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唄を忘れた少女は月を頼りに  作者: 柊 和葉


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プロローグ

久し振り小説を描いたので何かしらの不備があるかもしれませんが、まずは本作品を開いてくださりありがとうございます。誤字脱字等は報告していただけると幸いです。それではプロローグですので短いですが、本編スタートです!



「さいあく。今更提出物のこと思い出すとかマジないわ……」


 覚束ない光を頼りに、日付の変わった校内を一人歩く。

想像力があって怖い物好きな人はこの暗闇に何かを見出したりするんだろうな。


 でも、さっき人影が……


「っ?………」


 危ない危ない。こんな時に私の妄想力を昂らせないでよ……


「寧ろホラーが嫌いな人が想像しちゃうんだよね……」


月光と手元の懐中電灯の光が入り混じる廊下は、妙に落ち着かなかった。


校舎に小さく響く独り言がまるで自分の声じゃないのかと錯覚させて、また怖くなって…


 こんな「私怖くないもん!」的な空気感を漂わせる私でも、真夜中+学校+一人と言うシチュエーションでは恐怖と無縁などとは口が裂けても言えない。


 コツ、コツ、と。

 廊下に響く自分の靴音が、やけに大きい。

 登校鞄につけたキーホルダーの音が、歩幅に合わせて揺れて、その度小さな金属音が静かな廊下に響いた。


 静まり返った校舎は、それ以外の音を許さなかった。


 こんな日は大声で叫びたくなる。今やると自分の声にビビって泣き出してしまいそうだけれど。


 時々響くフクロウだか鳥だかわからないような鳴き声にビビり、校内の床の軋む音?にビビり、懐中電灯を不注意で落とした時は泣きそうになったりしながら教室へと辿り着いた。


「あった。あった……よかったぁ」


提出物は確かに大事だけれども、本当はそれを口実に今日無くしてしまったストラップを探していた。


 昔好きだった子にもらった大事なもので家に帰って色々ひと段落着いた後に気づいたのだ。


 探し物を見つけた安心感とは別に、またあの暗い廊下を歩くのかと思うと自然に肩が落ちた。


ピューと言う隙間風の音で外へと視線を向けた。


「ん?ピンクの月?なんかかわいい」


 隙間風と共に、美しいピアノの旋律が風音に混じって私の元へと伝わった。


 それは、昔やってた月曜9時のドラマの主題歌だった。

 恋愛もののドラマ。

 当時の私は、毎週目を輝かせて観ていた。


 だけど今思い出せるのはドラマの内容なんかじゃなくて。


 大嫌いで。聴きたくも、目にしたくもない。


 あの歌だけだった。


♪〜♪♪〜


人がいない開放感からか、はたまた何かの気まぐれか


 気づけば鼻唄を零していて

 

 いつ以来だろう、とふと思う。


「あっ………」と間の抜けた声が出て、地に足ついた感覚になった。


 そう、歌なんて大嫌いなのに。


 鼻唄といえど、何故か歌ってしまった。


 なのに別に嫌な気分じゃなくて


 自分が自分じゃないみたいで


 少し浮ついた面持ちと気分でやがて帰路へ着いた。






 私の耳に届いた音が、あんなにも微かだったように


 私の声もまた、誰かの耳へと届いていたのだと。


 この時の私は、まだ知らなかったんだ。



本作品を最後までご覧下さり感謝感謝です♪

誤字脱字、感想、コメント等是非是非お願いします。

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