9 リンチ
たきなは自主練室に向かう途中女子生徒達に囲まれる
「あの何か?」たきなは少し戸惑う。
女子生徒達の数がいつも以上に多く逃げ道がない
「近衛たきなさん話があるのだけど、今から私達についてきなさい」女子生徒がたきなに言う
たきなは相手の制服のリボンの色を見ると緑色で3年の先輩である事に気付く
「…わかりました」たきなは渋々ついて行く
(遅れるから後で久我に怒られるなこれ)たきなは憂鬱になる
光が売店から教室に戻る途中にたきなを見つけ声をかけようとするが女子生徒達に囲まれていることに気付く
(近衛さんとあれは……)
「悪い遅くなった…」一護が自主練室に入るとたきなの姿はなく来た様子もなかった
「あいつまだ飯食べてんのか?」一護はスマホを取り出しチャットを送る
「どこにいる?俺はもう自主練室にいるぞ」
しばらく待つが既読にならず一護は痺れを切らし自主練室を後にする
「あ!一護丁度いい所に」光が一護を呼ぶ
「何だよ光、俺は今からたきなを探さないと行けないんだ。お前にかまってやる時間はないぞ」
「そのたきなさんが3年の女子生徒達に囲まれて連れて行かれたのを見たけど大丈夫?と伝えようとしたけど余計なお世話だったかな?」にっこり笑って言う光
「お前早く言えよ!んで?どこに行った?」
「確か校舎裏に連れて行くって言ってたよ」光も一護の後について行く
校舎裏の階段の下にたきなは連れて来られていた
そこには、2年の男子生徒2人が待っていた
(これやばいかも…)たきなは覚悟する
「あなた一体何様な訳?」「一護様に対する無礼ですわよ」「あなたが一護様の名前を軽々しく呼ぶなんて千年早いですわ」ワァワァと女子生徒達はたきなを囲み暴言を吐く
「はぁ…」たきなはうんざりしていた
「何ですの?その態度は」女子生徒達の1人がたきなの顔にビンタしてきた
バシッと叩かれたきなは顔を触ると手に血が付いていた
「痛…ついには暴力まで振るわれるとは…これ正当防衛でやり返していいよね?」
たきなは相手の顔に平手で倍にして返す
バシッィィィンと鳴り響き相手の女子生徒が倒れ込む
取り囲んでいた女子生徒達が驚く
「ヒュー」「やるね〜」2年の男子生徒AとBが笑う
「きゃぁ!」「な、なんて野蛮な女なのかしら」「加藤さん大丈夫ですか?」「まりかさん!」ぎゃぁぎゃぁ喚く女子達
「大袈裟な。ちゃんと手加減してるから大丈夫。それに先に手を出したのはそちらなので文句はないですよね?」
たきなは逃げ道がないか考える
(さすがにこの数と男子生徒がいるのは部が悪い、最悪どこか隠れて助けを求めるか)
「っ!この私に対してこの仕打ち許しませんわよ!」加藤まりかと呼ばれていた女が立ち上がり言う
「何やってんのよ!皆この女を押さえつけなさい!!」
「「は、はい」」
「っ!」たきなは抵抗するが女子生徒達の多さに負け
身体や手足を掴み取られ、身動きが取れなくなり押さえつけられ地べたに倒れ込む
「あはは!さっきまでの威勢はどこに行ったのかしら?」加藤まりかがたきなの顔を持ち上げ余裕たっぷりに笑う
「無様ね、いいこと?私達を馬鹿にしているからこんな事になるのよ?あんたは所詮近衛家の妾の子。そんな女が一護様のパートナーであるなんて可笑しいのよ?一護様に相応しいのは加藤家の次期当主になるこの私なのよ!」
「そうよ!」「その通り」「あんたなんか一護様に相応しくないのよ!」「まりか様は一護様の婚約者なのよ!」女子生徒達がたきなを見下しながら言う
「どうでもいい。婚約者って一護からそんな話聞いた事ないし、そもそもあんた一護に認識されてるの?」たきなが笑って言う
ブチっと加藤まりなはキレて手に力が入る
