新しいエルピーダ
「それで?迷子になって遅刻したのか?
こっちは連絡が無いから大問題になる所だったんだぞ?」
「はい…すいませんでした!」
稀梨華は今職員室で説教されていた
最悪だ
なんでよりにもよって橘先生に見つかったんだろう
菖ちゃんと別れた後急いで学校に向かって
丁度休み時間だったから担任の先生に遅刻した
理由を話そうと思ったのに
まさか校門で橘先生が枯葉の掃除をしてるなんて思わなかった
「……聞いてるいるのか?初瀬川!」
「えっ!?……えっと」
ヤバい全く聞いてなかった
はぁ……絶対また怒られて話が長引くじゃん
キーンコーンカーンコーン
予鈴のチャイムが鳴った
ナイスタイミング!
神が私の味方をしてくれた!
「はぁ…次からは遅れるなよ」
「分かりました!」
「返事だけは一丁前だな」
失礼しましたと言って職員室を出る
確か今日は午前授業だから……後2時間で終わる
「あっやっと来たんだね」
後ろから声が聞こえた
振り返るとそこに居たのは
「泉さん!」
「やっほ〜」
やっほ〜じゃねぇよ!
こっちはアンタらの所為で散々な目に遭ったのに!
「随分と大きな事やらかしたみたいだね
パラティシリィに聞いたよ」
「まぁね…でも後悔してないし」
「次の授業、美原先生が休みだから自習になっ
たんだ」
「その時に色々話そうよ」
「いいよ。こっちも聞きたい事あるし」
「決まりだね。早く行こう遅れるよ」
2人は教室に行きそれぞれの席に座る
そういえば泉さんの席は私の右前だったけ
そして私の席の隣はしーちゃんだった
席に座ると友達が話しかけてくれる
エクロスの事も連絡が無いのに学校に来てない事も含めて皆心配してくれてた見たい
キーンコーンカーンコーン
授業開始のチャイムが鳴り臨時の先生が入ってくる
ちゃんと自習するようにと言い先生は職員室に
戻って行った
皆仲のいい人達と固まったりして自習をしている
「隣座るね」
泉さんがしーちゃんの席に座る
「ねぇしーちゃんが転校したのはエクロスの襲
撃と関係があるの?」
「あぁそれは雫は第二中に“潜入”してたの」
「潜入?どういう事?」
「イロアスは全国の学校にそれぞれイロアスの
隊員を潜入させてて、エクロスが襲撃してきたら対処出来るようにしてるの」
「でも知能型のエクロスと戦える隊員は多くな
い。せめて中尉くらいからじゃないと厳しい」
「だから私としーちゃんを閉じ込めたの?」
「まぁね。でも雫は1人で知能型エクロスに
突っ込んで行っちゃったけど」
「ならもうしーちゃんはここには来ないの?」
「基本的にね。ここは私が引き継ぐよ」
転校したって聞いた時にもう学校で会うことはないと思ってたけど、本当にもう会えないんだ
「それと結局まりちゃんはイロアスに入る
の?」
「今の所は入らない……と思う」
「えぇそうなの?残念。一緒に働けると思った
のに」
「本当に思ってる?」
「本当だって!」
「でもまりちゃん、属性アリのエルピーダ使え
んでしょ?」
「そうだけど」
「イロアスの中では属性ナシのエルピーダを
使える人は大体、3等兵〜兵長なの」
「だから属性アリのエルピーダを使えるなら
少尉か少尉の部隊に入れるかもよ?」
「少尉の?」
「そうそう例えば雫の部隊とか?」
それならならしーちゃんに会える!でも……
「でも、私命を懸けて戦うなんてできないよ
泉さんはなんでイロアスに入ったの?」
「あたしは普通にお金が欲しかったから」
「え゛そんな理由でいいの?」
「いいんだよ何でもいいじゃん」
「それは……そうかもしれないけど」
国民の安全と命を背負ってる訳だし
「聞きたいことは聞けた?」
泉さんが言う
