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あの子の為の本&黒色の星のネックレス


「話って?」

「…えっと」


「早く言いなさいよ。まさか人でも殺しちゃったの!?」


そう言う薫の顔はどんどん青くなっていった。


「断じて違う!そんな事してないわ!」


なんでここで殺人が出てくるの!?

クレイジーだよ!


「じゃあ何なのよ。お母さん怖いわ」


貴女の方が怖いんですけど

うちのお母さんってちょっと変わってるんだよね


「あのね…実は私エルピーダが使えるようになったの」


稀梨華は真剣な目で言った


「あんたそれ本当なの?妄想じゃなくて?」

「妄想じゃない!まじで使えるようになったの!」


「……本当なのね?」

「……うん」



「とりあえず椅子に座りなさい」

沢山聞かなきゃ行けない事があるから、とお母さんが椅子に座るように言う



「それで?イロアスからそんな事説明されてないけど?」


ここで本当のことを言ったらお母さんも記憶を消されるかもしれない


「いやぁ実はあの爆発に巻き込まれた時に覚醒しちゃったみたいな?」


苦しい言い訳だ

お母さんが訝しげな目で見ている


「嘘ついてるでしょ」


「ちっ違うよ!本当だよ!」


「私はあんたの母親なんだから嘘をついている事くらい分かるわ」


「……何か言えない事情があるのね?」


「……うん」


お母さんは額に手を当て、何か考えている



「エルピーダを使える人は普通、イロアスに入隊しなくちゃいけないのは知ってるわね?」


「うん。でもイロアスに入るか爆発に巻き込まれた後の記憶を消すか選んで、1週間後に答えを聞かせて欲しいって言われてるの」


「記憶を消す!?」


お母さんが驚いて悲鳴のような声を上げる


「きっ、記憶を消すって言っても体に害は無いから大丈夫みたいだよ!」


薫はもう一度深く考え込む


「……稀梨華はどうしたいの?」


「私は……正直入りたくないけど」


でもイロアスに入らなかったらエルピーダも使えなくなってしーちゃんがイロアスだった事もリンクルの事も忘れてしまうのか。



「お母さんも稀梨華がイロアスに入るのは簡単には受け入れられない。もしかしたら稀梨華が命を落とすかもしれないもの」


「お母さん……」


「でも……でもね稀梨華が本当にイロアスに入りたいと思うなら私は止めないわ」


「私は貴女の意志を尊重するわ」


お母さんはいつものように優しく笑う

でも目には涙が浮かんでいる。


「ありがとうお母さん」


お母さんにつれれて私まで涙が出でくる


そんな私をお母さんが抱きしめてくれた



お母さんは私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれた



「少しは落ち着いた?」


「うんありがとう」


「良かった。1週間までまだ時間もある事だし

沢山悩んで決めなさい」


「うん!」


お母さんは晩御飯を作りに台所へ向かった

稀梨華は自分の部屋に戻る



「お待たせリンクル」


自室に入るとリンクルが稀梨華の学習机の椅子に座わり、稀梨華の買っただけで手をつけていない参考書を読んでいた。


「話はできましたか?」


「うん」


「リンクルは何してたの?」


リンクルは手に何か持っている


「あっリンクルがずっと持ってた本だね」


リンクルが持ってたのは綺麗な人に“あの子”に渡すよう頼まれたという本だった


「あの子も早く探さないとね。もちろん私も手伝うよ!」


「その必要は無いです」


ん?どういうこと?