「まぁ!今この女私に対してなんて言ったのかしら?」
加藤まりながたきなの顔を離し立ち上がり男子生徒に指示する
「あんた達何ボサっとしてるの?早くこの女をやっちゃって」
「はいはい」「まりかお嬢様の命令だ仕方ない」男子生徒AB達は逆らえないのかやる気のない返事をしつつたきなに近付く
「お!あんたよく見ると綺麗な顔してるのにもったいない!久我に関わってこんな目にあって可哀想に」男子生徒Aが言う
「まりかお嬢様にたてついたからこんな目に合うんだよ?まぁ〜妾の子らしいしどうなっても仕方ないか」男子生徒Bが哀れな目でたきなを見下ろす
「ちゃんと言った通り見えない所をやりなさい」加藤まりかは笑って言う
「はいはい、仰せのままに」「んじゃ、そう言うことで」
男子生徒AとBはたきなの右腕を踏み付ける
「ゔっ!」たきなは痛みを堪える
「あら?何か言いまして?地べたにいるものですから聞こえなくて」加藤まりなはさらにやれと指示を出したきなを苦痛に追い詰める
「う"っつ!」たきなは痛みを堪え歯を食い縛る
「あはは、この女すげー痛みを耐えてやがる!」Aが笑い
「俺久我が本当に嫌いでさぁーあの態度がまじ気に入らないんだよねー」Bが言う
「いや、この女には関係ないじゃん。分かるけど」Aも同意する
「久我のパートナーだし?久我に関わった事を後悔すれば良いよ」Aがたきなを踏みつけようとすると
「っはは!一護に勝てないから負け惜しみでこんな事やってるなんて器の小さいクズだね」たきなが笑って言う
「「あ"ぁ"?」」「何だとこの女!」Bがたきなの脇腹に蹴りを入れる
「がはっ!」たきなは耐えれず唾がでる
「うわ、きたね」「あ!いい事思いついた!久我のパートナーって事はどうせポイント稼ぐためにやってるんだろう?服脱がして俺等で楽しむのはどう?んで、写真を久我に送れば面白くね」男子生徒Aはたきなのブレザーを脱がそうとする
「お待ちなさい!そこまでは指示してないわ!」加藤まりかは驚きやめさせようとする
「いやいや、まりかお嬢様が言ったじゃないですか?この女を痛い目に合わせろって」男子生徒Bはニタァと笑いたきなを踏みつける
「ゔぅ!」たきなは痛みを耐えるため口を噛み締めていたからか口から血がでる
「ひぃ!」たきなを抑えてた女子生徒が離れる
「あ…流石にやりすぎなのでは?まりか様」
「もうこれ以上は流石に」女子生徒達は震え怯える
「ですからもういいと言ってるでしょ?私の指示に従いなさい!」加藤まりかが言っても聞かない男子生徒2人
声が聞こえ光が階段下を見るとたきなを見つけ指差す
「一護あそこ!」
「くそ!」一護は階段外側に飛び上がりたきなが下にいる所に着地する
「え…ここ2階だよ?」光はポケットに入ってるスマホを取り出し電話しながら階段を降りて行く
バンっと一護は着地した「おい!何やってんだ!」
「あ…」「一護様」びくっと女子生徒達は驚きザワザワと戸惑いを隠せない
一護はたきなの姿を見て頭に血が昇り周りにいた女子生徒を払い落としバキっと男子生徒Bの顔に殴り一発入る
「っ!このヤロー!」もう1人の男子生徒が動き出すと一護は殴った男子生徒Bを鷲掴みAへ投げ付ける
男子生徒Bを避けようとしてよろけたAは一護に捕まり顔に膝蹴りをくらう
「っ!」Aは余りの痛さに悶えるが一護は容赦なくさらに殴りにかかる
「近衛さん大丈夫?!」光がたきなに寄り添いハンカチを取り出し血をふく
「あ…常盤…くん」たきな起き上がる
「起き上がって大丈夫?!」光はたきなを支え一護を見る
すると先生達がやってくる
「こら!何やっている?!」5〜6人の先生達がやってきた
光が千隼に電話して先生達を呼んで貰っていた