「まぁ大体」
「なら雑談しようよ」
「えぇ?別にいいけど」
「ならーー
稀梨華ちゃんは今頃学校かな
菖はあの怪しい人から貰ったネックレスを首に
かけた
「本当に上手くなるのかな」
遠くで学校のチャイムが聞こえる
この音を聞くと気分が悪くなる
菖はお母さんが作ってくれたヴァイオレットの
花飾りに触れる
お母さんはシングルマザーで女手1つで私をここまで育ててくれた。
お母さんは理由も言わず学校に行かない私をいつも心配してくれる
申し訳ない気持ちでいっぱいになる
何回も死んでしまいたいと思ったけどその度に
ヴァイオリンが上手く演奏出来たり、
ここみたいな綺麗な場所を見つけたり……
とっても優しい稀梨華ちゃんとリンクルちゃんに会えた今日みたいに世界の綺麗な所を見たり、いい事があると死にたく無くなっちゃう
菖の頬に水滴が流れ落ちた
「あれ?もしかして雨?」
輝いていた太陽は雲に隠れ、空の色が黒くなった
降ってきたのは雨でザアザアと音を立てている
しばらく降りそうだ
「しばらく止みそうにないし今日はもう帰ろ
う」
菖はこの場所を離れ家へと向かった
菖の家はここから近い
10分くらいで家に着いたが家の周りに誰か人が複数人いる
「あの……家に何か……
菖は言いかけたところでこの人達が誰か理解した
「あれぇ〜?学校をいっつも“サボってる”菖じゃ
ん?」
ガタイのいい男が菖を煽るように言う
「おい!やめてやれって可哀想だろ?」
そう言いながらもギャハハと複数人が下品に笑っている
でもそれよりも目に入ったのは家に書かれた
スプレーの文字だった
「何してるの!」
菖の家の壁に赤いスプレーで文字が書かれていた
サボリ、死ね、消えろ等の心無い言葉や、
全く似ていない悪意のある菖の似顔絵が書かれていた
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
どうして私がこんな目に合わないといけないの?
どうして先生や教育委員会は私の事を助けてくれないの?
「ギャハハハハ!おいこいつ泣いてるぞ!」
「本当だ!」
あいつらに指摘されて気づいた
頬に触れると雨では無い暖かい水が右手に触れる
カシャン!
音を立てて右手に持っていたスマホを落とす
急いで拾うと画面に表示されていたのは
稀梨華の連絡先
「稀梨華ちゃん……」
菖はスマホで何かを打ち、稀梨華に送信した
「おい黙りかよ?」
「こいつ人前で喋れない陰キャだし
しょーがねぇよ!」
「もしかしてあれか?人前で話せない“障害”
ってやつ?」
ギャハハハハ
確かに!
言えてる!
男子達の笑い声が響く
「つまんねぇな!そうだそのヴァイオリンも
壊してやるよ!」
男子が菖に向かって歩いてくる
あぁ……もう無理だ
もう全部……
「壊して欲しいか?」
「誰!?」
突然何処からか声がした
周りを見る
するとおかしなことに気づいた
男子達が動いていない
まるで時が止まっているかのように
「何が起こってるの……」
「時間が止まってるんだよたった数十秒だけ
ど」
また声がした
「壊して欲しいんだろ?このクソみたいな世界
を」
「して欲しいに決まってるでしょ!でも出来るわけないじゃん!そうやって期待させないでよ!」
先生も教育委員会も話を聞いて終わり
何か対応をしてくれるかもしれないと期待したけど結局何もしてくれなかった
「出来るさ。君が体を貸してくれるなら」
「体を貸す……?」
「あぁ。今から君と私は体を2人で共有する
これを許すならこの世界を壊してあげよう」
世界を壊してくれるなんて魅力的なんだろう
「許すよ……だから全部壊して!!!」
ガチャン!
