼を一撃で

絶命させることができるはずだ。だが、敢えてそれをせず、それどころか、自分を手当てするジェロニモの心情を涼山は理解できなかった。


「わたくしがあなたを治療するのが信じられないのでございますか?」ジェロニモは涼山を睨みつけるわけでもなくただ見ている。それは数分前に見た瞳となんら変わっていない。そこが余計に不気味に思える涼山だった。


「あんた・・・・どういう神経してんだよ。クスリの件もそうだ・・・俺たち裏の人間が

正義のヒーローになれるわけないだろうが。」 麻酔が効いてきたのろう。途切れ途切れながらもあざける涼山にジェロニモは少し悲しげな色を瞳に浮かべた。


「確かに、その通りでございます。卑怯者の世界に生きる私たちは正義のヒーロー

にはなれません。ですが・・・・」

「それでも『善』であろうと抗らうことはいけないことなのでございますか?」

それがジェロニモの疑問。


「裏の人間だから、卑怯者の世界にいるから、必ず悪にならなければならないなんて

きまりは存在しないのでございます。」

それがジェロニモの信念。


「わたしくしは『公平な善』となりたいのでございます。どんな立場の者相手でも

弱者を守り、強者を打つ。そんな存在を目指しているのでございますよ。」

それがジェロニモの力。


「涼さん。あなたは今、わたくしに倒されました。倒されたあなたは今は『弱者』でございます。だから、わたくしはあなたをお助けしますし、守りますでございます。」


そこでいったん言葉を切るジェロニモ。


「ただしあなたが、わたくしをまた狙うなら、あなたを『強者』とみなして今度こそ

殺しますでございます。2度狙った相手を私は許せないのでございます。」


「あと、あなたに1つ忠告しますでございます。あなたの所の組『藩龍組』でしたでしょうか。あそこにはもう戻らない方がよいと思いますでございますよ。」


「なんだと・・・・?」


「いまごろ我々の『攻撃隊』が、市内15か所の事務所を襲撃しているはずでございます。

理由はもう分っておいででございますね?」


思わぬ事実に愕然とする涼山にジェロニモはとどめとなる言葉を放つ。


「あなたに帰る場所はなくなったということでございます。さて、あなたはどうしますでございますか。貴女をここに招いた少年に感謝して堅気になるか。それとも別の組織に入りなおして再起を図るか。」

ジェロニモはわかっていたこの男はおそらくそのどちらの選択肢も選ばないことを。


「俺が仕えるのはオヤジだけだ。」涼山は壁に背を預けながら唇をかむ。

「そして俺の目の前にはオヤジを殺ろうとする敵がいる。これを見逃す手はねえよな?」 涼山の右手が腰に伸びる

「これで手前ごと!地獄に旅立ってやらあ!!」 彼が手にしたのは拳銃。

俗に言う45口径拳銃『ブローニング』だ。

彼が腰から拳銃を取り出すのに1秒弱、続けて相手に向け引き金を引くのに2秒弱

そして目の目にいるジェロニモに当たるのが3秒後。普通ならそうなるはずだった。だがジェロニモには銃弾が『当たらなかった』。 正確にはジェロニモに当たらずそれていった。


「な!・・・・」驚きにかたまった涼山の正面にジェロニモが立つ。

「言ったはずでございます・・・・2度狙った相手をわたくしは許すことができない・・と。」そのままジェロニモは涼山を蹴り飛ばした。

そのまま、1メートルほど吹っ飛んで路地に飛び出す涼山。そこにジェロニモのとどめの

一撃が繰り出された。

「八徑!」右手を掌底の形にして繰り出された一撃は信じられないことに涼山を軽く

20メートルは吹き飛ばし、店のショーウィンドーに突っ込ませた。


「やれやれ、やりすぎたでございますね・・・後であやまっておかないといけないでございます。」ジェロニモはその場に背を向けた。すでに頭から涼山のことは消え去っている。


「全くあの少年のおかげで、急にやりやすくなったでございます。抗争が。」ジェロニモは苦笑しつつ中華服のポケットから携帯電をとりだす。

10月の冷え切った夜の闇にジェロニモの声が響く「攻撃対諸君。今こそ闘いの火蓋を切るときでございます。全力で我らが『善』を阻む存在を殲滅するのです!」


なお、この時一部始終を目撃していた通りすがりの高校生によって

『怪力中年中華男』のうわさが生まれたことをジェロニモは知る由もない。













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