一護は気にせずそのまま男子生徒ABを容赦なく殴り続ける
「まずいな…一護ブチ切れだ」光が一護に声をかけるが聞こえてない
「こら久我!落ち着きなさい!」先生達が一護を止めに入り押さえつけようとするが一護はまだ暴れて男子生徒ABを殴る蹴るをする
男子生徒ABはたきなより酷い姿になっていた
たきなは立ち上がり一護の元へ歩き出す
「あ…近衛さん危ないよ!」光は止めに入るがたきなは一護の服を引っ張る
「一護、もういいよ」たきなは一護の顔を見て目が合う
「…………大丈夫か?」一護が正気に戻った様子でたきなに聞く
「ふふ、なんとか……あとちょっと遅かったらヤバかった。来てくれて助かった」たきなは一護の顔を見て笑った
「何笑ってんだよ……」一護は眉をひそめる
「わかんない。安心したからかな?」たきなはその場に崩れる
「お、おい!」一護はたきなを捕まえ抱きとめる
「大丈夫か?近衛?!」先生達も慌ててたきなを呼び様子を見る
「すぐに医務室に運びましょう」先生がたきなを触ろうとするが
「触るな、俺が運ぶ」一護はたきなを抱き上げお姫様抱っこする
「そ、そうか頼むぞ」先生は一護にたきなを託す
「医務室の先生に連絡入れてあるからすぐ見て貰いなさい」先生達は男子生徒ABや、女子生徒達の元へ行き話をする
「あ、待って一護」光がブレザーを脱ぎたきなに被せる
「光」一護は光を呼び目が合う
「分かってるよ」光は一護が言いたかったことを理解していた
一護はそのまま医務室へたきなを運ぶ
(身体が痛い…あれ?何か暖かくて揺れている?)たきなは目を覚ますと一護にお姫様抱っこされている事に気付いた
「な?!え?」たきなは驚き身体を動かす
「おい、暴れるな怪我が悪化するぞ」一護は廊下を歩き医務室へ向かっていた
「いや、あのもう降ろしてくれて大丈夫だから!」たきなは周りの生徒達がこちらを見ていて恥ずかしい
「怪我人は黙っとけ」一護はそのまま歩く
「うぅ…」たきなはブレザーに顔を隠す
医務室に付きたきなはベッドの上に横になり診てもらう
「ここはどう?痛い?こっちは…」先生がくまなく調べ確認していく
「今からレントゲン診て確認するけど、右腕はヒビが入ってると思うわ。脇腹は骨は折れてはいないけど内出血しているから熱が出るかも知れないから2〜3日はベッドで安静にしましょう」先生は傷の手当てをしながらたきなとカーテン越しの一護に話す
シャッとカーテンを開け一護の元にいく先生
「顔の傷はそこまで深くないからすぐに治りますよ、あなたも手の甲に怪我してるでしょ?見せて」先生は一護の手の甲も消毒していく
「あ、あの先生来週バイオリンのテストがあるので寝ている訳には行かないのですが……」たきなは起き上がり言う
「は?お前何言ってるんだ?そんな状態で無理だろ」一護は呆れて言う
「まぁまぁ、落ち着いて!彼の言う通りよ。あなたその腕ではバイオリンを持つ事も出来ないし生活にも困るほどの怪我何だから無理してはダメよ」先生はたきなにブランケットを肩にかけ落ち着かせる
「でも…」たきなはまだ訴える
「おい!」一護が立ち上がりたきなの元へ行き右腕を軽く触る
「ゔ!!?」たきなは激痛に襲われる
「ほら見ろ!こんな状態でバイオリンなんか無理だろ。大人しく言うこと聞いとけ」
「っつ!」たきなは一護を睨み平気と言い切る
「お前頑固だな」ワァワァと一護とたきなは言い争う
「ふふ、仲のいいパートナーだこと」先生は微笑んで見ていた
「私達ポイントが少ないのよ?これ以上皆と差が出れば追い付くことは無理よ!それに授業をでなければ成績が!」
たきなは必死に一護を説得する
「なら、移動のたび俺に抱っこされて行くんだな?」一護が言う