音がすると時が動き出し、男子達が走ってくる
菖がヴァイオリンを左肩に置き弓を構え、弾く
鳥肌が立つとても綺麗な1音が響いた
鳥たちが一斉に空へ飛び立つ
そしてその音が響いた場所が
とても大きな音を立てて爆発した
家も道路も電柱も全部爆発した
爆発の影響なのか地震が起こっている
「ハハッまさかこんなに早く“体が手に入る”なん
て」
菖だった人は、黒いゴシックなドレスに身を纏い、髪はヴァイオレットのメッシュが入っている
背中からは黒の2枚の羽が生え、胸には黒の星のネックレスが怪しく輝いている
ヴァイオリンを片手に爆発した場所を見る
「思ったより威力が低い。まだ足りないわ」
菖だった人は怪しく輝くネックレスを握る
「あのお方の力を示す為にはもっと力が必要
ね」
「あれ?泉さん窓の取っ手にかけてある雑巾
揺れてない?」
「えぇ?そう?」
少しだけど揺れてる
というかどんどん大きく揺れている気がする
「やっぱり揺れて……
ドゴォンッ!!
突然大きな音が聞こえ、グラグラと揺れ始める
教室、学校、いや札幌市そのものが揺れている
「キャァァァ!」
「何!?地震!?」
「机の下に隠れろ!」
バリンッ!!
大きな音を立てて窓が全部割れる
ロッカーも倒れ、中から教科書などが落ちる
ガシャン!
蛍光灯まで大きな音を立てて落ちた
ヴーヴーヴー地震です
ヴーヴーヴー地震です
こっそり持って来た稀梨華のスマホがサイレン
を鳴らす
他にも持って来てる人が居るようで、サイレンの音が鳴る
「まりちゃん!机の下に隠れて!」
「わっ分かった!」
皆急いで机の下に隠れ、揺れがおさまるのを待つ
しかし揺れは全くおさまらない
スマホで何か情報がないか確認する
表示されているのは“震度6強”
「震度6強!?」
まじで?死ぬよ?
校舎はある程度修復はされてるけど屋上は壊れたままだし、校舎が壊れたら絶対潰れて
死ぬって
「あれ?メール?」
メールが1件来ている
「菖ちゃんからだ」
「まりちゃん!スマホなんて見てる場合じゃ無
いよ!」
泉さんに正論を言われる
「ごめん!ちょっとだけ!」
緊急の内容かもしれない
メールを確認する
内容は……
「助けて?」
メールには“助けて”ただそれだけが書かれていた
「泉さん!もし私が走って学校の外に出れる確
率はどのくらいだと思う?」
「ゼロだよ!何考えてるのまりちゃん!
正気なの?まだ揺れて るよ!」
泉さんの言う通りだ
震度6強
この揺れの中走るどころか歩く事も立つ事も出来ない
稀梨華はポケットの中に手を突っ込む
手にはペンダントの感触がある
廊下の後ろを真っ直ぐ走ると大きな窓がある
おそらくその窓も割れているはず
だから前みたいに光のエルピーダを使って
翼で飛ぶ
上空ならあんまり地震の影響は受けないよね?
ブーブーブー
泉さんのスカートのポケットからバイブ音がする
「もしもし」
泉はポケットからスマホを取り出して電話し始めた
もしかしたらイロアスと連絡を取ってるのかな
泉さんが何を話しているのか考えていると
揺れが先程より小さくなった
チャンス!今だ!
「はっ!?今なんて言いました……ってまりちゃ
ん!?」
泉さんが後ろから何か叫んだがもう飛び出した後だし
稀梨華は教室を飛び出した
走って廊下を出て真っ直ぐ走る
あの大きな窓は読み通り割れていた
稀梨華はネックレスを首にかける
どうかお願いしますもう一度力を貸して下さい
稀梨華は割れた大きな窓の前で立ち止まる
「天空の主オリビアの神よ私の願いを叶えたま
え!」
稀梨華がそういうとペンダントが光る
そして稀梨華の背中にとても綺麗な
純白の翼が現れた
「よし!」
稀梨華は助走をつけて足で踏み込み飛んだ
「ぅわ!ちょっとコントロール効かないんだけど!」
上手く飛べない!既に何回も落ちそうになってるんだけど!
ドゴォン!