「もう見つけたので探す必要はないんです」


「え?探す必要がないって?」


リンクルは椅子から降りて稀梨華と向き合う

そして本を稀梨華に差し出す


「稀梨華ちゃんにあげます

稀梨華ちゃんがあの人の言う“あの子”です」


「えっ…いやいやないでしょ!」


だって絶対特別な子でしょ“あの子”って


「あの人は僕に地球に行ったら“あの子”が誰か

分かると言いました」


「そして稀梨華ちゃんに出会いました」


「稀梨華ちゃんは僕を助けるために自分の人生を賭けて来てくれたその時思ったんです

きっと稀梨華ちゃんがあの子なんだって」


「……本当に私でいいの?」


「はい。稀梨華ちゃんが良いんです」


稀梨華はリンクルから本を受け取る


「ありがとう大事にするよ」


「はい」



「2人ともーご飯できたわよー!」


1階からお母さんの声がする


「はーい今行くよー」


「行こうリンクル」

「うん」



稀梨華とリンクルは1階に降りた



「今日は稀梨華の好きなオムライスよ」


「やった!」


稀梨華とリンクルは椅子に座る


「そういえばリンクルはロボットだけど

人間の食べ物も食べれたりするの?」


「実は稀梨華ちゃんの光のエルピーダを浴びた時、少し体がロボットじゃなくて人間に近づいたんです」


リンクルが衝撃的な発言をした



「はぁぁぁ!?」


「稀梨華うるさいわよ!」


「ごめんお母さん!」


でも驚かない方が無理でしょ!


「ちょっとそれどういう事!?」


「僕も分かんないですよ。でも特に不便がある訳でもないですし」


そう言ってリンクルは、いただきますと言って

オムライスを口に運んだ


信じられない…ロボットがご飯を食べてるし

お母さんは何も気にしないでリンクルと話してるし!



「お味はどうかしら?」


「とっても美味しいです」


もう何も気にしない方が良いのかもしれない。



「そういえば稀梨華明日から学校が再開するみたよ?」


「明日?!そういうのは早く言ってよ!」


ヤバい!鬼教師橘先生の宿題が終わってない!


「そういえば私のリュック!学校に置きっぱなしなんだけど」


「あぁそれなら学校の先生が届けてくれたけど

エクロスの襲撃でもうボロボロだわ」


お母さんがボロボロのリュックを持ってくる


あの荒れた中学校で一緒に頑張ってきたリュックの変わり果てた姿があった。


「そんな!」


稀梨華はリュックを抱きしめる。

元気だしてとリンクルが慰める。


「明日は何か代わりの物を持っていくしかないわね」


「うん……」


3人はオムライスを食べ終えた


明日は早いので稀梨華はお風呂に入り、洗顔や歯磨きを終え自室で明日の準備をする


「どうしようリンクル!宿題が終わらない!」


「とりあえず髪を乾かしたらどうですか?

風邪ひきますよ」


「そんな時間ないよ!」


時刻はもう11時を過ぎている


「……まぁ12時からやっても間に合うよね

よし乾かしてくる!」


稀梨華は数十分で髪を乾かし終える


「そういえばリンクルはお風呂に入れるの?」


「このまま人間に近づいていけば可能かも知らないですね」


「それはすごいね」


「それで宿題はどのくらいあるんですか?」


「……12ページ」


リンクルが虚無顔で見てくる。


これは前から出されてたワークの宿題で

ずっと後回しにしてたから全然終わってない!


「もう今日は諦めて明日早く起きてやったらどうですか?僕も手伝います」


「リンクルって勉強できるの?」


「稀梨華ちゃんがお母さんと話してる時やお風呂に入ってる間に参考書を見させてもらったので大体理解しました」


リンクルは買って放置してた分厚い参考書を見せる


すごい、これをあの1時間くらいで読んだなんて


「とりあえずもう寝ましょう

夜更かしは体に良くないですよ」


「そうだね寝よっか」


稀梨華は部屋の電気を消す


稀梨華は自分のベットで、リンクルは敷布団で寝る


「おやすみリンクル」


「おやすみなさい稀梨華ちゃん」





眠れない


稀梨華の目はギラギラと冴え渡り、まるで※アイアイの様だった。


※アイアイは大きな黄色い目と骨ばった長い手をした見た目が怖い動物で、生息地のマダカスカルでは「悪魔の化身」とも言われている。


リンクルの寝息が聞こえる


色んなことがありすぎて中々寝付けないな

明日学校に行ったらしーちゃんは居ないんだろうし。


稀梨華はリンクルから貰った本を見る


「これボロボロで全然題名も読めないんだよね」


本のページをめくり1ページ目を見る


中身は表紙程汚れてはいないが読めない



「……精霊?……が……た……えら?」


読めたのは精霊という文字だけだ


そういえばリンクルがエルピーダを使う時

精霊って言ってるよね 関係があるのかな?