「いや…何でよ?私べつに足怪我してないし歩けるわ」
たきなは一護が何言いたいのかわからない
「さっきまでよろけてたくせに。それにポイントが欲しいなら問題ないだろ?」一護は言う
「いや…学校で授業以外はポイント入らないし…」
「なら、その分学校休んで寮でポイント稼げば良いだろ」一護はたきなに言い切る
「丁度良い!スキンシップの練習が出来て尚且つポイント稼ぎ放題だぞ?」ニカっと笑って言う一護
「いや、一護は休む必要ないし…」
「言ってたろ?生活に支障が出るほどの怪我だって」一護は先生を見て言う
「そうね…パートナーがいないと大変だと思うわ」先生が一護に合わせる
「うぐ」たきなはもはや諦めることしかできない
するとコンコンとドアが鳴り担任の斎藤先生がやってきた
「失礼します。近衛と久我の様子はどうですか?」斎藤先生は挨拶して入ってくる
「こちらにどうぞ!」医務室の先生が呼び斎藤先生がこっちにやってくる
「近衛、久我怪我はどうだ?」斎藤先生が心配そうに聞いてくる
「あ…斎藤先生。わざわざすみません。もう大丈夫です。お手数をおかけしました」たきなは頭を下げ謝罪する
「おせーよ斎藤。どうなった」一護は機嫌悪くなっていく
「こら、先生をつけなさい…ってそれどころじゃないか…何があったのか今から事情聴取したいんだが、大丈夫か?」斎藤先生は椅子に腰掛け座る
「大丈夫です…えっと」たきなは一護を見る
「んだよ?」一護は眉を顰めたきなを睨む
「こら、久我!怪我人に対してしていい顔じゃねーぞ。久我が居て話しにくいなら出て貰うぞ?」斎藤先生はたきなに言う
「いや、久我が居た方がいいかも」たきなは説明していく
昼休憩に呼ばれリンチされた事、相手の加藤まりかが一護の婚約者と言って難癖つけてきた事など
「加藤まりかって誰?」一護は不機嫌になる
「あ、やっぱり認識すらしてなかった」たきなは少し笑う
「あ?そもそも俺に婚約者がいるなんて聞いてないし、加藤家事態知らねーよ」
「それはね…」光が割って話に入ってきた
「おまっ!いつの間に…」斎藤先生が驚く
「すみません。一応僕も関わっているのでこちらにきました」光も椅子に座り説明していく
「加藤家は一護の久我家のある意味子会社だねー。一護は多分興味なくて覚えてないけど、何回かパーティーとかに来て熱い視線を送っていたよ?」光が一護を見る
「パーティーとかめんどくて途中で帰るしな」
一護はどうでも良さそうに言う
「婚約者って名乗って居たみたいだけど、実際は彼女の親が久我家に媚び入れててそれを勘違いした彼女が婚約者と名乗ってたみたい」
斎藤先生はふむと考えこむ
「事情はよく分かった。家柄の問題だ学校側はこれ以上何も言えない。とりあえず近衛と久我は今から寮に帰りなさい。また後でどうするか連絡するからな。常盤も今から授業に戻る事」斎藤先生は立ち上がり医務室の先生と話し合う
一護とたきなは帰る準備する
「ありがとうございました」たきなはお礼を言って医務室を出る
「荷物はどうする?僕が後で届けようか?」光は一護に聞く
「頼む」
そしてたきなが歩き出すがモタモタしていて一護がまたお姫様抱っこをする
「!?」たきなは驚く
「ちょ、ちょっともう大丈夫だから!」
「うるせー歩くの遅すぎ。面倒いからこのまま行くぞ」
「いや、なら先に帰っていいから降ろして!」たきなが暴れる
「あ"ぁ?」
「素直に従った方が良いと思うよ近衛さん」笑って言う光
たきなと目があい助けを求められるが親指を立てグッドラック!!と光は爽やかに返した
「じゃぁ、またね!近衛さんお大事にね」
「……ありがとう常盤君」たきなはお礼を言う