再び大きな音が聞こえ揺れる
しかしその影響で稀梨華の真横にあった大きな木が倒れてきた
「ちょっと待って!ぶつかるって!」
避けようとしたが叶わず木にぶつかって下に落下する
「稀梨華ちゃん!!」
もう地面に打ち付けられると言うところで
誰かに助けられた
「リンクル!?どうしてここに」
助けてくれたのはリンクルだった
「稀梨華ちゃんが心配できたんですよ
そしたら落ちてくのが見えてビックリしまし
た」
「あのねリンクル菖ちゃんがピンチなの!
助けてって連絡があったらもしかしたら巻き込
まれてるのかもしれない!」
「分かりました。なら早く行きましょう」
ドゴォン!
また激しく揺れる
「ぅわっ!また揺れてる」
「立つのは厳しそうですね」
「うん。だから飛んでいこうと思って」
「でも上手く飛べなかったと」
「そうなんですよ!」
今いるのは地面だしここから飛ぶのは
私的に無理なんだけど!
「稀梨華ちゃん僕が校舎くらいの高さの氷の階
段を作ります。そこから飛べますか?」
ちゃんと手すりも付けます。とリンクルが言う
かなり危ないし賭けだけど
「うん。やってみる!」
「白き精霊よ我が名に答えよ」
リンクルがそう言うとリンクルの手に
氷のエルピーダが集まる
そしてリンクルが両手を手に出すと
目の前にちゃんと手すりがある氷の階段が
現れた
「すごい……」
「想像力があれば出来ますよ」
いや絶対そんな簡単にできないって!
「少し揺れがおさまりましたね。今のうちに
のぼりましょう」
「うん」
稀梨華とリンクルは階段を駆け上がる
上から街を見るとその悲惨な状況がよくわかる
家は倒壊し、電柱や木々が倒れ、道路はヒビが入り割れている
2人は階段を登り終えた
氷でできた足場がある
「稀梨華ちゃんここから飛べる?」
とても高い、落ちたら死ぬ
でもそんな事言ってられない
「絶対飛べる!でもリンクルも着いて来てくれ
る?」
「もちろんです。」
「じゃあ私がリンクルを抱えて飛ぶね」
人を抱えて空を飛ぶ
初心者が絶対にする事じゃないが稀梨華はリンクルを抱える
「それじゃあ行くよ!」
稀梨華は助走をつけて空へ飛び立った
ドゴォン!
また大きな衝撃音が聞こえ、揺れる
「泉大尉!そちらの状況は!?」
「悲惨ですよ」
教室の中は酷い状況だし、外も悲惨なはず
「それより本当なんですか!?
“管理人”が現れたって!!」
「我々はそのように考えております
この様な被害を出せるのは管理人くらいだと」
「今パラティシリィを派遣したのでもう少し
耐えてください」
「待って今第三機動隊か第零機動隊の人はい
る?」
「第三機動隊の皇隊長ならいらっしゃいます
が……」
「なら代わって伝えたい事があるから」
「わかりました」
「皇隊長!泉大尉から伝えたい事があるようで
す」
司令官が皇隊長に無線を渡す
「皇だこんな時に何の用だ」
「皇隊長!多分だけどまりちゃんが管理人の元
に向かったの!」
「はぁ?まりちゃんってあの嬢ちゃんか?」
「そうですよ!友達を助けるって言って管理人
が出現したとされる場所に行っちゃったんで
す!」
泉が焦ったように皇に伝える
皇は泉の話を聞いて考え込む
「なるほど。つまり管理人がいる事を知らない
でその場所に向かったんだな?」
「そうです。多分大きな地震くらいだと思って
るんです。いくらエルピーダを使えても
管理人と戦ったらまりちゃんは死んじゃいま
す」
泉が言う
こいつが人の心配をするなんて珍しい事も
あるもんだな
「分かった。第三機動隊が嬢ちゃんも探す
だからお前は指示を待ってろ」
「了解」
その頃稀梨華とリンクルは……
「稀梨華ちゃん!バランス取って!落ちちゃう
よ」
「分かってるよ!」
何度も落ちかけてるけどさっきよりは上手く飛べてる!
