プロローグ
<なあ、最近流行ってる噂知ってる?>
『さあ・・・・?』
<実は私知ってるんだ。>
(なに、知ってんの?)
<それはですね・・・・>
インターネットで行き
来する様々な噂、その多くは、いわゆる『都市伝説』して、片付けられる。
しかし、この時、とある掲示板に書き込まれた『噂』は『現実』に
存在した。
<怪力少年て聞いたことありません?>
『いや・・・・ない。』
(こっちも・・・・)
<ええ!そうなんですか(驚)>
<最近、けっこう話題になってますよ>
(怪力少年って、マッチョな少年てこと?それなら別に珍しくないじゃん?)
<いや、それが違うん
ですよ。>
『? どういう事ですか?』
<ほら3月に暴力団の抗争があったでしょ。>
<あの時、現場で信じ
られないものをみたんです。>
<30人以上の暴力団を1人の少年が壊滅させたんです。>
『・・・・はあ?』
(すご・・・・ブドーの達人ってやつ?)
<いや、そんなんじゃないです。>
<別にマッチョじゃないし。殴り方も我流な
感じでした。>
<でも、その一撃で・・・レスラーみたいな奴をぶっ飛ぶしたんですよ!>
『ぶっ飛したって・・・・』
『どういう意味です?』
<具体的にいうと、殴られたレスラー男が20メートルぐらい後方までぶっ飛ばれんです。>
『・・・・』
(・・・・)
<多分、みんな信じてないでしょう?>
<でも、多分みなさんも見る事があると思います>
<だって彼は『実在』するんですから。>
龍さんは部屋をでました。
『行っちゃいましたね』
(ほんとか、分からんけど、会えたら殴りとばす。手合わせしたいもんです。)
『格闘技やってんですか?』
(空手を。)
『へーえ。楽しみにしてます。会えたら報告頼みます。』
『それじゃ』
(さよなら)
SARINさんが部屋を出ました
ボスさんが部屋をでました
彼等はしらない、自分達が噂する当人が同じ掲示板を見てため息をついていることを。
「都市伝説になってるんだ、僕。」
少年は苦笑いする
「しかも龍さん、本当は見てないでしょ。」
彼、烈火信人はすでにいない『龍さん』の間違いを指摘する。
「正確には、30メートルだよ。飛ばしたの」
かれにとってはこれが常識。だが、それは他者からすれば『噂』か『都市伝説』としか捉えられない。確かに実在するのに。
「それでも、いい。」
信人はいまではそう思う。
「どんなことがあっても、僕は自分の信念に従うだけなんだから」
彼等が噂する都市伝説の正体は、どこにでもいる、普通の高校生だったのである。