明日聞いてみるか








チュンチュン


鳥の鳴き声が聞こえる


「ん…」


カーテンの隙間から暖かい太陽の光が差し込む


「太陽の光!?」


飛び起きて時計を確認する


「7時45分!?寝坊した!」


いつも8時には家を出てるのに!

昨日目覚ましをかけ忘れちゃったんだ!


リンクルはまだ寝ている


とりあえず急いで制服に着替えて

それから洗顔とかを済ませよう


稀梨華は急いで制服に着替え、1階に降りて

洗顔、歯磨きをすませ2階に戻った


「えっと代わりのリュックと教科書と筆箱……」

「あっ!宿題できてないじゃん!」


もう8時を過ぎているもう家を出ないといけない


リンクルに学校に行ってるからねと書き置きを残し、家を出た




自転車に乗り学校を目指す


「なんでお母さん起こしてくれなかったの!」


しかも結局宿題は終わってないし!


腕時計を確認すると時刻は8時15分

8時20分に校門を通らないと遅刻扱いになる


学校は西区と南区の間にある


「そうだ!確か近道があったはず南区の森を突き抜ければ学校の裏口に繋がってるはず!」


この道は前にも使ったことがある。

確か自転車で3分で学校に着いた



「よし全力で飛ばせば間に合うはず!」


稀梨華は森の中に突っ込んで行った





獣道をひたすら自転車で疾走する

体や髪に木の枝が当たって痛い



「痛っ!絶対髪の毛抜けたんだけど」


木々の隙間から太陽の光が差し込み、綺麗な木漏れ日を作っている。

学校がなければきっとここで、この綺麗な景色を見ていただろう。


稀梨華はさっきよりも早く自転車を漕ぐ。



「……全然道に抜けないんだけど!まさか道を間違えちゃった?」


一旦自転車を漕ぐのをやめて腕時計を見る

時刻は8時22分


「学校始まってるじゃん!」


遅刻が確定して自転車を漕ぐ気が一気に失せた


「しかも迷子だし……」


森なんか入らなきゃ良かった


「しょうがない。ならこの綺麗な木漏れ日を

見ながらゆっくり行こう」



稀梨華は自転車をゆっくり漕ぎ進む



「あれ?道がある!」


獣道ではない道がある。

左側が道、獣道が右側だ。


前来た時はこんな分かれ道はなくそのまま学校に行けたからどっちの道も違うのだろうけど。


「こうなったら冒険してやる」


宿題やってないから学校も行きたくなかったし、ちょうどいい感じに時間をつぶせそう。


稀梨華は左側の道を進む。この道は獣道ではないが坂道だった、どんどん上の方へ進んでいる。


それから数十分だろうか、遂に山頂の辺りに着いた。


まぁ、ここは背の低い山なのでそんなに高くはないが、そのくらいの時間歩き続けると開けた場所があった。


「こんな所あったんだ」


稀梨華は自転車を止めその場所に足を踏み入れる。

森林の中にぽっかり空いたその場所だけ木々がなく、太陽の眩しい光を草花が浴びている。


「綺麗……」


稀梨華が景色に見とれていると何処からか泣き声がした。


その泣き声のする場所を探すと真ん中にベンチがあり、そのベンチに座っている女の子が居た

おそらく泣いているのはあの子だろう。


もしかしたら私と同じ迷子かもしれない。




「ねぇ、もしかして貴女も迷子になったの?」


稀梨華が話しかけると泣いていた子が顔を上げた。


「……ぇっ?だっ誰?」


女の子は綺麗なショートカットを風になびかせていてヴァイオレットの花飾りが良く似合う。


「あっ、驚かしてごめん実は迷子になっちゃって、ここに辿り着いたら貴女が泣いてたから、

