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1 悪夢

 この作品は、ゲーム風のステータス表示や魔獣の設定などがあります。それが苦手な方はご遠慮ください。

 どこか遠くで、サイレンの音が聞こえる。悲鳴と怒号。なんだ、事故か?


 全身に感じるひどい痛みと喪失感。青空を映していた俺の視界が急速に霞んで消えていく。






 唐突に場面が切り替わる。白と黒だけの室内。祭壇に飾られた花と写真。すすり泣く人の声。


 誰かの葬式。だが一体誰の?


 祭壇に飾られた写真を見た俺の心に、強い後悔と絶望が押し寄せてくる。


 再び、俺の視界は暗くなっていく。






 次に映し出されたのは、奇怪な服を着た男たち。俺はその男たちに取り囲まれている。


 フードを被った男が俺の方に、そのねじくれた手を伸ばす。俺はその手から逃れようとしたが、体は全く動かない。まさに悪夢だ。


 上から強く照らされている照明のせいで、男の顔は全く見えない。フードの奥で怪しく光る赤い二つの光。


 次の瞬間、突然襲いかかってきた激痛に、俺は絶叫を上げ、意識を失った。






『・・えた魂の採取・・はすべて・・・。』


『・・は消去して・・線に投入・・・。』


『順次・・兵・・輸送の・・・。』


 暗闇の中、途切れ途切れに誰かの話し声が聞こえる。だが聞いたこともない言語だ。


 周囲で何者かが動いている気配がある。そう思った途端、視界を覆う闇の中に浮かぶ炎が見え、俺は体の内側を焼き尽くされるような熱と激しい痛みを感じた。


 視界いっぱいに広がっていく炎。それにつれて俺は、『自分』の存在が曖昧になっていくのを感じた。


 炎の熱を感じている『自分』が崩れ落ちていくたび、耐え難い痛みから解放されていく。俺は痛みから逃れるため、あえて炎を受け入れようとした。


 しかし、次の瞬間、俺の心に誰かの笑顔が浮かび上がってきた。俺に優しく笑いかける二人の面影。俺にとってかけがえのない存在。


 俺は咄嗟に「二人を炎から守らなくてはならない」と強く思った。すると、突然、俺の内側に、青い炎が燃え上がった。


 青い炎は俺の思うように動かすことができた。俺は青い炎を操り、自分の内側を焦がす赤い炎を、逆に取り込んでいった。






『失敗・・ログラム・・不全・・・。』


『・・不足・・破壊負荷が・・・。』


『・・ットごと・・廃棄を・・・。』


 また誰かの声が聞こえた。続いてゴンという大きな金属音。周囲の暗闇に光が差したと思った瞬間、俺の体は灰色の空に放り出されていた。


 俺は激しく回転しながら黒い雲を突き抜けた。途端に周囲が暗くなる。激しく回転する視界に映るのは、焼き尽くされた大地と破壊された高層ビル群。そして紫色に濁った海。


 状況を把握できないまま、俺は地表目掛けて真っすぐに落下し、再び意識を失った。






 どのくらい経ったのだろうか。目を覚ました俺には、体の感覚が全くなかった。


 唯一動かせる『目』だけを動かして辺りを見てみる。その視界に映ったのは、焼き尽くされた不毛の大地と、そこに降り注ぐ土砂降りの黒い雨だった。


コア防衛のための魔力残量が、著しく低下しています。回復させるため、超長期休眠モードに移行しますか?』


 突然、見知らぬ女の声が俺の脳内に響く。だが、聞いたこともない言語のため、全くその言葉が理解できなかった。


 頼むから日本語で話してくれ。俺は今、猛烈に『頭』が痛いのだ。


 しかし、そんなことお構いなしに、女の声は俺に何度も同じことを話しかけてきた。なにか尋ねられているのだろうか?


 俺はひどく疲れていた。知らない言葉を喋る女に、頭の中で「いいから、ちょっと休ませてくれよ」と念じた。すると、女は今度は別のことを話し始めた。


『周囲に吸収できる有機体の反応がないため、迷宮生成システムの完全起動に必要な魔力が回復するまで、惑星標準時で3071年14か月22日間の休眠が必要です。』


『守護者のいない状態での休眠は、コアが消失してしまう危険があります。』


『本当に実行してよろしいですか?』


 女は言葉を理解できない俺に、どんどん話しかけてくる。何なんだ、こいつ。


 訳が分からない状況で、俺の疲労感はさらに増していった。なんでもいいから、今はとにかく休みたい。


「少し、俺を放っておいてくれよ。」


 俺がそう考えた途端、頭の中の疲労感が不意に消え失せ、心地よい微睡まどろみが訪れた。


 視界が白い光に包まれ、意識が消失する。その刹那、俺の脳裏に、大切な二人の面影がよぎった。二人は、俺に向かって、必死に何かを伝えようとしているようだった。


 しかし、それが一体何なのか、確かめる間もなく、俺は深い深い眠りの海に、沈みこんでいった。







種族:迷宮核ダンジョンコア

名前:澤部十四郎

迷宮レベル:1


総DP:2


【DPについて】

 ダンジョンポイントのこと。迷宮の残存魔力を数値化したもの。これを消費することで、迷宮核は様々な機能を使用することができる。

お読みいただき、ありがとうございました。

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