「菖ちゃんの場所は分かるの?」
「うん多分あの森の近くだよ」
この雨だしきっと家に戻ったはず
自転車は無かったからあの森から歩いて帰れる
距離に家があるはず
そしてそこに菖ちゃんは居る!
「あの辺じゃないですか?」
森が見えてきた でも……
「でもなんかヤバくない?なんか黒いんだけど」
森周辺が黒い霧のようなもので覆われている
ドゴォン!
また衝撃音が響く
「稀梨華ちゃん!霧の所から衝撃音が響いてま
す!」
「あそこが震源地ってこと!?」
「違う!これはただの地震なんかじゃないです
よ!」
「それってどういう事?」
「地震じゃあんな黒い霧は出ないでしょう」
「それはそうだけど……地震じゃないなら」
地震じゃないなら何だって言うんだ
「もしかしたらエクロスかも知れません」
「エクロスが!?」
でも有り得ない話しでないかもしれない
知能型エクロスが集団で東京を襲撃したし
「どうする?近づかない方がいい?」
もう黒い霧が目の前に迫っている
「そうですね……あっあそこは周りに倒れて来そ
うな物が無いので、そこに一旦降りましょう」
「分かった!」
稀梨華はリンクルの言った場所に降りた
黒い霧はどんどん広がっているようだ
「菖ちゃん……」
多分菖ちゃんはこの中に居る……
「これからどうします?稀梨華ちゃ……危ない!
「え?」
稀梨華の後ろ、黒い霧の中から電柱が物凄い速さで飛んできた
そして耳が痛くなるような“ヴァイオリン”の音
が聞こえた
リンクルが稀梨華の前に出て氷の盾を作り防御する
「っ!」
しかし電柱に加わっている速さが速すぎる
その速さはヴァイオリンの音が強くなると共に
速くなって行く
「これは音速に近い!」
耐えきれず氷の盾が割れ、2人は吹き飛ばされた
ドン!
後ろにあった倒れた木に打ちつけられる
「う゛…痛ったぁ」
背骨が折れたんじゃないかと思うくらい痛い
「リンクル!大丈夫?」
「はい…なんとか」
稀梨華が盾になったようで、リンクルは大丈夫そうだった
「それにしても電柱が飛んで来るって、もしか
して中に電柱を投げれる何かいるの?」
怖すぎるって
何者だよ
「やっぱり中に居るのはエクロスなのかな?」
「……どうでしょう。エクロスがこんな事できる
んでしょうか」
「それとヴァイオリンの音が聞こえました
か?」
「うん…」
「あの音が強くなると共に電柱の速さも速くなりました。もしかしたらこの黒い霧の中に居る
何かは““音に関するエルピーダ””を使えるのかもしれないです」
音に関するエルピーダ……
「でっでも音のエルピーダなんて無いよ
ね!?」
「そうです。もしかしたら新しい…新種のエルピ
ーダを使うのかもしれないです」
嘘でしょ
そんな事ってありなの?
ならこんな事を出来るその“何か”は何なの……?
街の状況はまさに悲惨
沢山の家や建物が倒壊し、電柱や木々は倒れ
地面は陥没したり、ヒビが入って割れている
しかもマンホールからは水まで吹き出している
そしてこの黒い霧……
もしかしたらここに居るのは
“管理人”かその“パートナー”かもしれない
考えただけでゾッとする
冷や汗が出る
でもイロアスに伝えないといけない
「リンクル!ここから離れた方がいい……
その時稀梨華の周りが黒い霧に覆われた
「はっ!?」
「稀梨華ちゃん!!」
リンクルがこっちに走って来てくれる
でも間に合わない!
なら……
「111!イロアスに知らせて!」
稀梨華は黒い霧に覆われる直前リンクルに向かってスマホを投げた
リンクルはスマホをキャッチする
そして稀梨華は完全に黒い霧に包まれた
「稀梨華ちゃんっ!!」
リンクルの悲鳴のような叫びが響いた