もしかしたら同じ迷子かなって」


「………違う私は迷子じゃないの」


女の子は少し言いづらそうに言った。


「そっか。ねぇ隣座ってもいい?」


「えっ……いいけど」


「ありがとう」


稀梨華は女の子の隣に座る


「その制服可愛いね。確か波風中の。」


波風中の制服はブレザー。

黒いベストに白いワイシャツ、そして青いリボンに黒のスカート。


「……ありがとう。でもそっちの方が可愛いよ

セーラ服」


「そうかな?ありがとう」



「……ねぇ名前聞いてもいい?私は初瀬川稀梨華」


「……ゎっ私は鈴風菖(すずかぜあやめ)


「可愛い名前だね」


「……ありがとう」


菖ちゃんは照れくさそうに笑う


「ねぇ稀梨華ちゃんはなんで私がここに居るか聞かないの?普通なら学校に居るはずなのに」


確かに菖ちゃんは迷子っていう訳ではなさそうだし。でも触れられたくない事もあるよね。


「まぁ…たまには学校サボりたくなる日もあるしね」


「……違うのたまにじゃないの」


「ほとんど行けてないんだよね」


菖ちゃんは自嘲する。


「理由聞いてもいいやつ?」


「うん……誰かに聞いて欲しいの」


そう言うと菖ちゃんは静かに話し始めた。


学校でいじめにあっていること、陰口、無視、

蹴られる、物を捨てられる等と酷いことをされているらしい。

しかも相談しても教師は見て見ぬふりをしているらしい。


「サイッテーだねそいつら!」


最悪すぎるよ。しかも教師なら助けろよ!


菖ちゃんを見ると驚いた顔をして笑った。


「ごめん大きな声出しちゃった?」


「ううん。でも稀梨華ちゃんが最低だって言ってくれて少しスッキリした。ありがとうね」


菖ちゃんは笑う

時々思う。なんでこんな優しいくて良い子が酷い目にあう世の中なんだろうって。

優しくて良い人ほど損する世界なんだろう。


そこから菖ちゃんと沢山話した。

ヴァイオリンを引くのが趣味だとか、このヴァイオレットの花飾りはお母さんの手作りなんだとか。


「……それとね私達受験生じゃない?私偏差値の高い高校に行きたいと思うの」


「いいね。でもなんで?」


「……私不登校だし、頭良くないんだけど虐めてくる人達が居ない高校に行きたいから

でも進路アンケートを虐めてくる子達に見られて馬鹿にされたの」


「お前には絶対無理だって。それにあの虐めてくる子達は偏差値は低いけど高校から推薦が来てて、私が勉強してる度に、こんな簡単な問題まだやってる、こんなの俺でも解けるって見下してくるの」


「でも実際、私頭悪いし無理かもしれないけど

私に出来るのかな?」


「私に出来るのかな 」この言葉は稀梨華もいっつも思ってた。

でも今は違う、リンクルと会えて自信がついた

なら私もリンクルのように菖ちゃんを勇気づけたい。



「出来るよ!」


稀梨華は菖の両手を握る

菖は驚いている


「私、成功の対義語は挑戦しないことだと思うの。その虐めてくる子達は菖ちゃんが目指す高校より偏差値の低い高校から推薦が来て、推薦を貰ったから菖ちゃんの事を見下してるんだよね?」


「うん……もう勉強しなくていいって遊んでる」


「でもそれってその虐めてくる子達は諦めたって事でしょ?その上の高校に行くのを挑戦する事を諦めたって事じゃない?」


「そう…なのかな?」


「そうだよ。挑戦する人と挑戦しない人なら

挑戦する人の方が上だよ。だから菖ちゃんは

見下される必要なんてないんだよ!」



勢い任せで結構喋っちゃったな。

私、思ってる事を言葉にするの苦手だから

大丈夫かな?変なこと言って無いよね?



