表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/35

ロボット捜索隊②

走り出した泉さんが急に止まった。急に止まったので急いで追いかけた私は泉さんにぶつかった。


「ぅわっ!ごめん大丈夫?」


急に止まった泉さんにも非があると思うが一応謝る。それにしても結構痛かったな。泉さんは小柄だけどぶつかった背中は筋肉質で硬かった。


「大丈夫?稀梨華」


追いついたしーちゃんが心配してくれた。


「うん。私は大丈夫だよ」

「なら良かった。ちょっと泉さん急に止まったら危ないでしょ?」


しーちゃんが泉さんを咎めるが泉さんは一点を見つめて動かない。

心配になったので泉さんに駆け寄る。


「泉さん?どうしたの?」

「…あれ見て」


泉さんが指を指す。私としーちゃんは泉さんが指を指す方向を見た。3mくらい先、そこには1台のパソコンがあった。


「パソコン?なんでこんな所に」


でもパソコンの場所はおかしいけど、これだけでそんな一点を見つめるものなのか?


「でもパソコンがどうかしたの?」


振り返ると泉さんに加えてしーちゃんもそのパソコンを見つめてた。その顔は曇っている。


「2人ともどうしたの?」


2人は何も答えない。画面をただ見つめて絶望してるような驚いているような見たことの無い顔をしてる。私は外斜視で遠くのものは二重に見えるかぼやけることが多い。パソコンにはニュースのようなものが多分写ってる、けどそれしか分からない。そのせいで2人には見えているものが見えないのだと思いパソコンに近く。するとすぐに2人のあの顔の意味が分かった。


「何これっ!?」


画面を見て驚愕する。画面には““東京を知能型エクロスが襲撃””という見出しでアナウンサーが緊迫した声で原稿を読み上げている。


「最新の情報です!知能型エクロスの攻撃にによる死亡者は民間人と“イロアス”の隊員含め200人を超えているそうです!知能型エクロスは目黒区に多く集まっている情報が今入りました!目黒区周辺にいる人は今すぐイロアスが指定した避難場所に逃げてください!!」


今まで知能型エクロスが軍団で襲撃するなんてことはなかった。画面にはおそらくドローンで撮影されているであろう目黒区の映像が流れている。知能型エクロスが大量にいて、街を荒らしている。所々に血痕が写っている。


青ざめる私にしーちゃんが近づく。


「しーちゃん…」


しーちゃんは焦ったような顔をして画面を見つめる。


「やばいねこれ。」とずっと黙ってた泉さんが言う。


「確かに首都が攻撃されるのはまずいよね…」

「いや、それもそうだけどあたし達もやばいよ。北海道の中学校と首都、どっちもエクロスに襲撃されてるけど先にどっちを助けるか迫られたら絶対首都が優先されるでしょ。」


「つまり、私たちは後回しってこと!?」


「うん。誰かしら来るとは思うけど正直戦力に期待はできないと思う。」


そんな…待ってれば絶対助けてくれると思ってたのに。


「もしかしたら救助すら来ないかもしれない。」


パソコンを触りながらしーちゃんが言う。


「えっ?それってどういう事?」


「このニュースはテレビ局のYouTubeチャンネルのライブ映像を流してるものなの。それで、いつから首都が攻撃されてるのか調べたんだけど午前8時45分に襲襲されたらしいの。」


「それってあたし達の学校が襲撃される前だよね?」


「うん。私たちが襲撃されたのは9時。そしてこのニュースを巻き戻して見たみてけど首都の事しか報道してない。」


「Googleでも検索したけど私達の通う第二中学校がエクロスに襲撃されたなんて情報は無かったし、北海道がエクロスに襲撃されたなんて情報も出てこなかった。」


「それってつまり…私達が襲撃されてる事がイロアスに伝わってないって事!?」


「多分そういう事だと思う。」


まさか助けて貰えないどころか誰にも知られてないなんて。重い空気が流れる。だがその重い空気は泉さんの声によって壊された。


「でもさぁあたし達が残りの問題全部解けばみんな助かるじゃん?」


「それはそうだけど…」


「なら早くロボット見つけて問題解いて、イロアスの力を借りずにエクロスに勝った秀才3人組!って感じで新聞に載っちゃおうよ!」


「そんなに上手くいかないだろうけどね」


しーちゃんが現実的なツッコミを入れる。


「ちょっとくらい夢見てもいいじゃん!」


「泉さんは夢見すぎでしょ」


けど今は泉さんの明るさに救われる。


「それじゃまずはどこから探す?」


「うーん、ならパソコン室は?ロボット居そうじゃん!前あそこにハッピー君みたいなのいなかった?」


「それはペッパー君でしょ。でもパソコン室はいいかもしれないね。パソコンが使えたら情報収集できるし」


「じゃあパソコン室に決まりだね!」


3人はパソコン室へ向かった。


「そういえばさーまりちゃんのバックって何入

ってるの?」

「それは私も気になってたわ。」


この中でバックを持ってるのは私だけだった。つまり…


「まりちゃんって私の事?」

「そうだよ!嫌だった?」

「いやいや!全然嫌じゃないよ。」

「バックにはね図書室で遊人が見つけてくれた本が入ってるの」


「へぇ遊人に会ったんだ。じゃあいつもどっかにいるかな」

「遊人はここにはもう居ないわ」

「しーちゃんそれどういう事?」

「遊人はもうゲームオーバーになったらしいから。あと泉さん私の事しーちゃんって呼ばないで」

「じゃあ雫って呼ぶね!けどそっかぁーあいつゲームオーバーかぁ。」

「でもゲームオーバーになっちゃった人でもあたし達が残りの問題解けば助けられるもんね。」

「うん。頑張ろ」

「2人とも責めて3問くらいはといてよ。受験生なんだからね。」

「うっ!忘れてたのに!」


泉さんが心臓を抑えて言う

正直私も忘れかけてた、というか忘れたかった


「はぁもう受験なんて無理だよ」

「弱気になっちゃダメよ夏休み中教えてあげるから」

「しーちゃん…!」


色々話してる内にパソコン室に着いた。


「おっ邪魔しまーす!」


泉さんが元気な声でドアを開ける


「ありゃ誰もいないね」

「そうね。」

「とりあえずロボットを探そう。」

3人は手分けしてロボットを探す。


「あっ!」


突然泉さんが声を上げた


「見つけたの!?」

「変な本見つけた!」

「変な本?」


泉さんに駆け寄ってその変な本を見る。


「これは…」

「これはただの洋書じゃない?」


しーちゃんが言う


「「洋書??」」


「洋書とは西洋の言語で書かれた本のことを言うのよ」


「洋書ならあたし読めないよ〜」


他のところ探そっ!と言って別の所を探しに行った。しーちゃんは電源がつくパソコンを探している。


私は洋書を手に取る。洋書の表紙には

melt me with a kiss と書かれていた。


「めると…みー…うぃずあきす?」


Kissて書いてあるから恋愛小説?うーん正直役に立つかは分かんないけど一応持っておこう。

稀梨華はバックに洋書を入れた。


「しーちゃんパソコンの電源つきそう?」

「いや、全部つかないわ」

「なんであの体育館のパソコンは電源がついてたんだろう」

「もしかしたらオルドデール伯爵がわざと置いたのかも」

「うわぁ」

「ロボットは居た?」

「ううん。こっちには居なかったよ。泉さんの方はどう?」


私が泉さんに問いかけるが泉さんの返事がない。


「あれ?泉さーん?」


返事はない。


「どうしようしーちゃん泉さんが居ない!」

「さっきまで居たじゃない。それにここはそんなに広くないんだから」


しーちゃんの言う通りパソコン室は教室よりも狭いからまず迷子になるなんてことは絶対無いし、パソコン室の出入口の近くには私がいたから、パソコン室から出ようとしてたら気づくはずだし。少し嫌な予感がする。


「もしかして隠れんぼしてるとか?」

「そんな訳ないでしょ!」


しーちゃんが急いで探す。確かに心配だけど、もしかしたら私が気づかなかっただけどトイレに行ったのかもしれないしそんなに焦るかな?それにしーちゃんは泉さんにちょっと冷たかったし、2人の間には何かあるのかな?


「ねぇしーちゃん?もしかしたら泉さんはトイレに行っただけかもしれないよ」

「…そうね。私女子トイレ見てくるから稀梨華はここに居て。」

「分かった」


しーちゃんが扉の引き戸に手を掛けて開けようとする。


「開かない」

「…え?」

「扉が開かないの!」

「嘘でしょ!?」


しーちゃんに駆け寄って引き戸の取っ手に手をかけて思いっきり横に引っ張るが開かなかった。


「これってもしかして…」

「閉じ込められた!?」


私の叫び声が響いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