「ありがとう稀梨華ちゃん」


菖が稀梨華の手を握る


「元気出た」


菖はそう言って笑う


「どういたしまして」


稀梨華もつられて笑った




「そういえば稀梨華ちゃん学校は大丈夫なの?

家に電話されない?」


稀梨華はそこでハッとした


「ヤバい!」


休みの連絡も何もしてないから家に電話されてるはず……そしてお母さんに連絡がいってたら…

絶対怒られる!!


稀梨華がどうしようと焦っていると後ろから名前を呼ぶ声がした



「稀梨華ちゃん!」


名前を呼んだのは稀梨華のスマホを持ったリンクルだった

リンクルは稀梨華の方へ駆け寄る


「こんな所で何してるんですか?学校に来ないって電話が来たから心配したんですけど」


「ごめん!実は迷子になっちゃって」


「通学路で迷子ですか?それとその子は」


「あぁこの子は菖ちゃん」

「どうも……」


「この子は稀梨華ちゃんの弟?」


菖が聞く


「違いますよ。一緒に住んでますけど」


「そうそうリンクルは私の友達!」


「そうなんだ……いいなぁ」


「なんで?」


「私友達いないから……」


菖は悲しそうに言う

稀梨華とリンクルはお互いを見て頷く


「なら私が友達になるよ」

「それなら僕も」


稀梨華とリンクルは座っている菖に

手を伸ばす


菖は驚いて俯いていた顔を上げる

その顔はキラキラと輝いていた


「いいの?」


「もちろん!」


稀梨華の言葉にリンクルも頷く


菖は目に涙を浮かべた

でもこれは悲しみの涙じゃなく喜びの涙だ


「ありがとう…2人とも!」


菖は2人の手を握り笑う

稀梨華とリンクルもつられて笑顔になる




それから少し話した後やっぱり稀梨華は学校に

行かないといけないので、リンクルが持ってきた稀梨華のスマホで菖と連絡先を交換して、

お別れすることにした


「じゃあまたね!」

「また会いましょう」


「うん!また会おうね」



稀梨華とリンクルはこの綺麗な場所を後にした








行っちゃった2人とも


菖はベンチに座る


今日はいい事が沢山あった

初めてできた友達……

嬉しいなぁ



ベンチの下に置いていたケースに入ったヴァイオリンを取り出す


「何か弾きたいな…2人に演奏できるようにしたい」


菖はヴァイオリンを演奏し始める

選んだのはG線上のアリア


この曲はよくおじいちゃんが演奏してくれた

思い出の曲。

この曲を演奏できるようになる前におじいちゃんは死んでしまった。

まだおじいちゃんより上手くはないけど、2人に聞かせたいな。


菖は大切な人を思い演奏する


周りの木々もそれに応えるように揺れ、

鳥や蝶が集まる


踊るように演奏する

制服のスカートがドレスの様にふわっと広がる



最後は真ん中でくるっと回りお辞儀をする


今までで1番良かった



パチパチパチ

「素晴らしい演奏ですね」


「誰?」


周りを見渡すとこの場所の入口に人がいる

黒いローブを被っている見るからに怪しい人だ


「貴方は誰……?」



菖は少し後ろへ後ずさる


「すいません驚かしてしまったでしょうか?」


謎の人は菖の方へ近づき言う


「貴女の演奏がとても素晴らしかったので」

「ありがとう…ございます」


「貴女はもっと上手く演奏したいのですか?」

「そうだけど……なんで?」


なんでわかるの?


その謎の人はゴソゴソとローブから何かを取り出した


「貴女にこれを上げます」

「これは?」


菖が渡されたのは黒色の星型のネックレスだった


「これは貴女がより上手く演奏できるように

力を込めたネックレスです」


怪しい

そんな物が本当にあるわけが無い

でも物に罪は無いし……


「ありがとうございます」

「これをつけて演奏してみて下さい

きっとうまく演奏できますよ」

「分かりました……」


「それでは」


そう言って謎の人は去っていった



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